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試合前に、「今日は試合しない方がいいから棄権させてくれ」と言った日

僕は準備こそ全てだと思っています。

準備が悪ければ結果もそれ相応のものになる。

しかし、大概は僕らのチームは準備が悪い。練習に全員が揃わないことも少なくない。

もちろん変えるためにいくつもトライをしている。でも、そんなに簡単に変わるものではない。

「わかってる。」

けれど、変えなければいけない。

「わかってもらわないといけない。」

ある試合の日、ウォーミングアップを始めたときのことだ。

なんだこのウォーミングアップの姿勢は。ボールは取りにいかないし、誰のせいだとか誰がどうしたとか文句を言い合っている。

僕は悟った。このまま試合をすれば大量に失点して負けるに違いない。

僕たちはプロサッカークラブだと言っている。書いてある。国のトップリーグに所属するプロクラブだと。

「お前らそんなんで本当にプロかよ。」

僕はできる限り彼らが求めるものを与えられるように必死にいろんな人たちにお話をさせていただいて、応援を得て今シーズンを戦っています。

「戦わせてもらっている。」であり、「サッカーをさせていただいている。」

お前らはそれでいいかもしれない。でも、毎試合のようにネット中継を見て、試合前にはコメントをくれる人たちがいるのだ。

そういう人たちが汗水流して得たお金によって自分たちはいまサッカーをしているんだよ。

ウォーミングアップを見て、怒りが込み上げた。

なんだその態度は。

僕はやり場のない怒りを持っていた笛(ホイッスル)にぶつけて地面に叩きつけた。

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そして、サッカー協会のスタッフのいる運営本部に行ってこんなことを言ってしまった。

「僕らのチームのウォーミングアップを見てくれ。こんなんで戦えるわけがない。0-7、0-9で負けるかもしれない。そんな試合やるべきじゃない。恥ずかしい。だから、僕らはこの試合やるべきじゃないと思う。」

結構しっかりした声で、はっきりと伝えた。

…慌ててチームスタッフが駆け寄る。おい、ちょっとどうしたんだ?と。

僕は同じことを言った。

そして、もし試合するなら俺はやらない。全員で戦わなければ勝てるはずがない。勘違いしてる。



すると、数名の選手が動き始めた。

そうだよ。これは俺の試合じゃなくて、君たちの試合であり、俺たちの試合なんだよ。

俺が勝ちたいだけじゃなくて、君たちが勝ちたい試合で、僕たちが勝ちたい試合なんだ。

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子供たちもたくさん見にきている。相手チームのサポーターだけれどね。

プロの試合だからこそ、みんな見に来てくれているはずだ。

だから僕はサッカーを通して伝えたいんだ。

準備がどれだけ大切かっていうことを。でもこの試合はそれができなかった。そして、そのままでは負けると思った。簡単に負けると思った。

だから、大胆な行動に出た。

僕は誰よりサッカーするのが大好きだ。試合があるときなんて天気予報を見て、試合がちゃんとできるかワクワクドキドキの1週間を過ごしているくらいだ。

試合をしたくないはずがない。

ただ、恥ずかしい試合だけはしたくない。してはいけないからだ。

何かが変わった。

それを見て、この試合を勝ち取ろうと思った。

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そして、僕たちはこの試合に勝った。

試合に勝ちたかった。そのためにした行動だった。でも、本当に試合やるべきじゃないって本部に伝えに行った僕は馬鹿だったな(笑)

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