スタートアップ企業はコンパウンド戦略かマルチプロダクト戦略どっちが良いのか?[前編]
はじめに
スリーシェイクの吉田です。
我々スリーシェイクはベンチャー企業ですが、4つのサービスを展開しています。「なぜ4つもサービスやってるの?」という質問をいただく機会が多いので、改めてお話したいと思います。
弊社はいわゆる「マルチプロダクト戦略」を採用しています。
一方で昨今、「コンパウドスタートアップ」という言葉が各方面で聞かれてくるようになりました。国内でいうと、LayerXさんやラクスルさんなどが採用されている戦略です。
今回は、実際にマルチプロダクト戦略を実践している側から見た、各戦略の違いについて解説しつつ、スリーシェイクのプロダクト戦略にも触れたいと思います。
コンパウンド戦略とは?
コンパウンド戦略を採用しているスタートアップには以下の特徴があると言われています。
マルチプロダクト戦略とは?
マルチプロダクト戦略を採用しているスタートアップには以下の特徴があると言われています。
またマルチプロダクト戦略と言っても幅広く、アプローチとして以下があります。
スリーシェイクにおけるマルチプロダクト戦略
スリーシェイクは、創業10年目(未上場)で、4サービスを展開しています。
・SRE構築総合支援サービスの「Sreake(スリーク)」
・クラウド型データ連携ツールの「Reckoner(レコナー)」
・セキュリティサービスの「Securify(セキュリファイ)」
・フリーランスエンジニア向け人材紹介サービスの「Relance(リランス)」
これらはすべて利用用途が異なるサービスで、カスタマーセグメントも異なる構成になっています。いわゆる、マルチプロダクト戦略です。
更に言うと、SreakeやRelanceはいわゆる労働集約型ビジネスであり、ReckonerやSecurifyはSaaS型ビジネスです。マルチプロダクトであり、ハイブリッドビジネスモデルを採用しています。
コンパウンド戦略の難しさ
コンパウンド戦略を実行していく上では、やはり「プロダクト統合」を意識した開発ではないでしょうか。
プロダクト開発をしていく中で、顧客課題にフォーカスしていくと統合という部分は必ずしも顧客メリットに繋がらないケースがあります。
例えば、主力の会計プロダクトは素晴らしい課題解決をしているが、2ndプロダクトの労務系プロダクトは会計プロダクトの統合を意識しすぎた結果、単品としての労務プロダクトとしての顧客ニーズ(機能)を満たしきれない。結果として、顧客は統合されたプロダクトを使うのではなく、バラバラの製品を使うことになる。。。といったケースです。
個人的にはコンパウンド戦略の統合は大きいゴールでありつつも、緩いゴールとして捉えて、バンドルでのSKU最大化は意識しすぎないことが良いかなと。好きなものを好きなだけ使ってくれればいいよというスタンスが滲み出ているプロダクトの方が親しみやすい印象があります。
このあたりは、潤沢な開発リソースを創業時から組めるのか(= エンジニア採用が初期フェーズから成功するのか、その資金は潤沢にあるのか)、また統合を前提にしつつも、各プロダクトの顧客ペインを精緻に捉えられるPdMや創業者がいるのか、が肝になってくると思います。
マルチプロダクト戦略の難しさ
マルチプロダクト戦略を実行していく難しさは、プロダクトカテゴリーが異なることによるセールスとマーケティングの縦割り構造(コスト増加)ではないかと思います。
プロダクト開発リソースは、直列に実行していくケースが多いので、資金や採用は余裕が作りやすい一方で、PSF/PMFに向けたビジネスチームはプロダクト毎に立ち上げていく必要があり、クロスセルする以前に単品で数字を作るフェーズに到達できず事業撤退することが多い印象です。
(前提として主力プロダクトがあるので、そこを伸ばせばいいじゃないかと言われると撤退のハードルは低くなる印象)
スリーシェイクにおいてもここが非常に苦労した点でした。
後編ではスリーシェイクがなぜマルチプロダクト戦略を採用したのか、それを推進する上でのポイントを解説します。
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