美しき世界 川端康成の「雪国」
「美しい文章とはまさにこの作品のことだ」
僕が「雪国」を初めて読んだときに思ったことだ。
僕が小説を本格的に読み始めたのは今年の頭になってからで、特に文学に精通している訳でもなければ、小説通なわけでもない。小説の構造や小難しい分析などはしたこともないしわからない。
そんな僕がこの作品を読み、「美しい」と感じることができたことに感動した。小説を読むのに抵抗があった僕にその楽しさを教えてくれた作品と言っても過言ではない。
ここでは僕が感じたこの作品の魅力を書いていきたいと思う。
まず僕は情景の描き方が好きだ。
雪景色や女性の細かい描写が好きで、頭の中にどんどんその景色が浮かんでくる。
特に僕が好きな表現がこれだ。
「怪しく美しい夜光虫」
主人公が列車で移動している場面。窓の外に見える灯火と窓に反射した女の眼が重なった時を書き表したこの表現。
こんな風に窓に写っている女の眼と
外にある街灯かなんかの光が重なり
蛍が闇夜に光って浮かんでいるような
こんな映像が僕の頭には浮かんだ。
あー美しいなー。
こんな表現って素敵だなー。
こんな風に感じるシーンがそこら中に出てくるのがこの作品!
またこの作品では、明らかに不倫関係にある男女の性的描写が描かれていない。読み手に想像の余白を与えているところもまた面白さのひとつだと感じてしまう。
そして「文学作品」というイメージから生まれる堅さや重さがないことも僕が惹きつけられた理由かもしれない。
駒子という若い女と既婚者である島村の恋心は確かに切ないものだが、胸が重くなりすぎるほどではない。切なさよりも雪景色に交わる女性描写の美しさに心が揺さぶられてしまう。
とにかく重すぎない感じがちょうどいいのだ。
もう冬の時期になり、雪が降っている地域も多い。新幹線などで帰省する人は、窓から見える美しい景色に心を踊らせているのだろうか。
僕は東京にいるので雪景色を見ることはできないが、雪国を読みながら美しい雪景色に浸ってみたいものだ。
読んだことがない人は是非読んでみてください。
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