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農か、農業か。

「趣味と仕事の境って、手段が目的になっているかいないかだと思うんです。」

田中泰延さんの著書「読みたいことを、書けばいい。」で目にしたこの一文に、なるほどなぁと思うことがありました。

青果卸の方から聞いた話です。

取引先の農家に伺ったとき、「近所でミニトマトを作っては余らせているやつがいるから、ちょっと買ってあげてよ」と言われたと。紹介を受け、ミニトマト農家のもとへ向かったのですが、彼にとっては卸先からの注文量には過不足はなく、買い取る場合は義理に近いところがありました。

「こんちわー、元気でやっとりますか。トマトの調子はどうです?」
「ええ、まあぼちぼちですわ…」

軽く声を掛け合うものの、どうもトマトの話は避けられている。
余らせて困っているのではないのだろうか。直売所よりは高い値で買い取れるのだが、なぜだろう。

昨今は、余らせて困る人も多い。取引先を増やすか、

「一番楽なのは、趣味でゆっくりやることやなあ。」

兄弟子が、よく溢していた言葉です。彼は離農する直前まで売上が全然立っていなかった(とぼくは親方から伺っていた)。

農業で生きていくためには、作目は手段でしかなく、変わることも厭わない覚悟が必要になりますし、少量多品目の有機農業で〜といっても、マッチョな農家さんは投資対効果の高い(資材投入コストが低い・作業負荷が軽い・粗利が高いなど)作目に絞って回転させてるので、ちゃんと調べても面白いと思います。一方で、趣味として野菜を育てて暮らすのであれば、別軸の収入源をつくらなければ生きていけない。

「描きたいものを描かせてもらえないのは、自分に実力がないという証拠だ。」

バクマン。佐々木編集長が熱意剥き出しの亜城木夢叶を叱ったとき

趣味なのか、仕事なのか。どの温度感で関わるかはそれぞれでいいのだけど、農業としてやっていこうとするのであれば、事業性を突き詰めつづけてほしいなぁ...というつぶやきです。

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