のんびりいくのだ！

こんなにもか、というぐらい寝ている。

睡眠が苦手だったのに寝ても覚めても寝ている。何かしらの病にかかると、人間とにかく眠るのかもしれない。

この国では四人に一人がうつ病である。他の先進国に比べると圧倒的な数だ。

僕の周りにも多い。

心身共に健康だった友達が一人、また一人とうつになった。中には死んでいった人間もいる。

まわりに認められるための頑張りを捨てれば助かったのかなぁというひともいれば、アルコールをやめればよかったのかなぁというひともいる。

うつの病因はひとそれぞれである。

しかし彼らの「それ」は捨てられないことがじつに多い。

他人からしたら「命の方が大事じゃん！」と言いたくなるだろうが、そのモノサシでは患者たちを測れない。

命よりも酒やクスリを飲む方が大事、恥をかかないことの方が大事、そうこぼしながら息絶える人種は一定数いる。

要するに命がけで向き合うから心を破壊されるのだ。

それでもいいところもある。
僕の場合、統合失調の要素を含んでいないところだ。これが無いだけで社会的に死ななくて済む。

統失の患者に絡まれたことが数度あるが、アレは大変だ。まわりの人々に対して、ワーワー言い出すのだ。

病室で絡まれて、本当にウザかったことがある。ファンにもヤバイのがいた。ずっと「家にカメラ仕掛けんな！」と言われ続けた。

うつは「気力がわいてこなくなる」や「視界が狭くなる」という側面が多いので、案外迷惑はかけない。

仕事ができないことは申し訳ないが、大きくひとの邪魔はしない。ソウルメイトにぶん投げだ。ありがたいことに。

とにかく突っ伏していればいいだけだ。

「のんびりいこうよ人生は」でやっていけたらいい。ふだんからそうは思うのだが、こればっかりは気質だ。

うつはのんびりできない人間にとってのフリーズタイムだ。多少傷んでも、いつかは砂をつかんで立ち上がれるはずだ。僕たちはそうできているはずだ。