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過剰なモノ・コトを減らせば、豊かに暮らせる

「僕らは2種類しかパンを作っていないんです」

Brot ist Gold と出会ったときは、かなり尖ったパン屋さんだなぁと思いました。

店主のThanosは、見た目も話しぶりもすごくやわらかいのに。

ベルリンには、たった2種類しか作らないパン屋があります。まるで浅草にあるパン屋「ペリカン」のような。

彼らの映像を公開したので、今日は彼らから、ベルリンらしさについて話したいと思います。

なぜ2種類しか作らないのか?

伝統的なサワードウという種類のパンをつくる Brot ist Gold が、あえて2種類しかパンをつくらない理由…

それは品質を追求するためです。

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彼らの特徴は3つ。

1つめは、パンには小麦粉、水、塩だけを使うこと。つまり、天然成分だけでパンをつくっています。

2つめは、ベルリンから100キロ圏内のパートナーから、原料となる小麦粉や塩を調達していること。

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引用:公式サイト

3つめは、職人技を重視し、パンを24時間もの長時間発酵させること。

お店を構えたのは今年の4月です。創業間もないですが、今やフランス大使館のパーティーにパンを提供するなど、活躍の場を広げています。

パン屋を創業した理由は、人間らしさを失っていたから。

彼らはもともと、誰もが知っているドイツ発の世界的な企業のマーケターでした。

なのに街のパン屋さん……?と、驚いてしまったのですが。

彼らがパン屋を創業した理由は人間らしさを失っていたからだそうです。

言い換えるなら、人としてあるべき姿が欠けていたということ。

大企業の社員だった時、自分自身のこと、仕事で関わる他者のこと、地域や環境のこと、そのどれもを犠牲にしていると感じていたようです。

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街の小さなパン屋が、6方良しを体現している。

売り手よし、買い手よし、世間よし。日本には、近江商人の「3方良し」という考え方があります。

株式会社eumoの新井さんは、著書『持続可能な資本主義』のなかで、現代社会においては「8方良し」のあり方を模索すべきだ、という提案をしています。

8方良しとは、社員、取引先、株主、顧客、地域、社会、国、経営者という8方向の人々と共通価値を見出し、みんなが嬉しくなるようなやり方で社会参加することです。

ではBrot ist Gold は?というと、街のちいさなパン屋でありながら、社員、取引先、顧客、地域、社会(環境)、経営者と、なんと6方向の懐も心も満たす方法で社会に参加をしている。そこがすごいと思うのです。

社員ーー職人がクラフトマンシップを追求できる
取引先ーー真摯なものづくりの支援と顔の見える関係性
顧客ーー人間らしい感覚を思い出させる、おいしいパン
地域ーーベルリンの人と人とをつなげる媒体としてのパン
環境ーー土を守り、長期的に続けられる仕組み
経営者ーー人間らしい働き方の実現
※詳しくは映像のほうで語ります。

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たくさんパンが陳列されているのは、普通じゃないのかもしれない

人として、どうありたいか? 

Thanosとkoljaは、それまで犠牲にしてきたものとちゃんと向き合い、他者や環境、自分たち自身を尊重して生産活動をするようになりました。

その結果、おのずと製造量や種類はしぼられ、わずか2種類だけを製造するパン屋のあり方に行き着いたのです。

このことから多すぎることを少なくすることによって、一見関係のないように思える課題を解決できるかもしれないと、僕は考えるようになりました。

パン屋さんに行けばたくさんの種類の中から選んで買うことができますが、Brot ist Gold の存在は、その当たり前に疑問を投げかけてくるのです。

パン屋さんに、たくさんのパンがあって然るべきだと思いこんでいないか?

パン屋さんがパンを作りすぎて、何かを犠牲にしていませんか…?と。

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お店の情報

BROT IST GOLD
GOLTZSTRASSE 18
10781 BERLIN
TEL:030 966 066 86
WEB:https://www.brot.gold/

◎毎日のことはInstagramで更新しています。

◎ドイツの首都ベルリンでの暮らしを映像で紹介しています。


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