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【UXとBusinessの関係】Bizチームが注意すべきデザイン視点とは

こんにちは、久保 拓也(@takuya__kubo)です。
明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願いいたします。

みなさまは1年間の目標、立てられましたか?

久方ぶりにですが、僕は3つ目標を立てました。
①本を年間100冊読む、②現職でもう一つの事業の柱を作る、③デザインを学ぶの3つです。

これまで「デザイン」というものにきちんと触れたことはなかったのですが、この1年間で自身の一つのドメインに出来る様しっかりと学習していきたいと思っています。

偶然にも(?)本日のテーマは「Bizチームが注意すべきデザイン視点」です。

「レベニューが第一優先となるBizチームがデザインにおいてどんなことを注意すべきか?」ユアマイスターの現場で起きたことを交えながら、共有していけたらと思います。

現在、セールスなどBizチームに在籍している方で、もっと事業への影響範囲を広げたい方や、プロダクトマネジメントをする中でBizチームと激突する瞬間がある人に読んでもらえたらと思います。

それでは参りましょう。

実際に起きたジレンマ:「収益」か「UI」か

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昨年、会社全体で月間過去ギネスの売上を達成するチャンスが訪れました。ただ、それも色んな要素がうまく行った場合のみの薄氷を踏むようなルート。

また、月末までの期限も差し迫っており、短期的に打てる打ち手はわずか。一番スピーディに動かすことが出来るのは、「プラットフォーム内の広告枠」でした。

ありがちですね。短期的な「収益」を作るために、「UI」を犠牲にするリスクを取らなければならないジレンマです。

ちなみに、表示する位置でいうとこのあたり。

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このバナー広告の部分がフロートになっており、下に遷移するとそのままついてきます。「ぐぬぬ、、さすがにちょっと邪魔・・・」と思いましたし、「これ本当にやるの!?」と起案してきた営業メンバーに思わず叫びました。

(ちなみにこの企画は、短期間ながらもマーケティングメンバーが機転を利かせてくれたおかげで、時期のトレンドにも合う特集広告に転換でき、何とか昇華させることが出来ました。)


議論の中で「あの頃の自分」を見る

現在、僕はプロダクトマネジャーとしてこういった「収益」と「UX」を両立させる立場にあり、「Bizチームが注意すべき・・・」などとそれっぽいタイトルで偉そうに話し始めていますが、過去の自分を振り返るとお恥ずかしい限りです。

当時、リクルートで転職サイトである「リクナビNEXT」の営業担当だったころ、自分も同じようなことを度々企画の皆さんに要望していたなと「あの頃の自分」を見ることになったわけです。

リクルートの媒体は、昔は「紙媒体」だったこともあり、読者向けの「特集」が数多く出されます。

(下記のイメージ※在籍していたということで添付ご容赦をば)

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それこそ毎週、毎月変わっていく特集があり、その特集には(最近は無料もありますが)企業様に有料で参画していただくものでした。

当時の自分は、定期的に生まれる特集に不満いっぱい。
「効果がない!」「もっと売れる特集広告や記事をくれよ!」と要望していたことを覚えています。

あの頃の商品の皆さんごめんなさい。本当に無知でした。

その当時の自分の心境でいえば、「顧客の価値に繋がりやすいものをカタチにすれば、顧客は喜んでくれるし結果売上も上がる」ということでした。

営業としてはそこそこ真っ当だったとは思いますが、大きくずれていたと今ならばわかります。


当時の自分が勘違いしていた3つのズレ

当時の自分は非常にずれた考えをしていたと反省するばかりですが、今この立場で気づいたことがあるからこそ、学びとして共有させていただきます。

ここで書いた「3つのズレ」とは

①対象のズレ

②指標のズレ
③時間軸のズレ

この3つです。

今回は、ユアマイスター、リクナビNEXT共にリボン図型のビジネスモデルをしていますので、それらを前提に考察しています。


①対象のズレ:誰のためか?

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まず登場人物を整理します。
リボン図モデルでは、大きく3つのステークホルダーが出現します。

・ユーザー(一般消費者)
・パートナー(事業者)
・プラットフォーマー(メディア)

更にプラットフォーマーの中を細分化すると、職種ごとに向き合うステークホルダーとマネジメントするモノが変わります
(今回はデザインがテーマなのでエンジニアなどは絞っています)

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分かりやすくするためにあえて直接的な表現を選んでいますが、Bizチームは収益対象をステークホルダーにすることから、パートナーに向いていることが多いです。

一方、プロダクトに関わるメンバーは、「ユーザー」をステークホルダーにしていることが多く、向き合う対象が違います。

リボン図モデルのプラットフォームにおいて、フロント部分は「ユーザー」のためにあり、リクルートの特集記事も、ユアマイスターの検索画面も、基本的に「ユーザーの持ち物」になるわけです。

