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身体に悪いものは大概魂には良い

世の中がタバコをとにかく撲滅させようとしている。なぜここまであの煙を制限しているかと言うと健康に悪いからだ。僕はタバコといじめと殺人が嫌いなので嬉しくはあるし、これらが地球から消えればと願う。
しかし喫煙スペースは区切られ、スモーカーらが所狭しと追いやられているのを見ると、多少いたたまれない気持ちになってくる。

ニュースを見ていてウクライナの映像などが流れると「戦場ではどこで吸えばいいのだろうか」と変なことが気になったりもする。喫煙所があるのだろうか。喫煙スペースを探してるあいだにスキだらけになって、射殺されたりしないものだろうか。ちなみにタバコも健康に悪いが、戦争はもっと悪い。

世界の動き的にも「タバコのメリット」みたいな論文は学会に出したらもう完全に突っぱねられてしまうらしい。事実であっても「今そういうこと言うなや!」で処されるそうだ。

しかし魂に良いものは大体が身体には悪い。酒もタバコもロックも夢も恋も健康被害がつきまとう。これらはやりすぎると、人生そのものを蝕むほど有毒だが、ゼロだとじつに味気ない。

憂鬱が巨大な布団のように覆いかぶさってくる日があると思う。

たとえば僕たち音楽屋はこの数年でもうヘトヘトである。ウイルス騒ぎで何人もの同業者が泣いている。自分でコントロールできない事案に頭を抱える心的ストレスは大変重い。僕もその重量で頭がい骨が陥没しそうであった。

仕事の楽しさの定義は『個人で決定できる裁量がある程度あること』だそうだ。
たしかにどんな業務であっても、自分で何も決められなければつまらないのは「仕事」ではなく、「作業」になってしまうからだろう。

どこへ向かって飛んでいけばいいのか、航路を見失っていた音楽だが墜落するわけにはいかないので、飛び続けるしかなかった。どこに向かって飛べばいいのかが分からないのは苦しいものだが、上空をひたすら旋回していた。

「こういうときはどうすればいいんすか!」と詰んだように感じるタイミングは人生につきものだ。正解は「牙を研いで死期を先送りにして耐える」なのだと分かっているが、大変難しい。

こういうときに「身体には悪いが魂に良いもの」の出番なのだ。

「不安なときは美味い物を食うといい」という迷信のような、それにしては体感的にも正しそうな名言がある。

ちなみにこの世で一番美味い食べ物はマクドナルドだ。
全体的に糖質と脂質で構成されていて、栄養素がほとんどない。代わりに生きる希望が詰まっている。ビルゲイツも常食していたと聞く。どんなに稼いでも人間は結局、マクドナルドに帰結する。エベレストに登ろうが宇宙に行こうが、結局は土にかえるのだ。

自殺の名所と呼ばれる東尋坊や富士の樹海には「ちょっと待てよ」という救済アイテムがいくつかある。公衆電話や「悲しむ人がいるよ」などとじつに鼻持ちならない引き留めが飾られている。しかしこんなものは何の役にも立たない。

死のうとしているのだ。「あなたが死んだら悲しむ人がいるわよ!」なんて言葉は犬にでも喰わせておけばいいのだ。

1000億%踏み止まる方法がある。マクドナルドに行く。ただそれだけだ。

そんなに自殺者を減らしたいなら、『マクドナルド三途の川前店』を出店するだけでいい。ビッグマックやチキンナゲットを食った直後に飛び降りる人間はいない。

自害するとき、首吊りや飛び降りなど重力を利用するパターンが多いが、マクドナルドは消化するまで重力を無効化する。強制的に引き出された希望という浮力によって死ねなくなるのだ。

マクドナルドは体には良くないのかもしれない。だけど一番健康に害があるのは、タバコでもトランス脂肪酸でもない。自殺だ。死ぬのが一番健康に良くないのだ。

猛暑が激しい。心が折れそうになる。そんな日こそ「i'm lovin' it!!!」と油の匂いが充満した店内で奇声を上げていこう。

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