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教員免許更新制度廃止か?

 先週ちらっと見て気にはなっていたのですが、記事化するだけの複数のソースを読み込んでなかったので保留していたものです。

 この記事の以下の部分が見出しに繋がったものと思われます。

この日の委員会では、更新制の見直しを検討している文部科学省が「そもそも免許状に有効期限を設けて更新する仕組みが必要と言えるのか」と議題を提案。更新に必要な講習ではなく、各教育委員会が行う研修に加えて、大学や民間会社などが作るプログラムを利用する仕組みを案として示した。その上で加治佐氏が「こういうことができれば、更新制でなくてもできるのではないか」と発言。一部の委員から、更新制の存続を前提にした意見があったため明確に言及はしなかったが、「(次回以降に)存続するか廃止するかという結論を出す」とも述べた。

注:加治佐氏は主幹

文科省の部会の資料が公開されているので、改めて確認してみました。

 資料2の7ページに。この事に関連した記述がみられます。

(教員免許更新制との関係)

○10 年に 1 度、2 年間の間に更新講習を受講することが、時代の変化が大きくなる中で常に学び続けていくということと整合的か。

○教員免許更新制の下での更新講習の受講は主体的な学びと言えるのか。免許状を更新しなければ身分の喪失を招きかねない中で、安心して学ぶことができるのか。
○個人が保有する免許の効力を維持するための更新講習の受講は、本質的に個人的なものとならざるを得ない側面があり、任命権者等が関わるなど組織的なものとする上で限界があるのではないか。
○そもそも、「新たな学びの姿」を実現する上で、免許状に有効期限を設けて更新するという仕組みが必要と言えるのか。

 おそらくこの部分についての議論がなされたものと思います。

 議事録自体の公開は文科省の常として、忘れた頃になって発表される事が多く、部会での議論の詳細についてはまだ明らかではありませんが、部会長が教員の免許更新制の存廃について特に言及した記事が出た時点で、廃止か、存続しても現在の様な画一的な方式からの転換が行われると推測されます。

 教育現場の混乱の元凶の一つともいえる更新制度に、やっとメスが入る事になりそうです。

 更新制度の維持を求める委員もいる事から、一筋縄ではいかないと思いますが、現状の画一的な形での更新制度が廃止されれば、教員の自律性に基づいた多様化された研修の方策を、今後は自由に計画する事が出来る様になり、制度に縛られない、より弾力的で魅力的な教育実践や学級・学校経営の研修が全国でなされることが期待されます。

 10年以上前の第一次安倍政権の下で、あれだけ性悪説に基づいた更新制度に熱心だった文科省が、教員免許の取得者・希望者の減少、教員の休職・退職者の増加などで、教育現場が混迷の度を深めている事にやっと気付いてくれただけでも、以前の建前ばかり立派だった文科省から考えると、かなりの進歩だと思います。

 更新制の存廃を真っ先に議論するのは、他の教員にまつわる諸問題の議論を進めていく上でのベースになる議論だからです。

 教員免許制度そのものの議論を、ゼロベースで進めていく合意が部会でなされている事からも、更新制度の廃止によって根幹が再定義されれば、養成や研修のあり方も当然変わって行くでしょうし、関連して教員の働き方も改善される方向に向かうかと思います。また、特別な形態とされている臨時免許や特別免許などの養成の枠外にある教員免許についても、通常の免許制度に抱合される可能性もあります。

 ICT・GIGA教育の進展で、学校教育の今までの根幹となる部分が変化し、尚且つパンデミックの下で、学校教育の今の在り方自体が問われている教育現場の変化に、教員が対応する状況を支えていく為にも、教員免許制度の改正が、令和の日本型学校教育において、教員が児童・生徒に対して最高のパフォーマンスを発揮できる最初の一歩になる事を期待しています。

この問題については、今後も追い続けていきます。

次回は



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