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「医療にデザイン?」と思ったぼくが医療デザインについて学んでみた(楽しむための5つのコツも紹介)

2023年3月から始まった医療デザイン大学2期生。
1期に続き2期連続で参加したのですが、細部がブラッシュアップされており内容がパワーアップしていました!

そこで、3ヶ月間(全9回)の学びをレポートとしてまとめ、自分なりに学びを活かせた事例も紹介していきます。

さらに、他受講生の感想医療デザイン大学を楽しむためのコツも書いてみました。受講を検討している方はぜひ参考にしてみてください!


医療デザインって何だろう?(3/5:野崎礼史先生)

第1回目は「医療デザインとはなんだろう?」という内容でスタートしました。

第1回講義のグラレコ(りょうこさんver.)

医療デザインという言葉を初めて聞く方の中には「医療とデザインが結びつくとは思えない」と思う方もいるかもしれません。

そんな方でもわかりやすいように、野崎先生(医療デザイン大学学長)が多くの事例を交えて説明してくれています。

  • 肺の形を模した灰皿

  • 動物園のようなMRI室

  • 思わず登りたくなる音が鳴る階段

言葉で指示するわけではなく、自然と行動が促される

自己表現としてなされる「アート」とは違い、他者のためになされる「デザイン」だからこそ、担える役割なのだと思います。

医療とデザインは別々に考える必要はないんです。医療デザインとは「よりよい未来を実現するための学問」なんだと教えてもらいました。

第1回は参加者一人ひとりの学びたいことも考えました

ソーシャルグッドデザイン(3/19:石川淳哉先生) 

第2回目は「social good producer」である石川淳哉先生の社会課題への向き合い方を考える講義。

「皆さんが医療デザインで解決したい課題はなんですか?」

受講生それぞれに解決したい社会課題があり、石川先生は課題に対する向き合い方を丁寧に教えてくれます。

  • why:解決したい社会課題(人生の目的)

  • how:どうやったら実現できるか

  • what:何を取り組んでいけばいいか

考え方や視点、マネタイズの方法など、1人では考えつかないことも受講生同士で知恵を絞り協力すれば解決できるかもしれない。

これぞコレクティブインパクト(Collective impact:集合的な成果)であり、医療デザインで課題を解決する手段なのだと石川先生から学びました。

第2回のグラレコ(れおなさんver.)

言葉のデザイン(4/2:長谷川哲士先生) 

第3回目は「言葉のデザイン」。何気なく使っている言葉の伝え方を真剣に考えてみました。

例えば、喫煙によって体調を崩している人に「禁煙したほうがいいですよ」というのは簡単です。

ただ、言われた方はどのように感じるでしょう。

正論だからこそ、強制されているような気持ちになってしまうのではないでしょうか。人によっては言われたことに対して反発したくなるかもしれません。

言葉を受け取る方がどのような気持ちになるのか。

伝える前に一度考えてみると伝わり方が変わるかもしれませんよ。

「タバコをやめた先生がご飯がうまいって言ってましたよ〜」

「タバコの煙のせいで、引越しの時に壁紙代10万円も取られちゃいました(笑)」

あなたが禁煙者だとしたら、どのような「言葉」で勧められるとその気になっちゃいますか?

第3回のグラレコ(りょうこさんver.)

医療とデザインについてUXデザインの視点で考える(4/16:吉橋昭夫先生)

第4回目はUIUXデザインとして「使いやすさ・わかりやすさ」を考える講義でした。

医療現場において、患者さんやご家族へ説明する機会は度々訪れます。

  • 治療や検査の方法について

  • 入院の手続きについて

  • 服薬や医療器具の取り扱いについて

そんな時に「説明もれが無いように」とついつい情報を伝えすぎ・盛り込みすぎてはいないでしょうか?

提供すべき情報を 精査・取捨選択
伝えるべき情報の 整理・優先順位付け
伝わりやすい順序の検討
親しみやすい雰囲気になっているか

情報を受け取る患者さん・ご家族の気持ちになって心地よく、わかりやすく受け取れるかを考えてみましょう。

デジタルなものだけでなく、パンフレットやチラシのようなアナログなものにも活用できるはずです。

第4回のグラレコ(れおなさんver.)

