企業活動とネイチャーポジティブの実践 #04
今、失われつつある日本の原風景や豊かな自然環境。この流れを食い止めることは、国や一個人の活動のみでは難しいのが現状です。
2021年に開催されたG7サミットでは、2030年までに国土の30%以上を自然環境エリアとして保全する目標「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」が定められました。
そこで今、重視され始めたのが企業や地域による自然保護の取り組み。
従来からある国立公園、国定公園など法令によって自然が守られる保護地域だけではなく、企業や地域がすでに持っている自然豊かな土地を守っていこうという考えです。
つまりこれからは、環境活動に積極的に取り組む企業を応援することが、健やかな自然を取り戻すことに繋がる時代となっていきます。
そんな時代に応援すべき企業の活動を紹介する、サスティナビリティレポート。今回取り上げる企業はサントリーホールディングス(以下サントリー)です。
サントリーは、日本が「環境問題」に目を向け始めた当初から、経営の軸の一つとして環境活動に取り組んできました。
そのシンボルとなってきたのは、「鳥」と「森」。
サントリーはなぜ、50年以上前から鳥を愛して活動してきたのでしょうか。
そしてサントリーが誇る「天然水の森」の活動には、どんな思いや技術が注がれているのでしょうか。その秘密をひもといていきます。
- IMPLICATIONS OF ACTIVITIES - 事例から示唆
ネイチャーポジティブの実践
サントリーが50年以上森作りや愛鳥活動に甚大な力を注ぎ続けているのは、これらの活動を「基幹事業」と位置づけているからだといいます。そしてこの視点は今後、世界的に重要になると考えられているのです。
「ネイチャーポジティブ」とは、現在の自然環境を「維持する」だけではなく、「回復させる」ことを目指す概念。
これまで、経済活動の多くは、裏側では自然に負担を与えてきました。
その負担をゼロにするだけでなく、ゼロからプラスへと転じていく必要があるのです。
しかしその実現のためには、従来から行われてきた公共事業やボランティア活動だけでは力不足。
自然環境への取り組みをビジネスとして成り立たせ、自然保護に携わる人材を育てる企業の取り組みが不可欠だと考えられるのです。
現代の世界が進むべき方向を、50年以上前から見据えていたサントリー。これからの50年も、豊かな自然環境を取り戻すため、日本全体を牽引してくれることを期待せずにはいられません。
サントリーの環境活動は私たちの暮らしと未来にさまざまな影響を生み出しており、企業の持つ力が世界を変える可能性に満ちていると実感させてくれるものなのです。
- EDITOR'S PERSPECTIVE -
今後、サントリーに求められる取り組みとは
ネイチャーポジティブとは、「維持する」だけではなく、「回復させる」ことを目指す概念だとすると、サントリーの取り組みは、今後どのような視点が必要になってくるのでしょうか。
「よい水にはよい森が必要で、そのバロメーターとなっているのは鳥」という理は変わるものではなく、ネイチャーポジティブを実践していくうえでも核となるもの。
いっぽう「よい森」だけを切り取ってみても、「森を育てて」、「その資源を使い切る」という循環が起きています。
サントリーのおもな現在地は、「よい森を育てる」という循環の片側の話に注力しているため、スノーピークとの「山の向こう」プロジェクトのような、環境資本を生かしていく取り組みが重要になってきます。
「育てた森」の資源をどうしたら適切に使い切れるのか。
それに関わる事業体の人々の課題や生活をどうしたら守り、回復させられるのか。
このような観点までサントリーが主導する範囲に入ってくると、新たなビジネスや他業態との協業が産まれてくるのではないでしょうか。
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■参考・出典
サントリーの環境活動はこちらをぜひご覧ください。
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