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ニューノーマル論② これからの「場」のアップデート

以下は、6/5に開催された「Think? with コロナ世界 〜緊急事態宣言収束後に始まる緊急事態とは〜」で、コワーキングスペース「The Deck」の代表森澤さんと、AIベンチャー「エクサウィザーズ」の今井さん(神戸大学でコミュニティなどを研究する探求家でもある)と「これからの場」についてトークセッションし、さらに参加者皆様とThinkセッションさせていただいた中で、生まれた思考を整理して書き出したものです。


withコロナ時代に求められる「場」とは

withコロナ時代には、「場」に求められる価値が変わる。

以前は、場といえば、「Space(作業場)」や「Place(仲良し集まるコミュニティ)」だった。
スペースは物理的な「環境」で、プレイスはオンラインも含めた「所属」と言えるものだ。

もちろん、このスペースやプレイスの機能はこれからも必要だが、さらにこれからの時代、場には「Oppotunity(何かが生まれる機会)」や「Experience(何か新たな体験ができる機会)」の機能が求められるのではないか。

要は、オペレーション(作業)やコミュニティ形成(所属)以外に、クリエーションにつながるチャンスが得られる場への希求度が、一層高まると思われる。

なぜなら、コロナ後は世界の価値観、行動様式が大きく変化した(破壊的)イノベーションの時代になる。
そして、イノベーション起こすには、作業環境や既知のコミュニティだけでなく、新たな枠を越えるチャンスがとても重要になるからだ。

これからの場の価値を左右する「つなぎ役」

そして、そうしたチャンスやエクスペリエンスを得られる場として不可欠な機能は、「つなぎ役」だ。

すなわち、北新地や銀座のママ、コワーキングスペースのコミュニケーターのように、人や場の特性を観察評価し、信頼関係のもとで、人と人なしいは人と場(プレイス)の信用を仲介し、マッチングする役割だ。

私たちはつなぎ役が紹介してくれる人はある程度信用してお会いできるし、そこから新たな機会や経験を得ることができる。
そして、つなぎ役は、人同士のつながりだけでなく、既存の場(コミュニティとしての)についてもアンテナを貼り、その場の特性や熱量をしっかり測りながら、私たちに合った適切な場への参加を後押しもしてくれる。
さらには、これまでにない新たな場づくりの支援もしてくれることもある。

新たな何かを生み出すOppotunityやExperienceの場が求められるなか、こうしたつなぎ役は非常に大切な存在となる。

なぜなら、新たな人とのつながりづくりや、新たな場へのアクセスには「リスク」と「コスト」が伴うからだ。

自分1人のネットワークやアンテナの範囲では新しいチャンスが得られる場を見つけるにはどうしても限界がある。
無闇に色々な場に飛び込んでしまうと、「なにも得られないリスク」や「面倒に巻き込まれるリスク」があるかもしれない。
さらに、手当たり次第では、金銭だけでなく時間というコストもかかる。

つなぎ役はそのリスクとコストを回避することを支援してくれる貴重は「サービス」である。

withコロナ時代、つなぎ役が直面する「限界」

では、これからはこうしたつなぎ役を増やせば良いのか?
もしくは、withコロナ時代らしくつなぎ役もオンライン対応すれば良いのか?

そうではない。それには限界がある。

ひとつは「人」がつなぎ役になることの限界だ。
基本的には、つなぎ役による人や場の仲介は、そのつなぎ役がコンタクトしている人・場の範囲でしか起こらない。
つまり物理的距離的、地域的言語的な制約を超えられない。

イノベーション時代となるこれからは、よりグローバルかつ多様なジャンルでのつながり構築によって、既存の枠を超えた機会や経験を得られることが必要となる可能性が高い。

単なる人数の拡大やオンライン化だけでは、その枠を越えることは困難だと思われる。

また、つなぎ役は実はかなり高度な職人技が必要であることも無視できない「限界」だ。

北新地や銀座のママやコワーキングスペースのコミュニケーターがそうであるように、非常に深い経験と知見、工夫によって人を観察し、信頼関係をつくり、人を紹介する責任を担っている。

話し方、聞き方、紹介の仕方、、、様々な職人技的なスキルがそこには隠されている。

それなのに、単につなぎ役の数を増やそうとすれば、スキルの分散が激しくなり全体価値が低下するおそれがある。

さらには、単なるつなぎ役のオンライン化(work@online)では、こうした職人技の再現は難しく、対面ほどの機能は果たせずに価値低下になってしまうおそれがある。

これからの時代、「結果が予測できない新たな経験や出会い」が場に求められるなかで、そうした場にはリスクとコストが一層高まるだろう。
しかしながら、そのリスクとコストを下げて、場を媒介してくれるつなぎ役は、今のままでは価値の限界に直面しているのかもしれない。

DXを取り入れ、つなぎ役の価値をアップデートする

そこで、テクノロジーを生かした付加価値向上(DX)を組み合わせることで、従来にはできていなかった仕事ができる「つなぎ役」のあり方や働き方のアップデート(workstyle transfomation:WX)が起こせるのではないか。

例えばAIによる人の情報の蓄積、さらには人の評価・審査。
さらには相手にとって新たな機会になりそうな人のサジェスト機能やマッチング時の成功可能性分析機能。

これらを技術的に備えることができたなら、つなぎ役のスキル補完になる。
さらにいえば、つなぎ役はバーチャルな存在でも良くなるかもしれない。

つまり、AIを活用することで、スキルの壁を超え、物理的距離的言語的な壁も越える「つなぎ役のアップデート」ができる。

さらに、人の仲介だけでなく、場の仲介としてもテクノロジーは活かせそうだ。

前述の通り、新たな体験(エクスペリエンス)を求めて場を選ぶ場合、どうしてもリスクがある。
アクセスした場が自分にとって意味のない場だったり、信頼関係づくりや自分に合った場を見つけるまでにかかる費用が大きくなったりするリスクだ。

ここでもテクノロジーが役に立つ可能性が高い。

AIが、その場の特性や会話内容、入会者の属性傾向や満足度などをAIが調査し可視化する。

さらには自分にとって親和性が高い場かどうかや新たな経験が得られる可能性がどれくらいかまで可視化できれば、非常に優秀なつなぎ役となる。

このように、人と人のマッチングや、人と場のマッチングを支援するつなぎ役のアップデートは、これからの「チャンス、エクスペリエンス」が求められるコロナ後時代に、非常に有効なソリューションになり得るのではないか。

ご案内

ここまでの文章は、私1人が考えた内容では決してありません。

冒頭に書いた「Think? withコロナ世界」というプロジェクトのセッションを通じて、登壇者および参加者皆様と考え出したCo-learning(共同学習)の成果です。

このプロジェクトは、「Think」をキーワードに、これかの時代に流されずしっかり考える機会を得ようというコンセプトで、今後も月一回程度のペースで様々なTA(Thinking Accelerator)が登場して、思考のテーマを提供し、一緒に考えていこうという試みです。

よろしければ是非覗いてみてください。

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