ヴィジュアルコミュニケーションデザイン(4/30:原田泰先生)

第5回目は「図をコミュニケーションに活用してみよう!」というテーマでした。

  • 文章に起こしてみる

  • 絵を描いてみる

情報を伝える手段は様々ありますが、文章と絵の良いとこ取りをできるのが「図」です。

図的表現は文と絵のいいとこ取り

絵がうまい必要はありません。
まずはノートに書き出してみましょう。

表現することが考えることであり、伝わりやすいような文章と絵を組み合わせれば表現力が増す。

絵にする手がかりも意識できると、あなたの表現はより伝わりやすいものになるはずです。

第5回目のグラレコ(りょうこさんver.)

今回は原田先生自身が描かれたスペシャルver.のグラレコも共有していただきました!

原田先生によるグラレコ

看護師がモノをデザインすること(5/14:吉岡純希先生) 

第6回目のテーマは「看護師がモノをデザインすること

第6回のグラレコ(れおなさんver.)

食事介助や服薬管理などケアに追われる日々の中で、モノや工夫がケアの現場を支えています。

  • 誤嚥を予防する小さじのスプーン

  • 箸に薬袋をしばって飲み忘れ防止

  • 車いすのブレーキをラップの芯で代用

看護師だけでなく医療者がそれぞれの視点を持ち、モノを作ったり工夫をしたりする行為こそが「デザイン」なのだと吉岡先生はいいます。

重いフライパンを斜めで固定できれば1人でも簡単に盛り付けができる事例

ニッチな分野でも細やかにアプローチができる。医療者の強みを活かして、今後もモノをデザインしていきたいと思いました。

空間演出デザイン(5/28:池田由里子先生・久保田好正先生)

第7回目は療法士であるお二人による空間演出デザインの講義。

「自分の周辺5mから変えてみよう!」

自身の職場や患者さんを取り巻く環境をいきなり変えるのは難しいかもしれません。
だからこそ、自室やリビングのような身近な環境から変えてみるのはいかがでしょうか。

きっとその経験が、職場や患者を取り巻く環境を変える近道になるのだと思います。

というわけで、講義の翌日に自身の洋服ダンスの中身を整理してみました!

なんということでしょう〜。衣類が見えやすく取り出しやすくなりました。

畳み方を工夫したことで、衣類の種類や取りやすさが段違いに良くなったんです。

デザイン思考を学び、経験として自身に落とし込んでいけた良い経験になりました。

メタバースで医療をデザインする(6/11:渡邉雄介先生) 

第8回目は講義中にメタバース空間の中に入り、アバターの操作や会話、動画の視聴をする時間がありました。

第8回のグラレコ(れおなさんver.)
  • アバターのため身バレせず匿名性が守られる

  • 匿名性のおかげで込み入った話がしやすい など

実際にメタバース空間を体験したからこそ、発見できるメリットがたくさんありました。

メタバース空間で講義を受けている様子

その一方で、そもそもパソコンに馴染みのない高齢者画面操作で「メタバース酔い」になってしまう方など、メタバースに触れてみたくても触れづらい人たちがいることも忘れてはいけません。

そういった方々も取り残さず、社会課題である「医療費の増大」や「業務の効率化」を解決するインパクトがメタバースには求められているのだと思います。

受講生発表会(6/25)

第9回目は医療デザイン大学の受講者から計8つの発表がありました。

その中の1人として、僕も自身の活動を発表しています!

1.コミュニケーションとしてのプロダクトデザイン(たくま)

プロダクトデザインに関する発表
プロダクトデザインを通してコミュニケーションが深まる

2.学校法人恵泉女学園跡地 スタジアム化計画(りょうへいさん)

学校跡地を区民が使えるスタジアムに!
多種多様な使い道が区民の交流を生む

3.フラワーフェスティバルにおけるマンホールトイレの活用と災害トイレの啓発(やのさん)

災害時に大活躍してくれるマンホールトイレ
公園にはこのように設置されるみたいです

4.医療に関わる全ての人の幸せの提案(まりこさん)

医療に関わる方に寄り添った優しい提案
嫌の記憶ではなく、なんでもない経験だったと思ってもらいたい

5.「人口0人の村」で地域コミュニティの成熟は図れるのか(あまちゃん)

