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「地方×SaaS×スタートアップ」はじめてのエクイティファイナンス~前編~

今年を振り返るには少し早いけどこの件は振り返らざるを得ません。2021年夏、僕が取締役CFOとして経営に参画しているQUANDOが初めてのエクイティ・ファイナンスを実施しました。
ファイナンスにあたり、どのような状態から、何を考え、どのように行動し、クロージングに至ったのかを前編(資金調達前)、後編(資金調達中、資金調達後)に分けて書き記したいと思います。

前編では、主に資金調達前に私たちがどのようなことをしてきたのか、どのような経緯から資金調達を始めたのかをお伝えします。より具体的な資金調達の方法については後編に記載しているのでそちらを読んで頂ければ幸いです。

創業から4年間どうすごしてきたのか

地場企業と共にDXを推進
2017年4月に創業したQUANDOは、最初の3年間は地の利とチームの強みを活かし、地元の中堅・中小企業にコンサルティング、システム開発、事業化を一気通貫したサービスを提供し共にDXを推進するクライアントワークを中心に事業を行っていました(以下、DX事業といいます)。2019年度では売上高約1億円、利益も数千万円を計上できる水準まで到達。そのおかげもあり、キャッシュも積み上がっていっている状態でした。

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プロダクトを企画し、開発を進める(そして、エクイティ・ファイナンスが必須な状態に)
DX事業を着実にやっていたものの、①現場には共通した課題がある、②このままDX事業のみではQUANDOは社会的なインパクトを残せないのではないか。大きくこの2点を起点にプロダクト事業がスタートします(Slackを見返しましたが2019年4月に代表下岡とインターン生を中心にチームが組成されスタート)。2019年の終わり頃から本格的に正社員や外部のパートナーをいれたチームを作りはじめました(この頃、事業部長梅田が業務委託(CS兼HR)としてジョイン)。同時にその頃ビジネスコンテストにも複数出ていて多くの賞を受賞し、社内の雰囲気はこれから一気に行くぞ!!という状態でした。採用にも注力し、2020年2~3月の1,2ヶ月の間に一気に正社員が5名も決まっていました。ただそんな中、2020年3月頃から世界中で新型コロナウイルスが猛威を奮い、リモートワークを余儀なくされました。(当時もそうでしたが今振り返るとなんというタイミングで来てくれたんだと・・・)
DX事業とプロダクト事業の両輪をやっていたこともあり、気づけば一時正社員20名超、外部パートナーいれると30名超の組織になっていました。その後、2020年11月それぞれの事業の特性やチームの発展性を考え、DX事業の大半とプロダクト事業を分け、QUANDOはプロダクトを中心にリソースを投下する組織になりました。当然これまでキャッシュを生んでいたのはクライアントワークをやっていたDX事業であったためこの段階でどのような形であれ、近い将来エクイティ・ファイナンスが必須な状態になりました。なんでエクイティ・ファイナンスしたんですか?と聞かれたら、せざるを得ない状態になったからというのもありますが、それよりもプロダクト事業で成長していきたいという強い意志があったからだと思っています。プロダクトについては以下をご参照ください!

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資金調達する/しないに関わらずやっていたこと

Y Combinatorのポール・グレアムが「デフォルトで生きているのか、デフォルトで死んでいるのか?」と言うようにいかに会社の現状をリアルタイムで把握しているのかは重要だと思っています(引用元:http://www.paulgraham.com/aord.html )。これは単に資金が枯渇するからということだけではなく、それ以前の事業や組織のアクションにも紐付いてくるという点でも非常に重要なことだと思っています。

月次:徹底した資金管理
QUANDOでは、約1年半先までの資金繰表を作成しており、単に勘定科目だけで積み上げるのではなくその中身まで入れ込みます。例えば、どのタイミングでどのような人材を採用し、その方はどのくらいの給与なのか、どのタイミングで広告費をかけていくのかなどを想像して資金繰表に反映させています。毎月月次決算が締まるタイミングで同時にこの資金繰表をアップデートさせていき、足許を把握しています。この動きは、初回の資金調達をする2年以上前から実施しており、習慣化されています。当たり前だよ!と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが特に初期のスタートアップでは意外とできていない気がしています。

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週次:マイルストーンを決め、実績と予定を各セクションで追っていく
これは事業推進とその把握につながることですが、QUANDOでは週次で「1週間やったこと=実績」、「次の1週間でやること=予定」、「予定と実績の差分に対しての反省と改善のためのアクション」などを各セクション、全社員で共有して進めていっています。

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上記をやることで、将来キャッシュ・フローや残キャッシュの予測をたて、いつどこで資金が必要かが常に把握できている状態を作り出し、資金調達活動開始時期、クロージング時期を想定。その上で日々の事業推進ができるので精神衛生上も良い状態が保てていると思います。

今回は、資金調達前について書きました。次回は、以下のような内容で書こうと考えています。

・資金調達開始前に準備したもの
・投資家まわり(多様な投資家との対話を繰り返す)
・先輩起業家への相談
・株主構成を考える
・リード投資家の決定
・クロージングにむけて
・調達後の動き
・僕たちの反省点とこれからはじめて資金調達をする人へのメッセージ

後編に続く・・・


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