アンダードッグとして

アンダードッグとは

アンダードッグとは、社会的には落ちこぼれ負け犬と周りから見られる人のことを指す。家庭環境が貧しかったり、社会的ステータス(学歴や職歴)が低く、周りからは「こいつは成功しないだろう」とレッテルを張られるような出自の人を総称する。

しかし、スタートアップの世界では、アンダードッグであることは貴重な資質として捉えられる。事実として、AppleやTesla、Googleなどの巨大テック企業の創業者には、移民出身者や大学中途退学者のような、社会的に「アンダードッグ」とされる背景をもつ方が多いといわれている。(下記記事より参照、引用)

アンダードッグとして

成功する起業家像を先輩方から伺う機会がある。
周りのトレンドや足元のピンチに一喜一憂しない(いい意味で鈍感である)力とか、お金のない中で創意工夫を凝らす力とか、法と倫理に触れない範囲でなんでもする気概とか。なんやかそういう点を多く耳にするが、総じて生きる力が強いかどうかに帰結するんだと思う。

先輩方とのお話のなかで、恐れ多くも僕自身について訊かれることがある。僕の身の上話をするたびに「たくまくんはタフだね」と評されることが多い。

我ながらタフな方だとは自覚しているし、上で触れた"アンダードッグ"の部類に当てはまるんだろう。

僕個人は、国内外の生産者、地方の商社のなかで学生時代を過ごしてきた。僕の同級生がエリートキャリアを歩んでいる一方で、僕は小さい商社のオフィスに間借りして起業した。いまだに籍を置いているため、賞味期限が切れた or 近い原料や輸出向けに提供いただいたサンプルをいただくことがある。そのため、食は偏るものの食べるには困らない。たまに、学生時代にかかわっていたファーマーズマーケットや、生産者のもとに顔を出してはなにかと野菜を恵んでもらえたりもする。(いつもありがとうございます)

生き方を肯定する

これは、僕の周りに頼れる人が多いとか僕に頼れる力があるとかそういう話じゃなくて、そもそも自分で生きる力を高めてきた、それだけに尽きるんだと思う。

"アンダードッグ"とされる人と、僕は圃場で出会ってきた。

僕が見てきた限りでは、一次産業のような肉体労働かつ労働集約的な産業には、知的労働市場からドロップアウトした人たちが集まる一面がある。

なかには、弁護士資格のための勉強を3年間重ねた末に諦めた人も、遠く離れた家族を養うために出稼ぎにきた人も、鬱を患い都会から逃げてきた(彼がそう形容していた)人もいた。彼らは自分たちを"負け犬"と含むこともあった。社会に馴染めなかったと、どこか負い目を感じているところはあるみたいだった。

それでも、僕は彼らから色んなことを教えてもらった。頑丈なロープの結び方から野菜の育て方、地域の目上の方への接し方まで、彼らは身をもって教えてくれた。僕自身の人間として生きる力を高められたのは、紛れもなく彼らのおかげだった。

彼らには、僕が大学卒業と同時に起業したことは既に伝えてある。現時点で何をするのかも定まっていないが、方々で期待されていることだけは伝わる。

僕が成功することで、直接的に彼らの期待に応えたい気持ちと、間接的に「おれが育てたたくまがようやってるわ」と、彼らが彼ら自身を肯定することにつなげたい。それが、僕が受けた恩義の返し方で、僕個人のモチベーションになっている。

根底にあるのは、この領域に懸ける僕の熱でしかない。
僕自身は、食品産業に学生時代からbetし続けているし、これからも変わらない熱で向き合っていく。その熱が思想となり、文化となり、サービスになっていくことを信じている。だから、今後幾度となくハードな事象に巻き込まれようとも、僕が折れない限りは僕しかやり続けられないんだと思っている。

この先の景色を見たときに、またこの青臭い文章を振り返りたい。

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