「人口0人の村」って一体なんなんだ!?
主体的に参加でき、親しみやすい「村」というコミュニティ

6.看護師業界を変える新しい看護師団体設立(いっきさん)

看護師の看護師による看護師のための支援団体
看護師の抱える問題に対して真正面から向き合っていく

7.医療デザインの教育をする(けいこさん)

これぞ医療デザインの導入事例!
医療デザイン大学のエッセンスが組み込まれた方略

8.リマインドリングカード(よねちゃん)

健常者でも欲しくなる「リマインドリングカード」
誰でも使いやすいユニバーサルデザインを目指します

医療デザイン大学で学んだことを形にしている人。
今まで取り組んで来たことをより広げている人。

それぞれの受講生が行っている取り組みは、どれも魅力的でワクワクするような内容ばかりでした!

第9回のグラレコ(れおなさんver.)

けれど、発表までで終わらないのが医療デザイン大学です。

発表後は小グループに分かれ「発表者に貢献しよう!」という目的で、発表に対するアイディアを出し合いました

30個弱のアイディアが生まれました!

約10分間という限られた時間でしたが、自分では思いつかないようなアイディアが20個以上も出てきたんです!

これぞコレクティブインパクト。今後は考えた what に優先順位をつけ、形にできるようにがんばります。

医療デザイン大学を受講し終えた受講生の声

医療デザイン大学を受講した仲間には医師や看護師、理学療法士、ケアマネージャーなど、医療従事者が多く参加しています。

それだけではなく、教育現場やデザインの世界で活躍している方々もいて、「医療デザイン」という学問への興味課題解決のヒントを求めている方が多いように感じました。

そんな方々が医療デザイン大学を受講し終えて、どのようなことを感じたのでしょうか。

受講生の「生の声」を抜粋してご紹介します!

Q.何を期待して本コースに参加しましたか?

・学び、出会い、刺激
・医療現場の情報収集と人脈作り
・医療の課題をどのようなデザイン手法でアウトプットするか学びたい
・デザインのアイディアで人の行動が変わることを学びたかった

・仕事や活動に関わるアイディアのヒント
・介護予防、地域づくりのヒントを得るため
・ヘルスケアの最前線で働く方が何に興味関心を持っているのか知るため
・必要な方に情報が伝わらない閉塞感を打破するため
・看護にデザインを混ぜ込む
・プロジェクトの普及方法

Q.本コースの進め方で1番よかったことは?

・講義とグループディスカッションの時間があること
・ブレイクアウトルームで少人数に絞って全員参加を促しているところ
・動画やグラレコなどの資料を後日配布しくれること
・講義後に放課後タイム(自由に話せる時間)があったこと

Q.本コースでの最大の成果は?

・たくさんの出会いが得られたこと
・院内で療養環境や医療、ストレスの課題を感じている仲間が見つかった
・皆さまの素敵な構想を知り、頑張らなくちゃ!!と思えた
・広く医療現場や実態への接点を持てて、十分な成果が得られた
・豪華な講師の方々、普段交流できない方々から自分では気付けない視点を与えていただいた

・講義の内容が日々の業務に活かせたこと(活かすようにしていた)
・医療にデザインを入れることが、こんなにも今までの医療から変化させられることが知れた
・デザインというものを身近に感じることができた
・自分のビジョンが曖昧でよりブラッシュアップが必要と痛感した
・同じ医療でも関わらない職種の方々の抱えている問題意識に触れることができた

期待していた出会いや感じていた課題に対して、成果を得られた受講生は多かったのではないでしょうか。

また、受講生からは運営に対する要望や改善点も挙がっており、3期生開講の際にはより良い形で運営されるはずです。

今後も、パワーアップしていく医療デザイン大学から目が離せません!

医療デザイン大学を主体的に楽しむ5つのコツ

最後にぼくが実践してみて感じた、医療デザイン大学を主体的に楽しむコツを5つ紹介します。

  1. グループワークでは話し始めのきっかけを作る

  2. 講義中にチャットを活用する

  3. 講義後のアウトプットを受講生コミュニティで報告する

  4. 講義以外のオンライン交流会・勉強会に参加してみる

  5. イベントやオフ会にも参加してみる

重要なのは1〜3。
医療デザイン大学の講義を主体的に楽しむとしたら、1〜3までできれば十分かなと思います!

