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マッチングプラットフォームがSaaSを持つ理由ーリクルートで学んだ「国旗図」という考え方ー

こんにちは、久保 拓也(@takuya__kubo)です。

本日はリクルートで学んだ「国旗図」という考え方についてお話します。

直近、韓国のJob posting企業へのコンサルのお手伝いをしているのですが、その中で改めてリクルートの先見性や事業の凄味を感じています。

今回のお話では、僕がユアマイスターに入ってすぐに「業務支援SaaSに力を入れる」と決めた理由や「リクルートがなぜAirシリーズなど業務支援領域に投資していたのか?」を「国旗図」を交えながらお話していきます。

それでは参りましょう。

「国旗図」とは何か?

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上記が国旗図です。

リクルートの運営する「バーティカル(特化型)メディア」を「ユーザーとのタッチポイント(接点)」と「クライアントとのタッチポイント(接点)」を挟んで表現した際に、国旗のように見えることから「国旗図」と呼ばれています。

リクルートはユーザー、クライアントをマッチングさせるリボン図モデルであり、特化型のバーティカルメディアを運営していることから、ユーザーとクライアントそれぞれのタッチポイントが非常に重要です。

紙の時代では、「書店の流通網」がユーザーとの接点であり、「営業」がクライアントとの接点となって高い優位性を持っていました。※実はリクルートはこの書店の配本が肝でもありました。

紙からオンライン上へとその競争の場が移り替わった当初も、Yahoo Japanの一強であり、ポータルサイトと如何に付き合っていくかが勝負であり、うまくアライアンスを持ちながらリクルートはその存在感を強めていました。

しかし、検索エンジンが主流となり、様々なグローバルプレーヤーが生まれた結果、今となっては、ユーザーとのタッチポイントはGAFAに押さえられています。

検索はGoogle、コミュニケーションはFacebook、ネイティブアプリはAppleとGoogle、購買はAmazonなどに集約されていますね。

この様な環境下で成長戦略を描こうとした際に、リクルートは常にユーザーの流入を他のチャネルに頼るしかありません。

また、強みであるバーティカルメディアの創出という点でも、メディアの種類はニッチなものを除けばほぼ完成されており、新たなビジネスチャンスは少なくなっていきました。

そして、成長戦略とは裏腹に、ある程度成熟したメディア領域においては、徹底的なサービス模倣と、低プライス戦略でCPAを安く設定すれば、メディアの集客が奪われることも見えています。
(リクルートが各事業で2番手に落ちたりしているのは、競合との価格競争の結果とも言えます。)

こうなると、国内事業においてユーザーサイドでの活路はありませんでした。

一方、クライアント側のタッチポイントについて見るとどうでしょうか?

ユーザーサイドでは活路がないという中でも、クライアントサイドでは、リクルートの持つ「営業」という顧客接点アセットが活用できると同時に、クライアントの「業務支援」を行うことで価値を高めることが可能でした。

例えば、SalesforceなどCRMを中心とした業務支援SaaSはまさにそういった価値を発揮しています。

ここも既に複数の企業が覇権を争いあっている一方、生まれているのはエンタープライズ企業中心のサービスであり、リクルートが抱えるSMB領域のクライアントにおいては覇権をとっている企業はまだありませんでした


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リクルートが進んだ業務支援領域

「ユーザーがGAFAに押さえられている」
「クライアントはまだ覇権をとっている企業はない」

そういった状況を踏まえ、リクルートがビジネスの先に選んだのが、国旗図の右側クライアント側でした。

峰岸さんの記事もいくつも出ておりましたが、その一つを抜粋。


以前もSaaSはバーティカルだからこそ面白いというお話をしましたが、「業務支援」はその業界特有の商習慣や仕組みがあるため、バーティカルにしか分からないコトが数多くあります。

リクルートは業界や特化型のバーティカルメディアを運営していることに加え、顧客接点が強いことから、1つ1つの業界に対して深く入り込み「顧客の不=ペイン」を見つけ出す力に長けています

それらの顧客接点のアセットを使いつつ、自己変革を促す形でSaaSビジネスをスタートしました。それが、Airシリーズでした。

このプロダクトの価値は勿論、徹底した営業戦略など様々な成功の中で、多くの事業者に使われています。

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また、リクルートの中では後発で生まれたHotpepper Beautyはマーケットが完成する以前ら業務支援SaaSである「サロンボード」を装着し、クライアント側の接点を取ることでマーケットを完全に制覇しました。

今後もリクルートはそのバーティカル領域ごとに(場所によっては横断も含め)業務支援SaaSに注力していくのだと思います。


ユアマイスターで取り組むバーティカルSaaS

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バーティカルメディアはいずれ価格でコモディティ化するとわかっているからこそ、僕はユアマイスターに入ってすぐに「業務支援SaaS」へのシフトを決めました。

「そんなこと言って模倣されないか?」と思われるかもしれませんが、大丈夫です。バーティカルSaaS作ること自体はそれほど簡単ではありません。

強い顧客接点とパートナー解像度が高まらないと、決して「痒いところに手が届くmust haveなプロダクト」は出来ません。

そこに加え、ユアマイスターの抱える事業者は「職人をはじめとしたITリテラシーが比較的低いユーザー」が中心となります。

職人やサービス事業者の方々が、直感的に、負担感なく、経営合理性を高める支援をしていくことは一筋縄ではいきません。

この難易度の高い課題に真っ向から挑めることが、ユアマイスターのプロダクトの醍醐味だと思っています。

リクルートは今様々生まれているバーティカルSaaSの先駆者になっていると思いますし、そこに携わりプロダクトを磨き上げた諸先輩方は、本当にすごいなと思います。

だからこそ、その感覚を受け継いでいる僕自身が、このサービス産業を合理化する模倣困難なプロダクトを作っていきたい。そう思っています。

プロダクトの構想は日々進み、どんどん変わっていっています。
僕らと一緒にこのWhole Productの姿をより深め、描いていっていただける仲間を引き続き募集しています!

今週の話は以上です!
また次回もよろしくお願いします!

プロダクトに興味がある方のご連絡、心よりお待ちしております。
※何よりも優先してお話するお時間作らせていただきます。
※ラフ&カジュアルなコンタクトから是非

ご連絡はDMリクルーティングサイトにて。




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