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FAAVOありがとうって叫びたい。忘れられない景色と、地域クラウドファンディングFAAVOが実現した3つのこと。

この原稿は、地域クラウドファンディングサービスFAAVOが2021年6月30日をもってサービス終了するということを受け、有志が起案した「FAAVOありがとう」プロジェクトへの応援コメントとして作成したものです。今回より広く知っていただく機会にできればと思い、noteへの転載を行いました。

プロジェクトはこちらです。ぜひご覧ください。
地域と伴走してくれてありがとう。未来にバトンを繋ぐFAAVO最後の挑戦

— オカダさんに今回の文章を依頼したときに、「長文で書いていいですか?」って言われたのでビビっていました。どんだけ長いのが来るんだろうと。

寄稿依頼をいただきありがとうございます。FAAVOは大好きなサービスでもあるので、せっかく機会をいただいたなら本気で取り組まねばと思ったんですよね(笑)。

— FAAVOとのお付き合いってどんな感じだったんですか?

実は縁が深いんです。2015年4月頃からFAAVOのサイトリニューアルをおこなうために、webディレクターの「中の人」として関わり始めました。サービス開始当初からファウンダーである齋藤さんのことは知っており、当時ぼくは別のクラウドファンディングサービスの責任者をしていた時期で、一緒にイベントを企画したりしていましたね。

— おお、そうなんですね。けっこう長いお付き合いだったわけだ。

そうです。自分自身が関わったクラウドファンディングのサービスとしては2つ目であり、サービス開始当初から一番好きなクラウドファンディングサービスであり、一番支援をしたクラウドファンディングサービスになりましたね。

FAAVOが実現したかった景色を見られた日

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— 今日はとっておきのFAAVOの話をしていただけるんすよね?

もうだいぶ時間が経ってしまったんですが、2年前に宮崎県の高千穂町に遊びに行ったんです。

— 突然の高千穂きましたね!

ええ、唐突に語り出してみました。天岩戸神社という有名な観光地の門前通りにカフェを出したい、その際の看板設置費用をクラウドファンディングで集めるというのに支援したので、高千穂に遊びに行ったついでに寄ってみたんです。ここでの光景から話したいなと思います。

このプロジェクトは、地元の20代の青年がサポートしながら、60代のおばちゃんと一緒におこなったものです。サポートをしていたのが友人だったこともあって、プロジェクトが始まってすぐに支援しました。無事目標金額を達成し、看板もできたと聞いていたので、行ってみたんですね。

— 地域の小さな取り組みが集まっているFAAVOらしい取り組みですね。

店の中に入ると、起案者のおばちゃんが若者に聞くわけです、「いまリターンの確認をしているんだけど、操作の方法がわからん。」と。それで、若者がおばちゃんのスマホを見ながら、ちょいちょいと操作してこう見るんだよとやってたんですね。

ぼくこの光景に涙出そうになったんです。本当に感動した。

— 地元でがんばっている若者とおばちゃんがスマホを覗きあっていた風景に感動したんですか。

そうです。「この光景を作りたかった」という風景だったんですよ。

2015年のサイトリニューアルをする際のことなんですが、ぼくは描きたい世界観からサービスを作るという手法が好きで、このクラウドファンディングサービスで社会がどうなるのかという青写真を描いて、デザイナーやプログラマーやチームメンバーと一緒にディスカッションしていました。

その中のひとつが、「高齢者が青年にサービスの仕組みを教わりながら、その場で機器を操作してクラウドファンディングをしている」というものだったんです。

— 2015年くらいだと、まだまだクラウドファンディングも一般に浸透しておらず、まして地方の高齢の方だと全然わからないという時代でした。そのときに、FAAVOだからこそ、こういうのを描きたいと思われたんですか。

まさにそうです。FAAVOなら、クラウドファンディングをどこでも当たり前にできるものにできるんじゃないかと信じていました。ぼく自身もクラウドファンディングが大好きでしたし、この力が活きるのは地方だという思いもありました。

