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#14 課題発見する癖を身につけるには

 コロナ時期ではあるものの、遅れていた作業療法学生の実習がはじまった。
現在たすくでは5校の作業療法養成校の実習を受けており、スタッフも5年以上の臨床経験をしたOTも増えたことから、様々なところで受けられるようになった。 (今後の実習施設の要件によっては難しくなるかもしれないが)
学生指導をする際に、心がけていることがある。

人は自分が指導されたことしか指導できない

と以前言われたことがある。たしかに、自分が学生時代に実習地でやってきたことが指導の全てだとしたら、やられたような指導をそのまま学生にもしていくんだろうな。と当時は思っていた。

 しかし、組織論やリーダーシップ論などを学んでいくと、人がどうやって育つのか?を考えていくと、貴重な実習期間中に「将来につながる何か」を学べたか?が重要だと思うようになった。
それは、付け焼き刃的な知識や技術ではなく、「考え方」「疑問の持ち方」だ。

 一つの客観的事象に対して、「もしかしたらこういうことかも」「なんでこうなんだろう」という仮説をいくつも考えて、それぞれを勉強したり質問して解消していく。この作業の繰り返しなのだが、これが意外に難しい。
そもそも経験も引き出しもなければ、仮説自体が立てられないからだ。
「仮説をたくさん書いて」と言われても書けない。
結果的にPCとにらめっこしていても出てこないまま夜中までレポート作成をすることに意味はあるのだろうか?と思う。

 たくさんの経験をして、議論をして、「こう考えるのか」の選択肢を増やしてあげることの方が重要で、「頑張って絞り出せ」ということでもない。

 インプットが必要なのはそうだが、学生にその情報量が少ないのもわかる。ただ、ICFなどの枠組みを使えば考えることはできるし、今までの知識でつながることもたくさんある。それがどのポイントかを見極めて、知識と臨床のつなぎ方を一緒に議論をしていく過程を大切にしていきたい。

 目の前のお子さんに対して「なんでだろう」と思う視点を常に持っていないと、自分が知っている知識やスキルに当てはめてしまうリスクが生じる。わかることしかアプローチできない、説明できなくなってしまう。

 アセスメントが重要なことは、そもそもの「なんで」「どうして」を結びつけることであり、さらなる仮説を立てて考えることであり、一人一人にあったアプローチを見つけていくことである。

何かに当てはめることではない。

このような考え方は、臨床だけでなく、日々の仕事の場面でもたくさん起きてくるし、そもそも「なんでだろう」と疑問に思わないことは解決のしようもない。

そこに「課題」があるということを発見する癖を身につけることが重要だ。

世の中のいろいろなことには意味があるし、深く考えられて作られている。
まずはそういったところからでいいから、「そういえばなんでこうなっているんだろう」ということから「課題意識」が生まれてくると思う。

そんなことを考えながら、様々なことをジブンゴトにしていきたい。






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