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芸術と技術を編んだら「デザイン」が生まれた

ドイツに来るまで芸術学校バウハウスの存在すら知らなかったのですが… 

この学校の新しさとは、デザインという概念を編み出したことにあるようです。

「デザイン」と聞くと畑違いですが、新しいものを編み生みだしたコミュニティと知り、興味が湧いてきました。

では、なぜデザインという概念は、バウハウスで生まれたのでしょう。

BAUHAUSの工房は実質的な実験室

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デッサウにある校舎とバウハウスミュージアムを見学すると、この学校は、日本人がイメージするふつうの学校ではないことがわかります。

学びの場というよりも、実験の場なのです。

つまり、教え、教わる場ではなく、学生たちの研究を応援し、講師もともに試行錯誤する場でした。

今でいうところの大学院がそれに近いと思います。

じっさい初代校長のグロピウスは、こんな言葉を残しています。

「Bauhausの工房は実質的な実験室であり、現代を代表するモデルを入念に分析し、複製可能にし、継続的に改良する場。工業にも手工業にも貢献する人を育てる」

これを実現するために、工房ごとにふたりのマイスターを配置。

ワークマイスターは手工業を、フォルンマイスターは芸術的側面に責任をもちました。

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資金不足ゆえに、考察をする講義に注力

カリキュラムはすべての生徒が実技として工房で仕事をする前に、予科と呼ばれる基本コースを受講。 

その内容は①想像力を伸ばす教養②分析と考察による理論化です。

この背後にあったのは、校長グロピウスの「芸術と技術の統合」という思想と、資金不足の問題。

ふたつの観点から、講義は抽象的概念を扱う考察が増えていきます。

考察する対象は陶器や織物や家具だったようです。

ここからが重要なポイントです。

当時は、色彩、形状、素材が一体化したモノとして分析していたそうですが、次第にモノを色彩、形状、素材…と細分化して、それぞれの要素ごとに考察したことから、デザインが意識されるようになったそうです。

僕が好きなバウハウスの講師は、画家のカンディンスキー。彼は、線と明暗、平面といった、絵画の構成要素を徹底的に分析し、造形芸術に科学をもたらしました。

20世紀はじめに“抽象絵画”の概念をいち早く提唱した人物でもあります。

彼らがデザインをあらわにした経緯をたどると、あたらしい概念を編むヒントを得ることができます。

つまり、概念とは集まっているものを分解し、考察し、理論を組み立てることから生まれるのです。

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探求する過程で、デザインという概念を編んだ

では、資金がなくても概念を生みだした場では、どんなことがおこなわれていたのでしょう。

冒頭でお話したバウハウスの文化の観点から想像すると、座学としての講義ではなく、理論化するワークショップを生徒たちとやっていたのではないでしょうか。

バウハウスは、生徒とマイスターが一体となって、探求する過程で、デザインという概念を編みだしていったのです。

いやはや、本当にすごいなあと思ってしまいます。

今回バウハウスの創造性についてまとめてみた理由は、まだ世にないモノや考え方を見つけた人たちが、人の進歩や豊かさに貢献してきているからです。

今日の暮らしの豊かさに、バウハウスは深く寄与しています。

ドイツからは、考え方(哲学)と仕組みを大いに学びたいと思います。

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これからデッサウにあるバウハウスへ行く方へ。

❏バウハウスミュージアムデッサウ

バウハウスミュージアムは、混雑を避けるために時間制を採用しています。11時に到着しても、じっさいに中に入れたのは13時〜でした。

なので事前に↓からオンラインチケットを買っておくと良いと思います!

❏世界遺産に泊まる

当時の学生寮はゲストルームとして開放されています。

歴史的な建築に一泊すると、ダブルルームで60€。コペンハーゲンやアムステルダムと比べると圧倒的にお得です。

予約に関するお問い合わせは、予約フォームまたはaccommodation@bauhaus-dessau.deまでお問い合わせを。

❏行き方を調べる

ベルリンから DB Navigator でチケットを買っていくのがおすすめ。二人で片道22€でした。

アプリを使えばすべてオンラインで済ませることができますよ。

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