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過度なマンション節税、防止の方向に

こんにちは。
税理士の長野です。
 
今回は、私が税理士として情報収集している最新情報について、個人的見解を踏まえながら、
簡潔に、ご紹介させて頂きます。
皆様の将来的な相続に備える一助になれば幸いです。

※情報提供のスピードを重視しているため法律上不確定な情報も含まれること、投稿日時点の情報であるためご覧になったお日にちによっては状況が変わっている可能性があること、私の個人的な推測や憶測も含まれることを、予めご了承ください。
 
【概要】
通常、預金で1億円を所有したまま相続が発生すると、相続税計算上は、当然、1億円のままです。しかし、その預金で1億円のマンションを購入し、その後、相続が発生すると、相続税計算上は、約6,000万円前後になります。
これは、流動性という観点から、預金よりもマンションのほうが劣るため、金融資産よりも不動産が多い方でも相続税を支払うことができるよう、相続税計算上は、一定の配慮がされています。つまり、預金よりも不動産のほうが相続税が安くなるような計算式となっています。いわゆる、逆ザヤというものです。
 
1億円の不動産を例にあげれば、相続税評価額6,000万円と時価1億円との差額△4,000万円が逆ザヤと呼ばれ、この4,000万円分だけ相続財産を減らすことができます。
そのため、相続税の圧縮のために、マンションやアパートなどの不動産が昔から利用されておりました。
 
しかしながら、昨今の地価高騰の影響により、都心5区の不動産は、この逆ザヤの圧縮効果が非常に高くなりました。これは、年々の相続税評価額の上昇よりも、時価が急激に上昇したことを指します。また、タワーマンションなど高層の不動産は、一般的に高層階になればなるほど眺望が優れプレミアムが付き時価が上がりますが、相続税評価額は高層階だからといって高くなることはありません。
そのため、今までは△4,000万円だった圧縮効果が、2倍の△8,000万円ほど効果がある不動産も出始めたわけです。
 
そのため、令和5年度の税制改正でも、市場価格との乖離が問題視され、適正化が検討されていました。
そして、とうとう、国税庁は、この相続税評価額の下限を市場価格の6割を下回る場合は下限を6割にするという方針を固めました。
 
例えば、1億円のマンションを購入した場合を確認します。
・現状:相続税計算上、相続税評価額が3,000万円
・改正後:相続税計算上、相続税評価額が3,000万円 < 6,000万円 ∴6,000万円

 
【個人的見解】
とはいいつつも、効果が全く無くなったわけではありません。上記の具体例で言えば、逆ザヤが現状△7,000万円(=3,000万円-1億円)ですが、改正後は△4,000万円(=6,000万円-1億円)なので、効果は約半減しますが、それでは、相続税の圧縮効果は残ります。そのため、所有している不動産を早急に売却せずに、専門家に相談しながら、今後の動向を確認しつつ、冷静な判断が必要と言えるでしょう。
 
【適用時期】
令和6年1月以降
 
【今後の注目点】
・「市場価格をベースに6割評価」する際の市場価格の算出方法
・令和6年1月以降とは、1月以降に相続が発生した方か、それとも、1月以降にマンションなどの不動産を購入した方か

【情報源】
参考:NHK NEWS
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230626/k10014110071000.html


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