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スタートアップ企業はコンパウンド戦略かマルチプロダクト戦略どっちが良いのか?[前編]


はじめに

スリーシェイクの吉田です。

我々スリーシェイクはベンチャー企業ですが、4つのサービスを展開しています。「なぜ4つもサービスやってるの?」という質問をいただく機会が多いので、改めてお話したいと思います。

弊社はいわゆる「マルチプロダクト戦略」を採用しています。

一方で昨今、「コンパウドスタートアップ」という言葉が各方面で聞かれてくるようになりました。国内でいうと、LayerXさんやラクスルさんなどが採用されている戦略です。

今回は、実際にマルチプロダクト戦略を実践している側から見た、各戦略の違いについて解説しつつ、スリーシェイクのプロダクト戦略にも触れたいと思います。

コンパウンド戦略とは?

コンパウンド戦略を採用しているスタートアップには以下の特徴があると言われています。

・創業フェーズから複数プロダクトを異なるカテゴリーで同時に立ち上げる
(同時多発的に事業を行える組織がある)

・それぞれのプロダクト間で相乗効果がある。バラバラではなく、それらは統合的に使うことで顧客の課題解決最大化に繋がるように設計されている
(例えば、共通のUX、ユーザー登録や認証、基本データを共有することで顧客は繰り返し、SaaSの初期導入をする必要はなく、すぐにサービス価値の恩恵を受けることができる)

・プロダクト単一からの収益最大化ではなく、全プロダクトから得られる収益最大化になるように設計されている(単一プロダクト単体でみれば、競合プロダクトよりも安い価格で提供)

マルチプロダクト戦略とは?

マルチプロダクト戦略を採用しているスタートアップには以下の特徴があると言われています。

・主力プロダクトから派生して、徐々に複数プロダクトを展開する

・それぞれのプロダクト間での相乗効果は必ずしもあるわけではない
(単一プロダクトだけでも課題解決最大化になるように設計されている)

・プロダクト単一だけでの収益最大化を目指しており、全プロダクトから得られる収益は積算的な最大化になるように設計されている

またマルチプロダクト戦略と言っても幅広く、アプローチとして以下があります。

アドオン型
主力製品に追加機能やサービスを「アドオン」として提供
⇒ 製品のカスタマイズや拡張性を高めることが可能
例:ソフトウェアプラットフォームに追加機能やプラグインを提供

スイート型
関連する複数の製品を一つのパッケージ(スイート)として提供
例:オフィススイートやセキュリティスイートのように、複数のアプリケーションを一つのパッケージで提供

ターゲット型
異なる特定の顧客セグメントや市場ニーズに合わせて製品を複数提供
例:飲食業界に特化したCRMを提供しつつ、旅行業界に特化したCRMも提供

カテゴリー型
異なるカテゴリーの製品を開発し、幅広い市場ニーズに対応
例:家電メーカーが冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど異なるカテゴリーの製品を提供

スリーシェイクにおけるマルチプロダクト戦略

スリーシェイクは、創業10年目(未上場)で、4サービスを展開しています。

・SRE構築総合支援サービスの「Sreake(スリーク)」
・クラウド型データ連携ツールの「Reckoner(レコナー)」
・セキュリティサービスの「Securify(セキュリファイ)」
・フリーランスエンジニア向け人材紹介サービスの「Relance(リランス)」

これらはすべて利用用途が異なるサービスで、カスタマーセグメントも異なる構成になっています。いわゆる、マルチプロダクト戦略です。

更に言うと、SreakeやRelanceはいわゆる労働集約型ビジネスであり、ReckonerやSecurifyはSaaS型ビジネスです。マルチプロダクトであり、ハイブリッドビジネスモデルを採用しています。

コンパウンド戦略の難しさ

コンパウンド戦略を実行していく上では、やはり「プロダクト統合」を意識した開発ではないでしょうか。

プロダクト開発をしていく中で、顧客課題にフォーカスしていくと統合という部分は必ずしも顧客メリットに繋がらないケースがあります。

例えば、主力の会計プロダクトは素晴らしい課題解決をしているが、2ndプロダクトの労務系プロダクトは会計プロダクトの統合を意識しすぎた結果、単品としての労務プロダクトとしての顧客ニーズ(機能)を満たしきれない。結果として、顧客は統合されたプロダクトを使うのではなく、バラバラの製品を使うことになる。。。といったケースです。

個人的にはコンパウンド戦略の統合は大きいゴールでありつつも、緩いゴールとして捉えて、バンドルでのSKU最大化は意識しすぎないことが良いかなと。好きなものを好きなだけ使ってくれればいいよというスタンスが滲み出ているプロダクトの方が親しみやすい印象があります。

このあたりは、潤沢な開発リソースを創業時から組めるのか(= エンジニア採用が初期フェーズから成功するのか、その資金は潤沢にあるのか)、また統合を前提にしつつも、各プロダクトの顧客ペインを精緻に捉えられるPdMや創業者がいるのか、が肝になってくると思います。

マルチプロダクト戦略の難しさ

マルチプロダクト戦略を実行していく難しさは、プロダクトカテゴリーが異なることによるセールスとマーケティングの縦割り構造(コスト増加)ではないかと思います。

プロダクト開発リソースは、直列に実行していくケースが多いので、資金や採用は余裕が作りやすい一方で、PSF/PMFに向けたビジネスチームはプロダクト毎に立ち上げていく必要があり、クロスセルする以前に単品で数字を作るフェーズに到達できず事業撤退することが多い印象です。
(前提として主力プロダクトがあるので、そこを伸ばせばいいじゃないかと言われると撤退のハードルは低くなる印象)

スリーシェイクにおいてもここが非常に苦労した点でした。

後編ではスリーシェイクがなぜマルチプロダクト戦略を採用したのか、それを推進する上でのポイントを解説します。



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