見出し画像

12年前の4月を思い浮かべる

全力疾走の4月が消化されまくりあっという間に消失しそうである。花見的なレジャーイベントは皆無だった。

しかし過去の僕のキャリア的を振り返ると、花見ができていない年ほど良い年度になっている。もちろん花見をしたからダメというわけではないのだが。そんな年度の始まりである。

4月と言えば新入社員。
僕自身は2010年に学生じゃなくなった。

新入社員の年に新入社員になれなかった劣等感が心に重くのしかかっていたのをよく覚えている。

僕は早朝の新宿小田急の改札口で、似合わないピカピカのスーツを着た同い年が街に吸い込まれているのをビールを飲みながらボケーっと見つめ続けていた。彼らはどこかへ出かける蟻のようにも見えたし、何かしら「今日のやるべきこと」に立ち向かっているようにも見えた。そんなやらなきゃいけないことすら与えられていない、自分に用意すらできていないことにほんのり焦りながら、鈍めの苛立ちを感じていた。

あの日から矢のように月日は過ぎて、今年で僕も「大人」12年目である。

見知らぬ誰かに「社会人12年目なんすか!?」と聞かれたら「いや……」と微妙にNoを唱えてしまうほど、フラフラしてきた。

正社員には一度もなれなかった。いや、そもそも真面目に目指したこともないが、目指したところで通用しない気もしているぐらいは自分を諦めている。この12年間で分かったことは薄々感じていたけれど、僕は正社員に適合する性質をいっさい持ち合わせていないということだ。働くというのは甘くないのである
働けないので、働いてもらえる場を作ろうと思い、会社を作って生きている(連絡くれたらわりと雇います。いいやつならだけどtakurooohirai@gmail.com)

このフラフラした生き方を一番痛感するのが4月だ。

フラフラしている人間は年度ごとにキリ良く生き方が変わるわけでもないのだが、やはり年度移り変わりで「あ、今俺ってこうして生きてるのね」と自分で自分を俯瞰するクセがついた。

いまだに約束されていない進路をボーフラのごとく生きている。しかしここから見える風景はそれなりに面白くもある。

結局、何も変わらないのだという気もするし、どこかの誰かと同じように生きられないからと言って嘆く必要もない気がしている。そしてとりあえず僕の音楽は10年経っても変わらずに鳴っている。

この記事はちょうど10年前。2012年5月に発表された記事だ。

消費税は5%だったし、ヒットチャートはAKBだらけだった。iPhoneは5だった。

下記は数日前にリリースされたニュースだ。
10年経っても取り上げられていることはありがたいことだ。このナタリーの担当のひとも付き合いが二桁年になる。時は流れている。

こちらの曲が僕の書いた最新曲。良い。


音楽を作って歌っています!文章も毎日書きます! サポートしてくれたら嬉しいです! がんばって生きます!