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9年目スタートアップがカルチャー(MVV)を見つめ直した話

はじめに

スリーシェイクの吉田です。昨年、半年ぐらいかけて会社のミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を再定義しなおしました。 その経緯と想い、得られた経験をシェアできたらと思います。

きっかけ

スリーシェイクは創業9年目になり、Sreake(SRE総合支援サービス)Securify(セキュリティサービス)Reckoner(ノーコード型ETLツール)Relance(フリーランスエンジニア特化型人材紹介サービス)と4事業を抱え、メンバーも100名を超えてきました。

おかげさまで各事業成長フェーズに入り社会の一員として役割を少しずつ担えるようになってきました。一方で、様々な「迷い」が現場で散見されるようになりました。

例を挙げると...

  • 個別の課題や目の前の目標は理解しているが、将来各事業をどうしていきたいのかが見えない

  • ベンチャーなのに4つも事業をやっている意味がよくわからない

  • スリーシェイクの事業を社外で説明するのが難しい、うちの会社ってそもそも何者なのか?

    などなど...

まさに会社や事業のMVVがない状態で、みんなバラバラの方向に走り始めている状態です。

2年前まで(30名規模)は、私やメンバーとの距離感が物理的に近かったこともあり、普段から私とメンバー間で会社の未来や事業の想いについて雑談することが多く、こういったギャップは発生しなかったので、正直「ついにこのフェーズきたか...」という感触でした。

更にここから具体的に問題が起きた事象として

  • 採用活動でメンバーが社外の人にスリーシェイクについて端的に紹介することができない

  • 事業部ごとにLPやバナー広告のデザインがバラバラになり統一感やメッセージ性、差別化ができない

  • プロダクト開発で短期的な課題の洗い出しやロードマップは策定できるが、中長期のロードマップが引けない

  • 営業活動で競合サービスに対し、自信をもって違いを説明することができない、サービスが提供する価値、夢を語ることができない

といったことが発生しました。

方向性が浸透していない故に、迷ったときに立ち返る場所がなく、結果的に目の前のKPI/KGIを追うことだけの状態になっていたのだと思います。

組織やサービスが成長し、業務が加速度的に増えていく中で、1つ1つの方向性を経営サイドから指示を渡していくことは実質不可能です。 メンバー自身の判断や自発的な行動に会社を委ねていくには、考え方の物差しとなるMVVとその浸透は重要だと改めて痛感しました。

更に、私達スリーシェイクがやりたいことや達成したいこと、だけでなく、そもそもスリーシェイクは社会に対して何ができるのだろうか?存在価値は何なんだろうか、という想いがモヤモヤと出てきました。長く熱意を絶やさずに会社を良くしていくには、ただ事業が大きくなることを目標にするだけでなく、社会に対しての存在意義が明確にあると素敵だと思い、改めて見つめ直すことにしました。

ところで、そもそもスリーシェイクにMVVはあったのかでいうと、創業時からちゃんとありました(一部)。

  • ミッション: インフラをシンプルにしてイノベーションが起こりやすい世界を作ること

  • ビジョン: 私達のビジョンは社会に蔓延る労苦(Toil)をなくすプラットフォーマーになること

  • バリュー: 無い...

言葉はあったんです。パット見、これって何言ってるの?っていう感じですよね。(自分で作っておきながら)
これだけ見ても会社全体の方向性や行動、社会にとってスリーシェイクは何なのか?に繋がるかというと全く繋がらないただの文字列です。

じゃあどうしようかなー、と悩んでいたところに 社内のブランドデザイナーから「MVV作り直そうよ」という声がかかり、再構築のPJが始まりました

MVVを作るプロセス

MVVは半年かけて再定義しました
最初の2ヶ月は、「なぜ?どうして?」というブランドデザイナーの問いに繰り返し繰り返し、自分の言葉で語る時間を毎週定例で作り、それを議事録として文字化、まとめ化しよう!となりました。
インタビューというよりは共同作業で、スリーシェイクの歴史や私の考え方を紐解いていく作業です。

  • なぜ会社を作ったのか

  • なぜSreakeやReckoner、Securify、Relance事業を立ち上げたのか

  • なぜインフラに着目するのか?

  • なぜ労苦(Toil)が大事なのか?
    etc…

過去のインタビュー記事などを参考に纏めることも有効ですが、弊社の場合、私が上記について深くコメントしたインタビューが全く無かったので、1から紐解きました。

こうした作業を通じて、MVVの定義だけでなく、「スリーシェイクらしさ」に繋がるメッセージやストーリーが共通してあることが発見できました。 例えばミッション「インフラをシンプルにしてイノベーションが起こりやすい世界を作る」の背景には、

  • エンジニアがいなければ何も生み出せない世界ができつつある

  • 技術は進歩してるけど、逆にその技術を使いこなすプロセスが複雑になってエンジニア不足加速してるよね

  • このプロセスをあらゆる方法で解決すれば、世の中シンプルになってエンジニア不足解消されてイノベーション起こりやすくなるじゃないか
    ⇒ プロセス/Ops(インフラ)をシンプルにして、イノベーション起こりすい世界を作ろう!

