暮らしを整える、灯りとのつきあい方【ドイツ・ベルリン】
「いやー、ほんとねぇ。ベルリンがおもしろいんだよね」
荒川区で暮らしていた2年前のこと。25歳だったぼくは、取材で出会った人たちから勧められて、彼女とベルリンを訪れた。
ライフスタイルにまつわる視点でカフェやレストラン、美術館や蚤の市を巡り、この都市の文化を思う存分楽しんだ。
僕が好きになった生活様式は、ベルリン市民の「灯り」との付き合い方。
日本では室外からお店のなかの様子はつかめるが、こちらではそうはいかない。
お昼であっても、店内は外よりも暗いから、なかの様子を推ることができないのだ。
つまりベルリンでは、影をつくらないほどリビングを明るく照らす蛍光灯をほとんど見ない。
そのかわり、部屋の四隅や卓上には間接照明やろうそくの灯りがともっている。
「これで、充分なんだなぁ。むしろ日本で暮らす夜は、明るすぎたのかもしれない」
四六時中あかるいと疲れること。温かな光に包まれた空間は人をリラックスさせることを、肌で感じた。
ほのかに照らされた部屋は、手元のような、灯りが必要な場所をちゃんと照らしながらも闇をつくる。
見えすぎていたのだと思う。受け取る情報が少なくなると、心のメモリに余裕が生まれる。
すると胸の奥から聴こえる、ちいさな心の声にも耳を傾けることができるようになる。
これが自分の時間をつくるということだ。
思えば一人で暮らしていた頃、生活のリズムが散らかり放題だった。
仕事はやろうと思えば、いつまでも、どこまでもできる。気を失うまでパソコンに向かい、目が覚めたらパソコンに向かう。
そんな毎日だったからだろう。痛い失敗をしてしまった。
それからベルリンで見聞きしたことや周りの先輩たちをならって、暮らしに目を向けるようになった。
◎今日からできる工夫
1.リビング全体を照らすライトを使わない。
2.間接照明をつける。
住まいを大胆に変えなくても、ほんのちいさな工夫で自分を整えていくことができる。
あの日見たベルリンの灯りは、今夜もぼくらを支えてくれている。
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ドイツの首都ベルリンでの暮らしを映像で紹介しています。
◎毎日のことはInstagramのストーリーで更新しています。
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