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バンドマンのLINEはお悩み相談室

はじめまして。平井拓郎と申します。ロックバンドをやったりnoteを書いたり小説を出したりしています。

僕のバンドの名前はjuJoe(じゅーじょー)といいます。おそらくご存知ないでしょう。

バンドマンと言っても誰しもがミスチルやワンオクになれるわけではないのです。

それでも僕の音楽に「好きです」がゼロ票なわけではありません。

ゼロではないおかげでひっそりやらせて頂けています。
世の中にはそういう海面から顔を出してはいないけど、自分たちなりに成立しているバンドがじつはいくつもいるのです。本来の言葉の意味合いも含めて「インディーズ」なんかと呼んだりしますね。

そういう海中にいるバンドの活動にイメージなど湧かない方もおられるかと思います。一部をお伝えしますね。

僕たちバンドマンは新曲のリリース情報や「ライブやります!」といったお知らせを行います(ドームでやるようなスーパーバンドも告知はしますが)

↑こんな感じですね↑

Twitterやニュースサイトから情報をキャッチしてもらうのも一つの手段なのですが、ファンの方に直接伝える方法があります。これが「公式LINE」と呼ばれるものです。
昔はメールマガジンなどが主流でした。皆さんもどこかの飲食店や美容院でメールを登録していると、ダイレクトにお知らせメールが届くかと思います。

公式LINEはこれのメッセージアプリ版ですね。要は「LINE」です。
一括送信でファンの方に「イカれた新曲ができちまった。聴いてくれよな!」とYouTubeのURLを送れるのです。素晴らしい時代になりましたね。

ただ、こういったツールは原則、業務連絡にしか使いません。送信するなら告知、受診するならチケットの予約ぐらいなものでしょう。

僕はここにノイズを起こしました。きっかけは一通のメッセージでした。

ある日「ライーン!」と通知が来ました。親指でスイスイ確認してみるとどうやらファンの方からです。

「チケットの予約かな?」と少々ウキウキして開くと、そこには「お金と時間どっちが大事?」と書かれていました。謎でした。常識的に考えて、バンドのLINEに聞いてくるような質問ではありません。居酒屋に入って三時間ぐらい経った頃に出てくるレベルの話です。もしくは寺です。寺の修行などでは聞かれると思われます。僕は酔っ払っても修行中でもなかったのですが、原稿用紙二枚分ほどのテキストを返信しました。

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すると次の日に違うファンの方から「牛乳を買いに行くのだが、いろんな種類があるけどどの牛乳がいい?」と届きました。これは完全に主婦の会話です。原稿用紙四枚分ほどのものを返しました。

いつの間にか質問や相談、謎の話題が飛んでくるようになり、僕のバンドjuJoeの公式LINEには100以上の相談?問いかけ?が持ちかけられるようになりました。

内容は「新居が決まらない」や「おばけの正体を教えて」と言ったようなライトなものから、「うつが治らない」、「不器用で生きづらい」、「学校に行けない」と言った深刻なものまで様々です。
話しかけられたら答えるだけだったのですが、だんだんと原稿用紙五枚以上の文字数になってきました。

「なんでこんなことしてんの?」とよく言われます。自分でも分かりません。

回答の質も無責任の極致のようなものです。しかし自分の中にも「返信を待っている誰かがいるならば返す」という不気味な使命感が生まれつつあります。

五十通を超えた頃だったと思います。友人に「帰りの電車の中で読むのにちょうどいい」と言われました。

世の中の悩みは老若男女様々です。直接、人に相談できない方もいらっしゃるかと思います。そんな時、一つの逃げ込み先、非常口として「全然関係ないバンドのLINE」があってもいいんじゃないでしょうか。

そんな非常口に放り込まれたお悩みが100以上ご覧いただけます。

「人間の悩みの九割は人間関係」と言われています。

僕は悩みというのは解決すればいいわけでもないし、解決しなくてもそれはそれで悪いわけじゃないと考えています。「悩みと全然責任のない答え」をいくつも並べていると、苦しみをもたらすはずの「悩み」というもの自体がたまに憎めなくも感じるんです。

広告代理店で働く男が麻布あたりで「悩んでる君、その悩みだって、君の一部なんだよ❤️」なんてことを言ってそうじゃないですか。そんなペラペラ野郎の言葉は聞く必要ありませんが、悩んだままでいいのかぁぁぁ、なんて浅めに感じる日があってもいいんじゃないでしょうか。

ちょうど良い距離感で付き合えますよ。juJoeのLINE。お楽しみください。






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