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#8 精神疾患等の二次障害に対する早期介入を実施することは可能か?①

 考えるようになったきっかけ

このテーマは、今のたすくに入社する前に勤務していた、精神科病院での作業療法士(以下、OT)として考えていたことである。
 精神科病院におけるOTの報酬は1日220点(2,200円)で1人のOTが1日最大で50人まで算定できていた。(実際は一人当たりはその半分程度で算定していた気がする)
長期入院の方が多い精神科の療養病棟において、OTが今後どのように働いていくべきかを考えていた。そして、精神科OTの意味についても迷っていたし、悶々としていたし、何ができるかわからない時期も多かった。
 そんなきっかけで、働いていた2年目の頃に、日本が世界でもトップの精神科病床数の多さであることや、2013年からの「障害者自立支援法」から「障害者総合支援法」に移ったことにより、医療から地域モデルへの以降が推進されることを知った。

 世の中の大きな流れを掴んでおかないと、日々自分が存在し、将来どうなるのか?が不安だった。いろんな情報やデータを読んでいた。

五大疾病に精神疾患が入ったこと

 きっかけになった情報は、2011年からリリースされていた、四大疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病)に精神疾患が加わったことについてである。
そして、5つ目に入った精神疾患が、厚労省が実施した08年の患者調査によると、精神疾患の患者数は約323万人。四大疾病で最も患者数が多い糖尿病(約237万人)を大きく上回り、がん(約152万人)の2倍に上る、というデータがあった。医療を考えたときに、このとてつもない人数に対して、どう捉えたら良いかよくわからなくなった。
 次に考えたのが、当時自分が専門で関わっていた精神疾患のリハビリテーションは何を目指すのか?ということだった。

予防の視点

 精神疾患のリハビリテーションは、基本的には「再発防止」であり、いわゆる服薬管理や生活リズムを整えること、就労支援なども範疇である。また、長期入院者に対しては、完全に院内生活における充実をどう図るか、身体機能低下の予防などが多く、退院支援も実施していたが、かなりの時間を要し、実現できないことも多かった。
 この実態の中で五大疾病の中で一番数の多い精神疾患を見たときに思った疑問としては、「他の四大疾病は、食事や睡眠、運動などで予防をしようという取り組みはできるのに、精神疾患はどうする?」であった。
 この五大疾病について、今後これらの数が増えていくとした場合、国の医療費をずっと圧迫していくだけになってしまうのではないか?どこかで破綻してしまうのではないか?といった危機感と、地域に移行する流れができてきているのに、いつまでたっても医療負担が多くなるばかりじゃないのか?だった。

 そして、この数を少しでも小さくしていくために、早期から介入する術はないのだろうか?と考え始めた。
そして、精神疾患に対する予防とは何か?学齢期から成人に移る際に、一番統合失調症のリスクが高いといわれる頃にどんな介入が考えられるのかを調べていくことになる・・・・・(つづく)

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