— いわばイメージボードとして描いた景色に出会えたというわけですか。

そうなんです。この景色をつくるために、スマートフォンでの表示が最適化されていなくてはいけない。要素は極力省いて、ボタンなど操作方法が明確になって・・・そんなことを考えながら作っていました。

リニューアル後しばらく、いろんなクラウドファンディングサービスの中でFAAVOの機能が一番充実しているな、っていう確信をもっていた時期もありましたね(笑)

— なるほど。明確なイメージがあったというわけですね。

この光景こそ、地域で見たかった景色なんだなと、目の当たりにしたことで改めて思いました。2015年にサイトリニューアルしてから今まで、ずいぶんと時間が経ったことを考えると、こういう光景は日本の各地で生まれていたのではないかなと思うんです。

FAAVOがあったからこそというと大げさかもしれないですが、クラウドファンディングという仕組みがあって、やりたいことがあるというときに、その仕組みを使いこなせる若者が上の世代をサポートして一緒になってすすめられるという景色が生み出せた。地域の中だけで考えてしまうと、しがらみだったり、人同士の関係性で前に進められなかったかもしれないものが、地域の外に向けて発信しようとすることで、既存のしがらみを超えられるという可能性を、地域クラウドファンディングはもっているのではないかとずっと考えています。

地域クラウドファンディングが実現したこと

— 地域特有の閉鎖性を突破して、地域の中でも新しいつながり・・・例えば年齢や所属のようなものをこえていく新しいつながりを作れていくのがクラウドファンディングの力ですね。しかしクラウドファンディングは大変だというイメージは根強いです。

いまさら言うまでもないのですが、クラウドファンディングって孤独なんですよね。起案者は不安だし、がんばり続けなければならないっていう状態になってしまいます。

— 「クラウド不安ディング」という迷言(?)を残した方もいました(笑)

はい、まさに(笑)。ぼくも講演とかさせていただくとよく言っていたのですが、「クラウドファンディングはお金が勝手に集まる方法ではなくて、お金を集めることができる方法」なんですよね。

だからこそ、「なぜ・何を」始めるのかということを言い続けないといけないわけです。それが孤独にも不安にもプレッシャーにもなります。

— 一時期はチャレンジの代名詞がクラウドファンディングへの挑戦になったこともありました。

あれは本当に良くないことだったと思っています。自分自身も関わってしまったのではっきり言っておきたいですが、ぼく自身も本質を見失っていました。あういう、チャレンジブームの果てに、クラウドファンディング疲れみたいなものも出てきたと思うんですよね。

— そんな時代を経て、今ではクラウドファンディングが一般化してきたことによって多種多様なプロジェクトが出ていて、内容も金額も幅広い印象です。

ここ数年でだいぶ様子が変わってきたと思います。どんどん浸透していったことで様々な取り組みが生まれ、そのノウハウも伝えられるようになりました。一時期はやった地域活性化としてのクラウドファンディングもおさまり、本来の取り組みベースのものが増えましたよね。

— FAAVOがつくってきた地域クラウドファンディングが生み出したものというのは何なのでしょうか。

クラウドファンディングって、世界のどこかにいる自分の想いを応援してくれる人とつながること、つまり縁が結ばれることを実現していると思うんです。これは、いま自分がいる場所がどこであろうと、どんな小さな声だろうと、拾ってくれるかもしれない人と縁が結ばれるわけですよね。

— めちゃくちゃロマンチックに言いますね。

ロマンチックだから良いんですよ(笑)。何が言いたいかというと、地域のクラウドファンディングが根付いたことで、地域のしがらみを越えるような縁が実現している場合もあるなと感じます。

地域内だけでは実現しなかったことが、クラウドファンディングを利用することによって、内外の新しいつながりを生み、その結果、地域にとってもプラスになるということが起こっていると思っています。

— 応援の声が資金と共に集まるわけですもんね。具体的な支援の声が見えるというのは効果が大きそうです。

そうなんです。やりたいことを外に向けて開くことによって、より広い世界から支援をもらえるかもしれないというのが良いですよね。ただ一方で、まだまだ自分の声で自分の取り組みを宣伝していって、友人・知人から支援を集める部分も多いので、声の届け方がより多様になっていくとますます面白いと思います。

