見出し画像

「考える授業」シリーズ(4)実際の授業はどう展開するのか(その2)!

こんにちは。カナダのバンクーバーで数学教師をしている梅木卓也です。

フォローやコメントよろしくお願いします。https://linktr.ee/takuyaumeki  

前回は実際の授業をどう構成していくかという話をしました。授業の始まりから、質問の作り方、またどうすれば生徒がより集中をキープできるかなどでした。

今回は授業の中盤から後半にかけてどうしていったらいいかについてお話します。

授業の中盤

授業の始まりから中盤にかけてよく起こる現象として「これであってますか?」があります。これは生徒がグループ内で試行錯誤して問題を解くことができた。解くことができたので先生に合ってるかどうか聞いてみようというごく自然な生徒らしい行動です。

生徒の考えるという行為を最大限にすることで、学びを最大限化する「考える授業」。このごく自然な生徒の行為にもメスを入れます。

はたして「これ合ってますか?」は生徒の考える行為を深めることにつながっているのか?

生徒がよくする2つの質問

ここで考えたいのは生徒がする質問にも種類があるということ。考え続ける質問と考えを辞める質問です。

考え続ける質問は、その名の通り、考え続けようとするときに出てくる質問です。主な例としては、次の質問に移っていいかとか、この問題のここを変えてみてもいいかなどです。

考えを辞める質問は、自分が考えることはやめて、誰かに考えてもらおうとする行為です。

この2つの質問を鑑みて、先ほどの「これで合ってますか?」の質問を考えると、「先生、とりあえず解けはしたが、確認する方法がわからないので、先生確認してくれますか?」という生徒の心情が読み取れるでしょうか?

つまり自分たちで確信を得るほどの理由が見当たらないので、誰かに確認している行為なのです。数学や考えるという行為の最終目標がとりあえずよくわからないが解けることであればこれでいいかもしれません。

でも数学教育の目的をその一歩も二歩も先の深い理解に繋げたければ、「これで合っているかどうか」も含めて生徒に考えてもらいます。

具体的にはグループ内での話し合いで合意を形成したり、ほかのグループからアイデアをえたりします。

ほかのグループと答えが違う場合は、そこで「どちらか一つのグループが間違ってるってことはわかるよね」などとコメントをすることでグループ内外を問わず、クラス全体でシナジーを形成していきます。

このような行為を繰り返すことで、先生に頼りっきりだった生徒が、自分たちで自信をもって答えをまたそこまでの道のりを形成できるようになります。

授業の後半

各グループでそれぞれのペースに合わせて、問題を解き、解ければ次の質問をほかのグループからえる。この繰り返しで、クラス全体である程度の問題レベルまで解ければクラスのまとめに移ります。

もちろんランダムなグループなので、その日のグループ構成によってはペースの遅いグループも出てきます。そういったグループにはより多くのヒントを与えて、その日に必要な最低限ラインの質問レベルまで解けるように導いていきます。ヒントの出し方についてはまた別の機会に。

ここで大事なのはボトムアップアプローチです。

ボトムアップアプローチ

今までの先生主導の教え方では、基本的にトップダウンな教え方でした。つまり例題を解いた先生が、似たような問題を生徒に解かせ、その解答を与える。

この行為は生徒が理解してようがいまいが先生の解き方を見せることで、クラス全体が同じレベルになり、次の例題への準備が整うという仮定をもとに成り立っています。

実際は解答を見せられた時点では生徒の理解はバラバラで、次の例題に移る準備などできていません。なのでついていける生徒だけどんどん理解し、ついていけない生徒は第一問目の例題からよくわからないという現象がよく起こるわけです。

このアプローチの反対をなすのが「考える授業」。全生徒が試行錯誤しながら問題を解き、準備ができた時点で次に進む。ある一定のレベルまで解き終わった状態でまとめをすることで、無理やり説明することで「同じ状態にもっていく」という無茶が起こらないのです。

なぜならもう生徒がそこに到達した時点でまとめをするから。

そしてここで今日はこのようなことを学んだと話すことで、クラス全体がそのまとめの意味を理解できるという状態になります。

まとめ

今回は授業の中盤にありがちな、生徒の質問から、後半にかけて大事になるまとめの考え方について書きました。次回は最後のまとめをどのようにすれば生徒がより考えるようになるかについて話します。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?