離れてしまう
「この勘違いにすがりついて生きていこう」という希望なのか諦めなのかよく分からない感覚をずっと重ねてきた。
前向きなのか後ろ向きなのかすら分からないでここまで人間を続けてきた、とも言い換えられる。
「学校をサボって友達とキャッチボールをしてしまう自分たちをクールだと思ってしまうような感覚」が好きだった。
生きていると、素晴らしいことや嬉しいことが起きる。
だけどそのほとんどが勘違いだ。
僕の人生にとって音楽が素晴らしかったのかも分からないし、あの頃が楽しかったのも思い出せない。それで手に入れた出会いは溶けていくことの方が多かったし、自分の作ったものが誰かを動かしたかの確認も取れていない。
分かったのは「キャッチボールは永遠には続かない」ということだ。
そもそも囚人のような基本的な毎日があるから嬉しいのであって、キャッチボール自体がそこまで好きなのではない。いつまでも続かないから貴いし、別れてしまうから大切なのだ。
言うなればその瞬間が楽しいのは錯覚だ。だけどその錯覚を錯覚のまま愛していたいのが僕たち人間なのだから仕方ない。
何かを無理に真実だと思い込もうとすると心が歪むではないか。その場に留まり続けないといけない。
だからこそ笑い続けるために、泣いたり怒ったりしなくてはならない。でもそれももう疲れに感じてしまう日がある。
錯覚かもしれないけれど、錯覚を錯覚のまま慈しみたい。そういう姿勢を維持していたいのだ。 そして勘違いにすがりついたまま時間の経過を楽しんでいたい。
僕は今なんとか人間をシャバでやれているのが不思議なぐらい攻め攻めでやってきたし、きっとこれはこれからも変わらない。守りに入って生きるやり方で通じるほど強くもない。力の無いものは力の無いなりの戦い方しかできないのだ。
だからか、僕のまわりからはみんな離れてしまう。ずっと関係が続いてきた人間なんて一人もいない。全員離れていってしまうのだ。
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