筋弱化

筋力弱化の原因

今回は筋肉の弱化です。

私たちが人の身体を評価するにあたって筋の緊張具合を評価をするのは得意ですが、弱くなった筋の評価はに苦手な分野だと思います。
MMTを検査しても原因がまでわからないことが多いのではないでしょうか。
単に使えてないだけだよーと話を濁したり、簡単なパテラセッティングで事なきを得る柔整師も中にはいます。自分もその一人でした笑

それでは筋力の弱化に今回まとめてみたいと思います。

筋緊張低下と弱化

そもそも筋緊張は脊髄損傷や脳卒中といった中枢神経系が損傷したときに低下します。緊張の低下した筋は弛緩→弱さにつながっていきます。
つまり筋の弱さは中枢神経を介した神経反射やその筋自体の置かれた環境の適応によって弱くなります。

弱化した筋は低緊張抑制ともいわれたりします。
抑制は筋が力を発揮しにくくなった状態つまり力は出せるのに理由があって出せませんという状態です。この状態が続くと次にその筋の発揮できる力のキャパシティ自体が低下します。


ここからは神経学的な要素と適応性の要素に分けて書いていきます。

筋緊張低下の神経学的要因

ここでは神経によって筋が抑制される原因を書いていきます

相反抑制

筋は拮抗筋が緊張をしたとき反射的に抑制されます。
緊張した筋の筋紡錘からの情報はⅠa求心性ニューロン→脊髄中枢でIa抑制性介在ニューロンへと続きα運動ニューロンにて拮抗筋に抑制をかけていくというメカニズムによって起こります。
つまり相反抑制による筋弱化は拮抗筋の緊張情報に伴う反射による二次的な抑制となります。
この相反抑制は関節運動の際に拮抗筋の緊張が増えることによって抑制された主動筋の筋バランスは関節運動を変化させ痛みを誘発させたり、理想的な関節のカップリングモーションを導き出せなくなります。


関節原性の筋弱化

関節の腫脹や機能障害によっても前角細胞経由で抑制されます。半月板損傷後の関節水腫、痛風やなどの発作的な腫脹でも起こり、タイプⅡ繊維(速筋)を選択的に抑制かけます。
したがって、捻挫の急性期にプライオメトリクスやSAQトレーニングは二次的な損傷のリスク大となりますので禁忌中の禁忌になります。たまにそういうなんちゃってトレーナーや指導者はいまだにいらっしゃるので注意ですね笑


求心路遮断

求心路の遮断とは私たちがよく目にする肉離れや捻挫などの損傷による機械受容器の損傷が関節から反射を二次的に低下させることです。
この関節からの求心路の情報が外傷により途絶えるとα運動ニューロンへの神経伝達までもが途絶え最終的に筋弱化につながります。


偽麻痺

人が動作を起こすとき主動作筋、共同筋、安定筋が正しい始動のタイミングで活動することが理想となります。このことを運動パターンと言ったりし、中枢が支配しています。
私たちが行うMMTによる筋力の強弱は単なる数字の情報に過ぎなく、MMTにて強いと評価された筋でも実際動作を行わせると抑制がかかっていて誤った運動パターンとなっているときもあります。これを偽麻痺と言います。


ベンチプレスのプレス時の頭部前方変位
スクワットやジャンプ着地時のニーイン
立脚中期の足部の過回内
オーバーヘッドプレス時の腰椎の過前弯

などが例となります。
ちなみにこれらの原因筋のMMTを調べると4/5となる事が多いのが特徴です。


トリガーポイントによる筋力低下

トリガーポイントは筋緊張の強い筋膜の圧痛点として表現されることが多く、その背景には組織を触診すると低閾値であることや、生体組織検査にて隣接した組織の放電休止の時、安静時放電活動波を示すのが特徴です。
この閾値の低下した組織は過活動による早期疲労→筋力低下につながってきます。トリガーポイントポイントのある筋群は通常の筋肉よりも早く疲労して、関節運動の始動時の運動単位の減少につながり関節運動の運動パターンのエラーへと発展します。


筋緊張低下の適応性要素



硬さによる弱化

筋の収縮には長さー張力関係というものがあります。

長さ張力関係

筋節(サルコメア)はZ膜からZ膜までのことをいいますが、筋肉はこの中にあるアクチンとミオシンが近づいたり、離れたりして収縮や伸張したりします。この図は収縮の際この二つが離れ過ぎていても、近すぎていても収縮力は強く発揮できず、最大の筋力を発揮するには適切な距離があるという図です。
ご存知の通りオーバーユースや筋挫傷などの外傷によって筋硬くなります。
この時長さー張力関係の曲線はシフトし一時的な筋力は強化されてますが、さらに収縮を続けると収縮をしない筋線維が増えることにより弾性が低下し筋線維の変性→虚血→最終的な筋弱化につながります。


伸張性の筋弱化

これは筋が通常の関節可動域を超えない範囲での持続的な繰り返される伸張により筋紡錘の活動を抑制(Ⅰb抑制)させたりサルコメアの増加を引き起こして長さー張力関係の曲線をシフトさせることにより弱化を起こさせます。


足関節周囲の骨折の固定後の底屈力低下
コーレス骨折のコットンローダー肢位の後の手指の伸展力低下
頭部前方変位の僧帽筋上部及び頸部深層屈筋群の筋力低下


エクササイズ実施の注意点


抑制された筋への筋力増加のための抵抗訓練やレジスタンストレーニングの実施は逆に活動性の低下につながったり共同筋や拮抗筋の過活動により誤った動作パターンでトレーニングを行うことによる二次的な障害発生のリスクになることがあります。
最近では接骨院でも院内トレーニングをする接骨院も増えてきている印象ですので少しでも参考にしてい実施していただけたらとおもいます。

今回はここまでです。


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