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歴史から学ぶ「失敗の本質」

歴史から学べることがある。

「『超』入門 失敗の本質(2012年)」 は、名著と言われる「失敗の本質 日本軍の組織論的研究(1984年)」を基に、高度成長時代に世界のトップに躍り出た日本の企業がその後戦えなくなっていった要因について解説している本です。

そして、この「『超』入門 失敗の本質」で述べられている戦後の日本企業の戦い方が、従来の日本バレーの戦い方に通じるものがありそうなので、書いてみました。

戦略の違い:日本軍が追い求めた「指標」と米軍が追い求めた「指標」


操縦技能、射撃制度を極限まで追求した日本人
          VS
当たらなくても撃墜できる兵器を作ったアメリカ人

【ゼロ戦は初期に、防弾装備を持たない軽量さで空戦性能を高め、米軍の戦闘機を大いに悩ませますが、空戦性能を無効化する米軍のイノベーションにより、次第に被撃墜率が高まっていくことになりました。】

ゼロ戦の性能は【日中戦争で活躍した実戦経験豊富なパイロットをさらに鍛え上げ、操縦技能、射撃精度等を極限まで追求】することで最大限に活かされたわけです。
しかし、米軍は【空戦性能を諦めて、スピードと防弾性、重武装を重視し、戦闘機に直撃しなくても近くをかすめるだけで爆発し、敵機を爆破できる新兵器を開発し、集団で攻撃する】というパイロットの能力を期待しないでも勝てる戦い方への変換を行い、日本軍の強みを無効化してしまったのです。

【日本軍は、「劇的な変化」を生み出す米軍に、ゲームのルールを変えられて敗退したと考えることができるのです。】

【インテルはマイクロプロセッサ(MPU)を開発する際に、単にその性能を高めるのではなく、マザーボードと組み合わせることで、追いかける指標を「使いやすさ」にしたのです。 一方で、日本企業を含めた他社はMPUの「処理速度」を追いかけていました。】

【インテルはメモリ(DRAM)の開発会社として創業されたのですが、1980年代には日本企業の販売攻勢に大苦戦し、1985年にはメモリ事業から撤退しています。
2012年、PC向けMPUでは世界シェア8割とも言われています。】

「処理速度の戦い」では日本企業が優位に立っていたわけですが、インテルは追いかける「指標」を変換することで戦いに勝ったわけですね。
勝利につながる「指標」をいかに選ぶかが戦略
であり、MPUについての日本企業とインテルの「戦略」の違いが、日本軍と米軍の「戦略」の違いに重なります。

バレーボールでも「日本独自の戦い方」が必要なのは当然だけど、「高さとパワーで勝てないから速さ」という指標が有効でないのは2000年頃に十分証明されていると考えています。 「速さ」という指標を追い求め、その技能・精度を極限まで高めたとしても、相手は簡単に無効化できてしまうわけです。

で、追い求める「指標」の妥当性を考えることはしないで、敗因を「技能・精度が十分高められなかったため」としてしまう。 「やってきたことは間違っていなかったが(精度を高める)時間が足りなかった」と言って現実に目をつぶる。さらには、アクシデントのせいにしたり、人の心の弱さのせいにしたり・・・

「猛訓練で達人を養成しよう」という日本軍
          vs
「達人を必要をしないシステム」を構築した米軍

この構図を繰り返していると思えていまいます。
要するに、「システムの妥当性」を考えていかないといけないですよね。

【人に依存しないシステム作り】こそチーム力

練度を上げていくことはもちろん必要だけど、 「誰がそのポジションに入ってもやるべきことは同じ」 というシステムで戦いたい 。
【人に依存しないシステム作り】こそチーム力だと思っています。

その中に「能力・練度の高い選手」が入れば、当然チームとしてのパフォーマンスは上がりますので、そういう選手に参加してもらいたいし、身体能力を高めるとともに練度を上げる努力も必要です。

でも、「人に依存しないシステム」にしてみると予想外に非スタメンでもしっかり戦えるし、「ベストメンバーでの戦い」のパフォーマンスも高いものが維持できると感じています。 究極まで練度を上げるには「いつもの6人」の方が都合がいいかもしれませんが、「それでないとできない」を認めてしまうとすぐに限界が来るでしょうね。

人に依存しないシステムの「指標」を構築・更新して行くには

「人に依存しないシステム」を造っていく、さらに更新していくことができるようになりたいわけですが、その根幹となる「追い求める指標=戦略」を見つけて行くにはどうすればいいのでしょうか?

①勝敗を支配している「既存の指標」を発見する
②敵が使いこなしている指標を「無効化」する
③支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う

この3ステップが鍵であると「『超』入門 失敗の本質」には書かれています。

【イノベーションを作り出すには、現時点で支配的に浸透している「指標」をまず見抜く必要があります。体験的な学習が陥りがちな、成功体験の単なるコピーではなく、対象の中に隠れて存在する「戦略としての指標」を発見する思考法に慣れるべきなのです。】

まずは①をしっかりやること。
戦いを総括する、検証するといったことを「習慣」としたいですね。
そして、仲間との議論でイノベーションを作り出すことができるとしたら、とてもワクワクしますね。

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