インフルエンザ予防接種の重要性

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新型コロナ対策の効果もあり、昨シーズンは、インフルエンザは流行しませんでした。なぜ、今年は警戒が必要なのでしょうか。

新型コロナ感染拡大の予防のため、今は世界中でグローバルな人流が抑制されています。その結果、2020年の冬季には、季節性インフルエンザウイルスの流行が世界中で起こりませんでした。しかし、今年はすでに10月の時点で、南アジアやインド、中東各国で、季節性インフルエンザウイルスの流行が起きています。従って、日本でも、国境を超える人流移動が再開(空港での出入国の規制緩和)されれば、季節性インフルエンザウイルスの流行が生じるのは自然です。そのため、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザウイルスに対する水際対策が重要課題となっているのです。

今のようにマスク着用とうがい、手洗いの励行でインフルエンザ感染は十分、防げないのでしょうか。

WHO(世界保険機構)の基準によると、季節性インフルエンザウイルスの感染予防対策として、マスク着用は指定されていません。マスク着用やソーシャルデイスタンスなどは、季節性インフルエンザウイルスの感染防御策として有用と思われるものの、流行の抑制としてはグローバルな人流の規制がより効果的です。とはいえ、マスク着用やソーシャルデイスタンスなどは必要でしょう。

インフルエンザワクチンを接種する必要性はあるのですか。

インフルエンザの治療薬は大きく分けて、飲み薬、吸入薬、点滴の3種類があります。飲み薬はタミフル、ゾフルーザ、吸入薬はリレンザ、イナビル、点滴はラピアクタという薬です。これらは、体内でインフルエンザウイルスが増殖するのを抑える抗ウイルス作用があります。

インフルエンザ検査は発熱後12〜24時間でないと正確な診断ができません。またインフルエンザ治療薬は発症から48時間以内に服用または投与されなければ抗ウイルスとして効果的ではありません。2020年3月~今年10月初旬の時点までで、日本国内では季節性インフルエンザウイルスの感染者数が極めて少なく、そのため、日本人の季節性インフルエンザウイルスに対する抗体価および免疫応答は低いと考えられ、インフルエンザ感染による重篤な症状を予防するためにはワクチン接種が必要と考えられるのです。
 日本感染症学会が季節性インフルエンザウイルスのワクチンの積極的な接種を推奨、との見解を示したのもこのためです。

Published by Kyoto@takumaH

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