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磯臭い魚「ニザダイ」を美味しく食べるにはどうすれば良いか

魚の話を書きがちですが、もう一つ最近食べたもので興味深かった魚があります。

それがこれ、「サンノジ 」。別名、「ニザダイ」です。

阿佐ヶ谷の商店街にあるスーパーマーケット「アキダイ」で見かけてバイブスが上がって買ってしまいました。初めてみる魚が置いてあると衝動買いしがちです。

これが「ニザダイ」とわかって「あっ...」と思い当たる節がありました。

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本当に臭いのか、捌いてみる

ニザダイと聞いて「あっ」と思ったのは、この魚が「磯臭い」ことがあると聞いたことがあるからです。その磯臭さは、ニザダイが海藻を食べることで海藻の成分が発酵して身に独特の臭みを帯びるのが原因のようです。

実際は個体差があって、くさいのと、くさくないのに分かれます。
ただポテンシャルは高くて、美味いものは美味くて高級魚の品格すらあるとか。

知らずに買ったらちょっぴり後悔しそうな、ある意味、博打要素の高い魚をしれっと陳列していて感心しました。

購入後、家で早速捌いてみました。
新鮮なうちに内臓を取り除いおくと臭さが身にまわりづらいらしい。

捌いてみて思ったのが、内臓はとても臭いです。完全に海辺の磯のにおいを不快にしたにおいでした。

まず頭をとって、その際に内臓を一緒にひっぱりだします。
内臓が入っていた部分は、水で綺麗に洗います。

そして腹と背に包丁をいれ、骨に包丁の刃先をそわせるようにして3枚におろします。ただし、ニザダイの皮はとてもしっかりしているので、包丁をギコギコしながら皮を切りました。鱗はなく鮫肌にみたくざらざらしています。

3枚おろしにした時点で臭いとは感じませんでした。
脂がのっていて、とても綺麗な身質をしていて、食欲をそそりました。

食べてみる

「刺身用」とパッケージに書いてあったので、まずは刺身にして食べてみました。本当に綺麗な身質です。

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一口目、もっちりとしていて脂のほんのりと甘さが、甘口の刺身醤油に合っていました。なんともない、なんとも感じない。

二口目、味覚に感じる違和感。なんだろう。

三口目、何か青臭いような風味...突き抜ける磯...磯の香り、磯の香りだっ!

感じてしまいました、磯の香り。口に入れた瞬間に、ワンショットパルス的に感じて後に残らない磯の香り。あぁ、これか、このことか。

一度、普段魚にない風味を知覚すると食欲がついていきませんね。

正直なところ、くさやのほうが馴染みある牛舎の匂いで、身は旨味がギュギュっとつまっているので食べやすいです。

ニザダイを刺身で食べることは諦めました。

刺身がダメなら揚げで

流石に揚げてしまえばなんとかなるだろう、そう思いました。

揚げる前にも独特の臭みをなんとかして抑えよう、ということで塩水処理をしてみました。塩水処理には浸透圧によって魚の臭みを取る効果があります。水に塩を溶かして、魚の切り身をつけるだけです。

ニザダイを塩水処理してみるとびっくり、塩水が磯の香りになりました。
もはや臭い海です。

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そして調理方法ですが、カレー粉をつかってカレー風味にしてみました。
スパイスの力でこの臭さを打ち負かしてやろうという算段です。レシピは下記のとおりです。

ニザダイのカレー粉揚げ
1.  塩胡椒、カレー粉をニザダイの切り身にまんべんなくつける
2. 溶き卵にひたして、とうもろこし粉をつける
3. 油で揚げる

とうもろこし粉を使うのが工夫点です。
決して小麦粉がなかったからではありませんよ。
ともろこし粉のサクサク感とほんのりとした甘みのある衣にして揚げたいと考えました。

とうもろこし粉で揚げるという試みは個人的に大成功で、下記の写真のようになりました。これは普通の鳥の唐揚げでも実践してみたい。

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肝心の風味ですが、磯臭さは完全には取りきれませんでした。残念。
さらにカレーケチャップをべちゃべちゃつけて、白飯をガツガツ頬張って食べれば、問題なし!
※カレーケチャップ:文字通りカレーとケチャップのあいのこ。ドイツで人気の調味料。

身質はほろほろで軽く噛めばほどけていく、そんなニザダイ。
やはりポテンシャル高いよ。

おわりに

それでもニザダイは残り半身が冷蔵庫に鎮座しています。どうしたものか。

スパイス聞かせて中華風煮込みにしたり、塩と泡盛で味付けするマース煮にしたりすると、臭みもぬけて美味しくいただけるという話もみました。

探求しがいがありそう。

何はともあれ、これを入荷した担当者の方、引き続き普段見かけない魚を調達して欲しいものです(切実に喜びます)。


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