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takoyaki 7個目

「で、会わせたいのって?」

「音」

「はい?」

「音を極めた先の世界を見たくないか?」

「急になんやねんそのしゃべり方」

「君はバッターボックスで球種をどう判断する?」

「なんやねん急に。握り?カン?」

「一流プレイヤーは集中力を研ぎ澄ませボールの縫い目まで見るこができる。

ゾーンなどと呼ばれるが我々の世界では違う。能力者のみが駆使する上位スキル【動体止力】と呼ぶ。

動いているものを見る、ではなく、止めている、といったほうがこの能力を正確に言い得ている。」

「世界観が急やねん」

「人間はなぜここまで地球上で栄華を極めているのか。数多の大型肉食獣がいるにも関わらず、だ。

火、道具、農耕スキル、社会制度などさまざまな側面から説明がされるが、最も重要な部分を語るものは多くない。

なぜか。

それは一部の人間にとってその事実が不都合なのだよ。なぜ人間がほかの動物よりも栄えたか、大型肉食獣にも打ち勝ってきたか、もっとも単純な答え。

それは、我々の祖先が優秀なハンターだったからに他ならない。

狩猟、つまり力の行使により他者を絶命する行為において、人間は古来より多くの力を研究、開発、習得することで栄えてきたのだ。

しかし、その事実は表舞台から遠ざかることになる。」

「すごいな、世界観が。」

「お察しのとおり為政者にとってこの事実は非常に不都合な点が多いのだよ。」

「察してないことを察してお願い」

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「アクチュアリィィ!!

狩猟行為が不要になっていくにつれあまりにも強力すぎるこの事実、力は危険視されひた隠しにされながら現代社会は形作られていったのだ。

ではなぜ動体止力を駆使するピッツァを目にするのか。

失敬、ピッツァは、一定程度以上の力を身に着けたものへの敬意をこめた言い方だよ。世界最古の言語のひとつラテレン語のギフモェ(与えらたもの)が英語のギフトの語源ということは君の想像の通りだ。時代を経てピッツァという言葉で現代に残っている。」

「時代を経ての使い方ズルくないか」

「トゥーテルダトゥルゥースッ!!

野球は、我々の言葉でヤ・キーィ・ユヌ。獲物を仕止める難しい様々な技術を遊びを通じて学びそして身につけるのに適した大人数でも楽しめる本格ハンティング遊戯、に語源をもつ。」

「音と意味の体重差すごいな」

「イナザワーーズッ!!

野球により人間本来の狩猟本能が刺激され、ごく稀にその才覚を目覚めさせるものがいる。高い才能に胡坐をかかず長い年月と深い鍛錬の末にたどり着くのであるが、要するに異能者と言える。動体止力を極めれば飛び回る鷹の額を矢で射貫くこともできる。」

「発音いいよね」

「今日、君が出会うのは人か未知の世界への扉か。

それはこれから自身の身をもって確かめるがよい。」

「いや、会わせたい人っていうてたやん。」

「・・・」

つづく



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