といったストーリー(=想い)があり、これ自体をきちんとメンバーに語っていくことで、より明確に「スリーシェイクらしさ」を伝えることができるという結論になりました。
その後、MVVとそこに紐づくストーリーを文章でまとめ、次の1ヶ月は「このMVVが果たしてメンバーに理解されるワーディングなのかどうか」という検証を行いました。ここはマネージャーやHRなど任意のメンバーに協力を頂き意見を頂きながらブラッシュアップしていきました。

最終的に完成したMVVとそのストーリーは、年末の全体会で発表し、Notionにも掲載しました。
誰でもいつでも見れるようにするのはもちろんのこと、都度、語りかけていく取り組みも今後していく予定です

完成したMVV

新ミッションストーリー

昨今のデジタル化に伴い、社会変革を行うためには、資本を持たずとも良いアイデア・行動力・仲間がいれば、以前と比べて容易に実行できるようになりました。
一方、資本の代わりに「エンジニア」が不在では何も生み出せない社会にもなりました。

どんなに素晴らしいアイデアや意欲、仲間が揃っても、エンジニアのリソースや技術が不足すれば実現させるのは困難です。
人類全員がエンジニアになれば解決するという問題ではなく、世の中がエンジニアリソース/技術を過大に要求するよう変移したのではないでしょうか?

無数のxTech/OSS/SaaSが生み出されますが、それらを選別し駆使してこそ、初めて価値あるサービス/ITシステムが作成・運用できます。
つまり、アイデアからサービスを生み出し滑らかに運営するまでのプロセス/Ops(インフラ)が以前より格段に複雑になったのです。
欲しいものは技術そのものではなく、技術が生み出す価値の恩恵であり、それらを出来るだけ素早く、多く、十二分に受けることが重要なはずです。
この点をシンプルにしなくては、変革はいつまでも起こりづらいままです。

スリーシェイクはこれを社会の課題と捉え、私たちの持つ技術力によって解決できるよう活動しています。

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新ミッション:
「インフラをシンプルにしてイノベーションが起こりやすい世界を作る」

あらゆる人が考えついたアイデアが
最短でWebサービス、ITシステムに実現され、
世の中がイノベーションで溢れる社会を目指します。


新ビジョンストーリー

スリーシェイクは、社会インフラとして世の中に必要とされるもの、願わくば、私たちのサービスが無くなれば世の全サービスが止まってしまうほど、社会にとって必要不可欠としていただけるような優良なサービスを提供できる会社を目指しております。

特に、xTech/OSS/SaaSが無限に発展していく中で、同時多発的に発生するプロセスの複雑さ(労苦〈Toil〉)を解消するサービスを、適正な価格で提供することに尽力いたします。

これは、単にノーコード/ローコードのプロダクトを作るという話ではありません。
全ての方がクリエイティブな業務に従事できる社会を目指すために、ワンソリューションで完結することはありえません。

私たちが考える本当に必要なものとは、

・適切なカルチャー
・適切なエンジニア供給/育成
・適切なITソリューション
であり、この3つが最低限存在し無ければ実現し得ないと考えています。

スリーシェイクは世の中のプロセスをシンプルにするために、この3点を、あらゆるレイヤーで、誰もが恩恵を受けられる適正な価格で提供し続け、私たちが社会の根幹を担っていくことを使命とします。

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新ビジョン:
「労苦〈Toil〉を無くすサービスを適正な価格で提供し続ける」

世の中に溢れる、手作業であり長期的な価値を持たない業務
=労苦〈Toil〉を無くすような様々なサービスを
みなさまの手に届く適正な価格で提供し続けます。


新バリューストーリー

スリーシェイクはDevOps支援事業からスタートし、SREのプロフェッショナルに昇華しました。

DevOpsとは、ソフトウェア開発に向けた最高の開発環境を作るために、従来ソフトウェア開発とインフラ(運用)で分断されていた人、手法、ツールを融合することで、継続的開発、(DevとOpsの)柔軟な連携、透明性を確保することができる手法であり、DevOpsが労苦〈Toil〉を撲滅する最大のソリューションです。

一方でインフラレイヤーだけが労苦から開放されても、社会全体の労苦は減りません。 セキュリティ、データ活用、機械学習、デザイン、HR…. 様々なエンジニアリング領域に労苦があります。

私達はこのDevOpsで習熟してきた手法を拡張し「ソフトウェア開発に向けた最高の組織を作ること」を提供価値としていき、インフラ(SRE)、セキュリティ(DevSecOps)、データ(DataOps)、HR(HROps)を変えていくソリューションを提供します。

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新バリュー:
「エンジニアリングレイヤーに横たわる人、手法、ツールがサイロ化されて労苦が発生しているプロセスをシンプルにし、サービス機能開発に集中できるソリューション(SRE、DevSecOps、DataOps、HROps)を提供していきます」

おわりに

MVVとストーリーが再定義された今、スリーシェイク全員が目指す方向や存在価値、スリーシェイクらしさが明らかになり、迷いどころが減ったと思います。

MVV自体はただの文字の羅列であって、それ自体は何ら意味をなしません。

MVVに加えて、そこに至るコンテキスト(ストーリー)を提示し、メンバー全員が理解し、腹落ちし行動に落ちるまで浸透してこそ掲げる意味があると痛感しました。要するに「ああ、こういう考え方でMVVができたんだな、わかるー」みたいな共感を得ていくことが大事なんだと。

さて、この全社MVV再定義に続いて、スリーシェイクでは各事業(Sreake,Relance,Securify,Reckoner)のMVV再定義PJが走り始めています。 全社のMVVはありつつも、プロダクト/サービス固有のMVVを作ることで、よりブレない軸ができあがっていくと考えています。
そして、各事業MVVは私から各事業メンバーが自分たちの力で策定をしています。まず第一弾がSreakeですが、それはまた次のnoteで!