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「おみやげ算」の仕組みを数式で表して考察してみる。

今、テレビで何かと取り上げられがちな「おみやげ算」。
19×19までのかけ算を暗算でするための方法である。

知らない人のために、簡単にやり方を説明すると…

例:15×17
○手順1
片方の一の位の数字をもう一方の数字に加えて計算する
15×17 → (15+7)×(17-7) → 22×10 = 220
○手順2
それぞれの一の位を掛け算する
5×7=35
○手順3
手順1と手順2で計算した数字を足す
220 + 35 =255

最初見た時は、なんでこんな風に計算できるのか不思議だったのだけど、数式で表してみると意外にもすぐに説明がついた。

まず、2つの二桁の数字をそれぞれ、(10+a)、(10+b)と表してみる。
(例えば、18は10+8と考えられる。よって、a,bはそれぞれ一の位の数字を表す)

この掛け算は
(10+a)(10+b)
と表すことができ、これを計算していくと、

= 100 + 10a + 10b + ab
= 10(10 + a + b) + ab …①

①式の前の項を10((10+a)+b)と表せば、これはまさに手順1を指しているし、後ろの項abは手順2そのものである。そして、これらを足し合わせるのが手順3にあたる。

なるほど、数式で表すとおみやげ算の仕組みが見えてきた。
さて、では、この「おみやげ算」は19×19までのかけ算でしか使えない方法なのだが、20以上の数字では扱えないのだろうか?

試しに、どんな二桁の数字でも当てはまるように一般化した式にしてみよう。
2つの二桁の数字を(10x+a),(10y+b)とすると(この場合、十の位の数字をx,y、一の位の数字をa,bと表している。例えば、25ならば(10×2 + 5)である)

(10x+a)(10y+b)
=100xy + 10ya + 10xb + ab
=10(10xy + ya + xb) + ab …②

さて、②の式を実際の手順として言葉で表すとどうなるか。

まず、「10(10xy + ya + xb)」の部分が先述の「おみやげ算」手順1のように言葉で書き表すことが出来ない。
無理矢理に書くなら「それぞれの10の位をかけて10倍した数とそれぞれの一の位を位と十の位をかけたものを足し合わせて、さらに10倍する」だろうか。しかし、おみやげ算の強みは「暗算」できることなので、こんな複雑な計算を頭の中だけでできる人はほとんどいないだろう。

ちなみに、②式を次のようにすれば、もう少し暗算しやすい形になる。

②式 = 100xy + 10(ya + xb) + ab

これを言葉にして手順を示すと、

例 59×84
○手順1
十の位同士をかけて100倍する
5×8×100=4000
○手順2
それぞれの一の位と十の位をクロスしてかけ算し、足し合わせて10倍する
59 85
(5×5 + 9×8)×10
=(25+72)×10 = 970
○手順3
一の位同士を掛け算する
9×5=45
○手順4
手順1〜3の数字を足し合わせる
4000+970+45 = 5015

うーむ、やっぱり暗算でこの手順をやるのはそう簡単ではない。

やはり、暗算でやるためには十の位、上の式でいうところのx,yが1でなければ厳しいのだろうか…。

しかし、実はおみやげ算は十の位が同じであれば成立するのである。

二つの二桁の数字を(10x+a),(10x+b)と表してみると、

(10x+a)(10x+b)
=100x^2 + 10xa + 10xb + ab
=10x(10x + a +b) + ab …③

①式とよく似た式が出来上がった。③式の前の項では10xで括り出せたので、②式よりもキレイな形にまとめられた。
試しに十の位が同じ二桁の同士のかけ算をおみやげ算でやってみる。

例:46×48
○手順1
片方の一の位の数字をもう一方の数字に加えて計算する
46×48 → (46+8)×(48-8) → 54×40 = 2160
○手順2
それぞれの一の位を掛け算する
6×8=48
○手順3
手順1と手順2で計算した数字を足す
2160+48 = 2208

どうだろうか。おみやげ算ができなくもないが、手順1を暗算でやるのは十の位が3を超えたあたりで難しそうである。

結論。
おみやげ算は十の位が1だから暗算出来る。
十の位が同じならば同様のおみやげ算は可能だが、練習が必要。


以上、おみやげ算に対する僕なりの考察でした。

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