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健全なる精神は、健全なる住環境に存する

「健全なる精神は、健全なる住環境に存する」

「家屋は諸君の城砦にして安息場所なり」

長い時間を過ごす住まいを考えるときに、小林一三の言葉が思い浮かぶ。

小林一三は、宝塚や東宝の創始者でもあるが、今やあたりまえのように浸透している住宅ローンやマイホームの概念をつくった人物でもある。

大阪の梅田のような大都市に人口が極地集中していた100年ほど前、狭い長屋ではなく100坪もの広い区画の一戸建てに暮らすという豊かさを彼は提案した。

野原だった郊外に線路を敷き、その周辺に家を建てるという郊外都市開発モデルを作ったのだ。

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おもしろいなと思うのは、100年後に生きる僕であっても、小林一三が一石を投じた社会に生きていると感じられること。

僕のおじいさんはまさに群馬からの東京流入組だが、家業を継がない次男坊、三男坊が、産業の発展を支えるために田舎から都会に出てきた。

次の世代である父と母は、東京の下町で育ち、郊外に移り住んだ。

そして郊外でぼくは漏れなく郊外で生まれ育った。

郊外の鉄道と宅地開発のターゲットにしたのは、大阪に多くの富裕層がいたにもかかわらず、資産をもたないが学歴を持ち、10〜15年後に社会の中核を担う中堅の社会人だったという。

つまり、小林一三は「健全なる精神は、健全なる住環境に存する」という根本思想のもと、これからの社会を担う人々に、それまでよりも豊かな暮らしを用意したということ。

では小林一三が現代を見るなら、これからの社会の中核を担うのはどんな人々で、その人たちは15年後にはどんなふうに暮らしているだろう。

子どもの世代のことも視野に入れて、これからの暮らしをしっかり選んでいきたい。

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