また、4〜5は医療デザイン大学(医療デザインセンターの企画)をより楽しむためのコツです。
4〜5までコンプリートできたら、あなたは相当な医療デザイン大学マニアでしょう(笑)

魚をもらうのではなく「魚の釣り方」を学ぶ医療デザイン大学を楽しむために、ぜひ参考にしてみてください!

1.グループワークでは話し始めのきっかけを作る

講義の後には小グループに分かれて意見を話し合う時間があるのですが、1番最初に声を出して話し始めのきっかけを作ってみましょう

「こんばんは!」や「よろしくお願いします!」などなんでもokです。まず自分から声を出してみると、肩の力が抜けてその後は話しやすい雰囲気になっていきます。

みんな緊張してるから自ら話しやすい雰囲気を作っていく

「自分から話し始めるのは苦手だなぁ…」と思う人も安心してください。小グループでワークをする時は自動的にリーダーが決まる仕組みになっています。

緊張してなかなか話出せなくてもリーダーが話を振ってくれるため、勢いに任せて自分の意見を話してみましょう。

2.講義中にチャットを活用する

講義の内容に対して直接質問するのが苦手な方は、ぜひチャットを活用してみてください

自分ではなくコメントに注目が集まるため、心理的なハードルが下がり少し緊張が緩和されるかもしれません。

また、講義の内容に対してつぶやいていると、他の受講生からも反応がもらえたりします。(仲良くなるきっかけにもなるんです)

ふとした気持ちで投げた意見が予想外の盛り上がりを見せ、講義にもいい影響があった時も度々ありました。

「講義の邪魔にならないかな…?」と遠慮せずチャットに書き込みましょう!

さらにコメント欄が盛り上がっていると講師の方によっては「ノって」きてくださる方もいます。

そんな時には気持ちよく話をしてくださるため、資料に含まれていない「より深い内容」が聞き出せるかもしれませんよ。

3.講義後のアウトプットを受講生コミュニティで報告する

講義で学んだ内容は翌日などにアウトプットして、受講生コミュニティで報告するのがオススメです。

受講生コミュニティでアウトプットするとしっかり反応ももらえます!

講義で「聞いた話」が実践を経て「体験に基づいた話」に変わるため、より深く講義の内容を理解できます。

個人的には「医療デザイン」は実践してナンボだと思っています。いっぱい実践して、失敗して、その経験すら糧にしていく先に、社会を変える「Collective impact」が生まれるのかもしれません。

4.講義以外のオンライン勉強会・交流会に参加してみる

医療デザイン大学の受講生には、医療デザインセンター主催のオンライン勉強会の案内が来ます

  • プロスポーツコーチ

  • 情報デザイナー

  • 現職の市長 など

医療職だけでなく、さまざまな分野で活躍されている方々の話を聞けるのは貴重な機会です。

さらに、参加者主体でオンライン交流会を企画することもあり、講義ではなかなかできない話をするチャンスにもなります。

医療デザイン大学1期生のオンライン交流会の様子

医療デザイン大学の受講生と交友を深める、新しい情報に触れる機会として、講義以外の企画にも顔を出してみるといいですよ〜(僕もちょこちょこ参加してます)

5.イベントやオフ会にも参加してみる

2022年11月19日に「医療デザインサミット2022 BEYOND BORDERS」が開催されました!

医療デザインサミットの集合写真

サミットは「医療デザイン」を自身の臨床やサービスに実装し、社会課題に立ち向かっている方々が集まる刺激的な場です。

実際に2022年のサミットに参加しましたが、すでに行動している方は刺激をもらえ、何か行動してみたい方は背中を押してもらえる、そんなエネルギーに満ちたイベントでした。

 医療デザインサミットのイベントレポートはこちら

今年は11月18日(土)に開催されるため、興味のある方はぜひ医療デザインセンターのホームページをご確認ください!

医療デザインセンターのホームページはこちら

また、2023年7月15日には納涼会も企画されています。(こちらは7月15日以降で加筆・修正する予定です)

こちらは医療デザイン大学の受講生だけでなく、医療デザインセンターの理事や企画に参画されている方々も参加される会です。

さらに交流を広げたい方は、オンラインだけでなく対面で会えるイベントに参加してみてはいかがでしょうか。

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