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たぶんほとんどの学校は変わらない

一斉登校が始まって

コロナ対策の休校(自宅学習?)期間が終わり,分散登校がしばらく続いて,公立も来週から私立の早いところは先週から一斉登校が始まりつつあります。やはり学校に生徒がいるのは活気があっていいものだと思います。とはいえ,三密を避けるということで授業も静かなものだし,休み時間もそんなに騒いでいるわけでもないし,放課後のクラブ活動の声はもちろん聴こえない。それでも先生も生徒も何となくワクワクしているような楽しそうな感じはいいなあとしみじみ。

先生は(さらに)多忙

一時は(今もか?)先生は休校期間は暇なんでしょと思われていたようですが,生徒が家に居ても勉強できるようにそれぞれの環境で必死になって取り組んでいたことはある程度伝わったのではないかと思います。さて,では学校が始まってどうなったのでしょうか? 分散登校だと場合によっては,同じ授業を2回,そして同じ期間で進度は半分という徒労感いっぱいなんてこともあったし,一斉登校になっても登校時の手指消毒や検温対策,教室や備品の清掃や消毒対応で,さらに忙しくなっているんじゃないかなと思います。

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オンライン授業の良さを実感

教科や授業によるのでしょうが,私が担当しているような情報の授業だと,ペアワークやグループワークが出来ないんだったらオンラインで授業をやった方がまともに出来ます。zoomでブレイクアウトルーム作ればいい。操作の説明も生徒の反応見ながら進められる対面の良さもあるものの,今回やってみてほとんどビデオの説明でも問題ないことがわかってしまいました。オフラインで教室に集まっての授業の良さを改めて実感しましたが,一方でオンライン授業の良さを強く実感しました。同じような思いを持っている先生や生徒,保護者の方も少なくないのではと思っています。

学校に来る意味

この機会に改めて学校に来る意味を考えましたという声を耳にします。私ももちろん考えた一人です。そして,「学校に来てこそやる意味があることって何なんだろうか」と考えていました。教員と生徒が対面でやる意味があること,生徒が教室に集まってでないと意味のないこと,それって何なんだろうかと。よく言われるように,単純な知識や操作の習得なんてものは確かに動画でいいよなあと思います。もちろん先生から対面で教えてほしいという生徒もいるだろうし,そういう生徒に教えるのが得意な先生もいるから,全部を動画でやればいいとは思いません。でも今までのように全員が対面じゃなくてもいいよね,そしてオンラインでやってしまいたいという生徒や,そういう生徒に合った動画を用意できるような教員に対応できるようにすることが求められるのだろうなと考えています。

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オンラインを取り入れるとどうなる?

私はかなり楽観的な人間だと思います。それでも実は今後オンラインを取り入れていったことを考えると悲観的になってしまいます。オンラインの良いところを使って行こうよというのは賛成です。でも今の学校システムのままでやったらどうなるのでしょう?

動画を観ることで済むことは授業でやらない。授業では動画で得た知識や技術を実際に使ってみることや生徒がリアルな場で何かを試すようなことを中心にする。理想的に思えます。でもその「動画を観る」時間はどうするのか? 今まで通りに1日平日だと6コマあるような状態で,放課後もクラブ活動があって,帰ったら予習や復習,宿題や課題があるとしたら。動画を観る時間がそこにプラスされるわけで,生徒の学習時間は増えて自由な時間は減少します。それでいいのでしょうか。

自分が生徒だったらたまったものではありません。好きなことができる自由な時間が奪われていく。本を読む時間は,ギターを弾く時間は,ボーッとする時間はどうなってしまうのでしょう。

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生徒にとっても先生にとってもキツイ

先生も授業の準備に加えて動画の作成が加わります。既存の動画を使えばいいじゃないかということはよく言われますし,私もそう思いますが,今回の休校期間の様子を見る限り,やはり先生は自分の生徒に合った動画を用意したいと考えて自作される方が多い。オンラインを取り入れると間違いなく仕事は増えます

そして生徒も時間がない。勉強に力を入れている学校なら時間確保のためにクラブの活動日数や活動時間を縮小するかもしれない。生徒は時間がないから動画を観なくなるかもしれないし,ある授業の中でこっそり他の授業用の動画を観ていて叱られるなんてことも出て来るかもしれない。今だって,次の時間の小テストの準備が追いつかないからって,他の授業中にテスト勉強するような生徒はいますよね。

学びが効率的になるはずなのに生徒も先生もキツイ,そうなるのでは?

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解決策は

これは以前から私がICTの活用を進めるならやらなければいけないと思っていることですが,解決策は授業時間を減らすことです。1日6コマいるのでしょうか? 1コマの授業は50分いるのでしょうか? 動画を観る時間が必要ならその時間を授業時間から減らさないと,ただただ学習時間だけ増えてしまいます。だから,1コマを短くする,1日のコマ数を減らす,これが必要です。そうしないと生徒も先生もパンクしてしまいます。

午前中で終わる学校

1日50分4コマとか,1日30分で6コマとか,ほとんど午前中に終わるような学校だったらどうでしょう。授業は効率化を迫られるでしょう。でも午後は時間があります。自分で動画を使って知識を得たり技術を身につけられる生徒は動画で学ぶ時間に使えばいいし,先生から直接習いたい生徒と生徒に直接教えたい先生は授業をやってもいいでしょう。学外に出て大学や企業といった場で経験を積むことができる生徒もいるかもしれない。先生も教材研究や専門を深める時間が増えるでしょう。

でもたぶん変わらない

それは理屈ではそうかもしれないし,理想ではあるかもしれない,でもねえというのが現実でしょう。同じ授業料をもらっておいて授業時間を減らすなんて私立は怖くてできない。もしそれで模試の偏差値が下がったら,もし進学実績が落ちてしまったら,そう考えると踏み切れないでしょう。保護者もできれば夜まで生徒には学校にいてほしいという方が多いと思います。今回の在宅期間で子どもが家にいるのは辛いと思った保護者はそんなことされたら困るでしょうね。

そして「今まで通り,元通り」の学校生活に戻したいと必死になっている先生や学校もあります。コロナ以前の学校生活に戻るなんてことはないと思いますが。

と,なると,たぶん学校は変わらない

オンラインの活用もちょっとは進むだろうけれど,それで授業や学校が大きく変わるかと言ったら変わらない。

どうしたら実現できるか

じゃあICTの活用やオンライン授業の活用をもう諦めているのか,新しい学校のスタイルを諦めているのかというと,そんなことはありません。今回は良い機会だったよなとは思いますが,そんなに簡単に進むことではないこともよくわかっているので,これからも地道にやっていくしかないんだろうなと覚悟しています。

まあ,以前は自分が引退する頃までにちょっとは変わればいいかな位に思っていましたが,コロナのおかげで,もしかしたら自分が現役で動ける間に新しい学校のスタイルが実現しちゃうかもよと欲が出ています。話の通じる仲間も増えてきているのを実感もしていますしね。

さて,ではどうすれば実現できるのか。現場で実践を重ねていく? そういう現場を作る? 何がベストなんだろうか。

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