この「誰のため」が非常にズレやすく、当時の自分は特に勘違いしていたなと思います。


②時間軸のズレ:中長期と短期

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これはシンプルですね。
UX-UIどちらのデザインも基本的には短期的なものではなく、中長期を見据えています。

なぜならばUXやUIを損ねると「瞬間的な収益」は入ったとしても、そのタイミングで利用したユーザーのロイヤルティが低下し、離脱してしまうからです。もしかしたら二度とその場に訪れないかもしれません。

勿論短期的な売上げも両立しながら行うのがプロダクトマネジメントですが、積み上げてきたUXやUIを崩してしまうと、取り戻すのは容易ではないということです。

facebookやInstagramが広告踏みはじめた当初、すごい使いにくい印象を抱いたりしたイメージありませんか?

彼らほど日常に根差したプロダクトだと幾分か良いかもしれませんが、まだ成長段階のプロダクトでは、ユーザーが競合を利用し始めるきかっけづくりにしかなりません。


③指標のズレ:実数と率

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最後に指標のズレです。

こちらは少し分かりにくい表現かもしれないのですが、
デザインは「率」を追っており、Bizチームは「数」を追っているということです。

デザインにおいては、例えば「成約までのCVR」や「DAU(アクティブ率)」など、母数は限られた中で如何にその中での「質」を追うかという考え方になります。

マーケティングと連動させる中で、「数」も勿論増やすのですが、「ざるに水を注ぐ」ようなアクションは極力避けます。

一方、Bizチームは「売上」や「顧客数」といった「数」を追うことになります。これは「率」に比べると比較的に達成しやすく、ROIさえ合っていれば投資もしやすい形になります。

「数」を達成することが最重要となると、「率が下がっても分母を増やしてしまえばよい」という考え方になるため、ここでもズレが生じます。

「最終的なアウトカムが増えるならば、数を追うで別に構わないじゃないか」とおっしゃる方もいそうなので、その点に少し言及しておきます。

確かにアウトカムが増えるうちはそのやり方でもいいのですが、それはパイが無限大にある時に成立する話になります。

もしマーケットに100万人しかおらず、20%の人に好かれるが残り80%の人は二度とつかわないサービスだった場合、早い段階で頭打ちになります。

先ほどの時間軸も合わさった概念になりますが、時間経過とともに「ユーザーにとってのマイナス印象」という負債がたまりやすいのがデザイン領域です。


【システム図で整理】先ほどの例を図解すると

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論点を伝えたいことに絞ったシステム図なので粗々なのですが、概念でいうとこうなります。(マイナスが多い。。。苦笑)

上記の結果起きていることは短期、中長期で分けると下記になります。

【短期】

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①広告掲載で自社売上が増加
②広告掲載パートナーの売上増加
③ユーザビリティ低下でユーザーの離脱増加≒利用者数減少による自社売上減

【中長期】
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①ユーザーのロイヤルティ低下により、利用者数減(利用頻度の低下)
②ユーザー数減少による、パートナー売上及びロイヤルティ低下
③ロイヤルティ低下による広告販売量低下

つまり、短期的には得しているように見えて、結果的に中長期的に損をしているということになります。(逆側のフィードバックループも回るので、最終的にはバランスしますが)


まとめ

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ここまでのことをまとめます。
Bizチームがデザインやプロダクトと相対するときに注意すべき点は3つです。

・対象(誰のため?)を揃える
・時間軸を揃える
・指標を揃える

短期のために中長期を犠牲にするということがあってはなりません。

この短期と中長期のコンフリクトを乗り越え、解消する提案をすることがすべてのファンクションに求められますし、Bizチームがこれを出来るとめちゃめちゃ良い組織と事業になっていくのだと思います。

今にして思えば、当時リクルートでも、そういったジレンマを乗り越え、成果創出をしていたSalesは表彰の常連でした。
僕自身も表彰をいただく機会がありましたが、その時もこの葛藤を乗り越えていたものだったと思います。

ここまで長々と話してまいりましたが、短期‐中長期、収益とUXといったコンフリクトを超越させるのがプロダクトマネジメントの醍醐味だと思いますし、こういった葛藤を日々楽しみながら仕事が出来る自分は幸せだなと思っています。

今回の内容は以上となります!少しでも参考になれば幸いです。

COVID-19 が猛威を振るっておりますが、健康第一で頑張りましょう。

本年も何卒よろしくお願いいたします!

そして、引き続き熱烈採用中ですので、少しでも興味があられましたら是非ご連絡ください。何よりも優先してお話するお時間作らせていただきます!。

エンジニア、デザイナー、PdMなど様々な職種がオープンになっておりますので、興味があられましたら是非DMリクルーティングサイトからご連絡ください。



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