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相談援助職ビギナー、必携の1冊

去年の4月からケアマネージャーとなり、社会保障制度のことなどで相談を受けることが多くなった。

福祉の仕事をはじめて20年余り。これまでずっと介護の現場で働いてきたので、制度について深く知ろうと考えたことがなかった(考えろよ!という感じですが…)。逆にいえば知らなくても何とかなっていたのである。

ただ、もうそういうわけにも行かなくなってしまった、というわけで年末年始にこの本を読んでみた。

2020年版 ケアマネ・相談援助職必携 現場で役立つ!社会保障制度 活用ガイド   「ケアマネージャー」編集部 福島敏之著

主に、「生活保護」「障害者福祉」「医療保険」「権利擁護」「年金」の5つの制度についての概要が書かれているのだが、福祉に関わる国の制度のことが網羅されていると感じた。

この本で私が特に知りたかったのは、介護保険以外の社会保障制度の大まかな内容である。細かいところはその都度調べればよく、大体の制度の活用方法やポイントなどを理解できれば、仕事に生かせると思った。

以下、特に大きな気づきを得た点を備忘録的にメモしておきたい。

①「生活保護」

生活保護の申請は、本人か扶養義務者、同居の家族しか申請できない。もちろんケアマネは代行できず、成年後見人でも不可という。

では、独居、認知症、身寄りなしの高齢者の生活保護の申請はどうするか。

急迫した場合と福祉事務所が認めれば、申請手続きを省略して職権による保護開始ができる。

ということらしい。したがってケアマネの役割は、「職権保護の対象となり得るべき人」がいる、と福祉事務所に伝えて、早めの保護開始となるように働きかけることだ。

②「医療保険」

まず基本中の基本の負担割合についておさらいしておく。

・小学校就学前の子は2割負担。

・小学校就学後から69歳までは3割負担

・70歳から74歳は2割負担(現役並みは3割負担)

・75歳以上は1割負担(現役並みは3割負担)

恥ずかしながらこんな基本的なことさえ正確には知らなかったので、この機会に、覚えたい。

次にリハビリテーションにおける医療保険と介護保険の役割分担

リハビリテーションは大きく分けて、①急性期②回復期③維持期・生活期の3段階で展開されていて、①②は治療と並行して受ける短期集中型のリハビリで医療保険で給付、③はそれでもなお残る障害に対応するために行われる、生活機能維持やQOL改善のためのリハビリで介護保険で給付する。

言われてみればその通りで理解はしていたのだが、このように言語化されることで、ケアマネとしての役割が明確にイメージできるようになった。

③「権利擁護」

まずは高齢者虐待の「通報義務」について。確実な証拠がなくても、推定できるならば、管轄の地区の包括に通報しなければいけない。また、虐待疑い事案の場合は、個人情報同意をとっていなくても、情報共有できるという点も、抑えておきたい。

また、ケアマネは高齢者自殺予防のゲートキーパーであるという記述もあった。自殺をほのめかされたときに、傾聴しつつ、どのような対応をすべきか。教科書的ではあるけれども、「よくお話しいただきました、ありがとうございます」「最善の解決方法を一緒に考えましょう」等の言葉は頭に入れておきたい。とにかく「気づく」「受け止める」「つなぐ」にもっていくことが理想だ。

その他、成年後見制度や悪徳商法・特殊詐欺についても詳しく書かれており、この辺は、直面した時に辞書的に使っていくのが良いと思った。

④「障害者福祉制度」

障害者福祉といえば、身体、知的、精神の3種類かと思っていたが、指定難病患者も含まれていた。知らなかった…恥ずかしい…。

本人または家族が申請し、介護保険でいうところの認定調査をおこなって、区分が決まる。非該当から区分6まであり、6が一番重い。ただ、この区分は等級とはまったく別物。身体障害の等級であれば1級が最も重い。逆で紛らわしいけれども、その辺のあいまいなところがよく理解できた。

障害者手帳によるメリットは以下の通り

福祉機器の購入費補助、税金の軽減、通所・外出を手助けするサービス、公共施設・公共交通料金の割引、医療費の補助、有料道路通行料金の割引、75歳未満の人の後期高齢者医療制度加入、NHK受信料の免除。

私の地区ではタクシー券も配られるので、メリットは大きいと感じる。

また、自立支援医療についても詳しく書かれていてありがたかった。

⑤「年金」

年金では、厚生年金のありがたさにあらためて気づいたのと、障害年金は65歳になってしまったら申請できない、というのに驚いた。遺族年金は生計を支えていた家族が死亡した場合に支給される、というのも正確に理解できていなかった。

⑥まとめ

はじめて知ったことや、確認できたことが多くあった。

相談援助職必携の一冊であろう。

制度の基本をしっかりと理解できていなかったので、そこをまず掴むことが大切とあらためて感じた。基本をある程度理解していれば、困った相談がきても、より具体的に、人に聞けたり調べたりができると思う。今後の相談業務に生かしていきたい。

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