— そのあたりは、FAAVOを引き継いだCAMPFIREはじめ、各プラットフォームに期待しましょう。

これからの地域との関わり方を考える

— 少し視点を広げ、FAAVOがもたらした地域への影響などはいかがでしょうか。先程の新しい縁というのもポイントだと思いますが。

地域との新しい縁というのは、関係人口という言葉でも表せられるようにもなっています。関係人口◯万人みたいな、嘘っぱちみたいな情報が散見されるので胡散臭く見えてしまっている部分もあるんですが、ある地域コミュニティの中の人だけが担ぎ手なのではなくて、その外側にいる、ときどきやってくるような人も、地域の担ぎ手だよというのが関係人口の考え方なので、新しい縁を結ぶクラウドファンディングとも相性が良いはずなんです。

ところでケヴィン・ケリーという人の有名なエッセイで、「1千人の忠実なファン」というのがあるんですが、ご存知ですか。

— あなたが創作したものを何でも買ってくれる人を「忠実なファン」として、アーティストや発明家などが生計を立てるには、千人程度の忠実なファンがいるだけで良い、というものですよね。忠実なファン一人一人から、毎年平均100ドルの収益を得るようにするという話でした。

その通りです。この考え方と共に関係人口をとらえるのが良いのではないかなと思っていて、漠然とした「地域を応援する人=関係人口」なのではなくて、地域で暮らしている誰かのファンが、関係人口なのではないかと思うんです。

— なるほど。たしかに関係人口の文脈では、「地域のファンを作る」という語られ方がしますもんね。

そうではなくて、あくまで人を集めるようなもとになるのは地域で暮らしている誰かなわけです。その地域に関わる特定の誰かの熱狂的な支持者を増やすこと。それがいま求められていることなのかなと思うんです。

— そう考えると、地域クラウドファンディングというのは、誰かのファンになる入り口になりそうです。

いまは、コロナ禍もあり地方移住への関心が高まっていますし、地方と関わろうというサービスも増えています。その中で、地方のことを見下すような、「関わってあげている」「支援してあげている」というような考え方で、地方を消費するようなこともあるようです。しかしFAAVOが示してきたことって、「地域発でこんなにおもしろい取り組みがあるんだ」という数々だったと思うんです。だからこそ、誇っていただいて、今後続々話題になるであろう「地方をなんちゃらするぞ」というサービスとかをむしろ利用したおしていくような未来が楽しみです。

— FAAVOが作ってきた「地域クラウドファンディング」には、地域の内外の新しい縁結び、地域の内外の経済循環、地域発の魅力的な取り組みの可視化というポイントがあったということですね。

今回の取り組みもそうですが、FAAVOは本当に愛されているサービスなんだなと思いました。みんなで「FAAVOありがとう!」って言わないといけないですね。

— そうそう、ファウンダーの齋藤さんは今や新しいサービスを展開中だそうですね。

事業承継をオープンに。クラウド継業プラットフォーム「relay」ですね。事業承継という大きな社会課題になるであろう分野に、地域ならではのアプローチで取り組まれているようです。間違いなく、新しい文化が育まれていると思います。

— 本日はありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました!FAAVOありがとう!この取り組みも実現できるようにがんばりましょう!!

あとがき1
と、こんな感じの空想対談を読んでいただきありがとうございました。いつか言おうと思っていたことが盛り込めたように思います。

FAAVOには起案者としても、チームメンバーとしても、アドバイザーとしても、様々なかたちで当事者として関わってきました。いろいろな思い出が詰まったサービスなので終了するというのは寂しいですが、このサービスから生まれた様々な縁はこれからも続いていくのだろうと思います。FAAVOの精神が、今後も様々なかたちで引き継がれていくことを願っています。​
あとがき2:支援のお願い
宮崎の有志が始めたこちらのプロジェクトへのご支援いただけるととてもうれしいです。「FAAVOありがとう」を、広く見えるかたちで実現できればと思います。FAAVOありがとうって叫びましょう!
地域と伴走してくれてありがとう。未来にバトンを繋ぐFAAVO最後の挑戦

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