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数学を諦めた僕

先日「世にも美しき数学者たちの日常」という本を読んだ。
非常に面白い本だったのだけど、個人的にはかなり思うところが大きい本だった。

高校生の時の僕はとにかく数学が1番得意だった。数学だけは全国模試でかなり上位を取ることもしばしばあったし、大学の試験も他の科目の得点を数学で補えたのは間違いない。
10代の僕はかなり数学に恩恵を受けていた。

しかし、大学に入ると、数学が格段に難しくなってしまい、なんとか必死に単位は取っていたものの、研究室に入った時点でもう訳がわからなくなってしまった。
というわけで、僕は数学をリタイアし、大学院を中退している。

大学の時にちゃんと勉強してたのか?と聞かれると、自信を持って「はい」と言える自信はない。
趣味の音楽に大学生活のほとんどを費やしてしまい、勉強という勉強はしていなかった。

ある時期を境に試験の成績がガクンと落ちた。そのタイミングで研究室の教授に「成績が急に下がったけど、大丈夫か?」と心配された事もあった。その教授は、すでにやる気を無くしてしまった僕の事を何かと気にかけてくれて、ほとんど出席していない自分の講義の単位をくれたりした。僕を大学に戻そうとかなり気をかけてくれたのだが、僕はその期待に応える事なく大学院を去ってしまった。

その教授は今はもう退職してしまっているが、僕はその教授に対して今ではかなり申し訳ない気持ちになっている。

最近になって、僕は数学を学び直ししているが、もともと得意だった科目を思い出したいという気持ちと同時に、その教授に対する贖罪の意味が大いにあると思う。

というわけで、数学を一度諦めた僕は、今数学をもう一度勉強し直す事で、過去の人生を取り返しているのだと思う。
今の仕事にはほとんど役に立たない数学だが、僕の人生のために勉強し直す必要があると、思っている。

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