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エコーチェンバーとフィルターバブル


個人的に「情報」というものに触れる上で重要だと思う「エコーチェンバー」と「フィルターバブル」というものについて。

僕の後輩に、家にテレビは無く、本も読まず、世の中の動向は全てスマホ、さらに言えば主にTwitterのみで知る、という人がいる。
そこまで極端な人は流石に多くは無いだろうが、この2つの言葉を知るだけで、自分が普段触れている情報に対する考え方がガラリと変わると思う。



エコーチェンバーとは

まず、エコーチェンバーとは

ソーシャルメディアを利用する際、自分と似た興味関心を持つユーザーをフォローする結果、意見を発信すると自分と似た意見が返ってくる状況を、閉じた空間で音が反響する物理現象に例えたもの
総務省HP より

例えば、あなたが「地球温暖化って大げさに言われてるよね」という意見を持っていたとする(真偽については考えないでいただきたい)。
そんなあなたがTwitterなどのSNSで互いにフォローする人は、あなたが興味のある人、つまりはあなたと興味関心が似ている人である。

さて、そんな状況であなたが「地球温暖化は全然深刻じゃない」という事を示すデータや調査結果、または単なる意見をSNS上で発信した場合、それを見るのは基本的にはあなたをフォローしている人、つまりはあなたと同じ意見を持つ人たちだ。そうした、同じ意見を持つ人たちから同意のコメントや返信がある事で、あなたの中で「自分の意見が正しい」という気持ちが膨らんでいく。
しかし、このやりとりの中では、あなたと全く違う意見を持つ人のコメントや返信は無く、あなたは自分自身の意見を反証する機会が無い。

このように、エコーチェンバー現象により自分と同じ意見を持つユーザーに囲まれる事で、自分の意見以外に視野が広がらず、充分な精査がされないまま自分の意見に固執してしまう事が起こるのである。



フィルターバブルとは

続いて、フィルターバブルについて。
フィルターバブルとは、

アルゴリズムがネット利用者の検索履歴やクリック履歴を分析し学習する事で、個々のユーザーにとって望むと望まざるに関わらずに、見たい情報が優先的に表示され、利用者の観点に合わない情報からは隔離され、自身の考え方や価値観の「泡(バブル)」の中に孤立する情報環境を指す。
総務省HP より

YahooやGoogleのトップページの下にあるニュース欄なんかはまさしくこれであり、あなたの検索履歴や閲覧履歴を基に分析され、あなたが興味のありそうな記事をアルゴリズムで選択されているのである。
FacebookやTwitter、Instagramに流れてくる広告欄も同じ理屈である。
というか、このnoteだってそうだ。トップページに表示されるオススメ記事やオススメクリエイターは、あなたの閲覧履歴を基に選ばれている。

広告やニュース記事など、自分で選択してクリックしているように感じるのだが、実のところその選択"肢"はアルゴリズムによって決められているのである。



選択肢は"与えられている"

「エコーチェンバー」と「フィルターバブル」。この2つの概念から考えられることは、何でもかんでもスマホで調べるのは危険だ、ということ。
膨大な世界が広がっているかのように思えるスマホから得られる情報は、実はあなたの価値観や知識の幅を狭めている事になる、ということである。
デジタル・ミニマリスト」によると、スマホそのものやアプリは利用者が長く使うことで収益を得るので、利用者をそこに無意識に束縛するようにアルゴリズム設計されている。あなたがスマホから離れられないのは、あなたの心を掴んで離さない情報を常に表示するようにアルゴリズム設計がなされているからなのだ。
これにより、アルゴリズムにより決定されている選択を、自分で選択しているかのように錯覚してしまい、自分の知見や知識が全てであるかのように感じてしまう。


ちなみに、こういう話をすると、あたかも僕が「スマホ否定論者」であるかのように「じゃあ、お前はスマホを使うな」「スマホ無しで今の社会を生きていけるはずがない」「スマホの恩恵を無視している」などなど言ってくる人がいるのだが、僕は決してスマホを否定しているわけではない。(以前、別の記事にそんな面倒なコメントが来て、飽き飽きしているところである)
僕も生活の中でスマホを手放すことは無いし、その機能を重宝している。スマホは社会を変える素晴らしいデバイスだということは全く賛成である。
僕はスマホそのものを否定したいわけではなく、スマホにこういう側面があるという事を言いたいだけなのだ。
スマホ自体をを否定することと、スマホから得られる情報に関する悪い側面を知ることは、全く別のことだ


閑話休題。

僕の「情報」に対する姿勢は、以下のように言える。
自分の知見や知識を広げるためには、いろんな方面から情報を得ることが重要である。
そのために、「自分の視野を狭めてしまうかもしれない事態」を避けるようにして「情報」に触れていく必要がある、ということを理解しなければいけない。


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