嗚呼、我が青春のバレー部〜牌の音が聴こえる〜
プロローグ
「麻雀やれるから入らない?3年が引退して2年はいなくて、部員が足りないんだわ。」
中学からの同級生に声をかけられて、わたしが高校時代に入った部活はバレー部でした。
正直言ってバレーにまったく興味がなかったわたし。
「でも、バレー部に入れば麻雀ができる!やった!超楽しいじゃん!!」
そんな軽いノリでバレー部へ入部したのでした。
わたしが入部した当初のバレー部は、わたしを含めて7人。
バレーボールの試合に出られる人数は6人。
必然的にひとり余るわけです。
運動神経がいいわけではなく、なにより不純な動機で入部したわたしは、案の定ベンチ要員として活躍することになりました。
「なんだよ!人足りないって言うから入ったのに、試合出られないんじゃん!」
「…でもまぁいいや、麻雀できるから♪」
気持ちの切り替えは早いほうです。
バレーはヘタくそでしたが、麻雀の腕は中学から磨いてきたので自信がありました。
さらに他の部員がみんな麻雀を覚えたてだったことも重なり、バレー部内における麻雀でわたしは圧倒的勝者となったのです。
麻雀牌没収事件
授業が終わると部室へ集合。
部活の前にとりあえず半荘を1回。
ときに誰かが熱くなると、2回3回となり結局バレーの練習はしないなんてことも。
みんな麻雀の魅力に取り憑かれていきました。
バレーより麻雀がやりたくて仕方ないわたしにとっては、願ったり叶ったり。
その日も放課後いつものように麻雀をやっていると、急に部室のドアが開きました。
都知事が立っています。
当時の都知事に顔が似ていたので、その教員は「都知事」と呼ばれていました。
都知事が部室に入ってきます。
部室で麻雀をしてはいけないという校則はありませんでしたが、そんな屁理屈を言って話をややこしくするほどわたしたちは愚かではありません。
彼の言うことに素直に従うことにしました。
半荘は途中で終了。
麻雀牌は没収。
この3年後無事卒業を迎えたわたしたちですが、没収された麻雀牌がわたしの手元に戻ってくることはありませんでした。