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葛飾北斎 / メトロポリタン美術館
文句いいたくなったら、思い出しなはれ。
相手の不機嫌に触れる。
またかと、と思う。
自分の感情は自分で面倒みなさいよ、
いい大人なんだから。
そんな風に考えられる自分って大人ーと
悦に入っていたけれども、
毎度毎度不機嫌さんに会っていると、
相手だけの問題ではない気がしてきた。
思い返せば、自分も同じ、もしくはもっと
ひどいことが多々あった。今もある。
そもそも人様の勤務態度、生活習慣に
とやかく言えるほど働いていない、
真面目に学校生活、社会生活を
送ってきたわけでもない。
むしろ、横着をしてきた方。
他人の過失をみるなかれ。
他人のしたこととしなかったことを見るな。
ただ自分のしたこととしなかったことだけを見よ。
文句を言う。
不満が湧く。
態度に出る。
そしてそのたびに、
「自分はどうなんや?あれ、そんなに
言うほどなんか励んできたんか?」
と思い返し、恥ずかしくなり、落ち着く。
こんなボンクラに、
齢70を過ぎた老父はなおも、
「まあゆっくりかかりなはれ。ゆっくり」
と諭す。
おとんには勝てんな、と愚息は思う。
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