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脳科学者になって思うこと

 私は現在、脳科学者として、ビジネスからスポーツまでうまくいく人とそうでない人の違いを研究するというちょっと変わった仕事をしています。

 最初はこの仕事を理解してもらうために苦労もありましたが、会社も今年で12年目を迎え、8000名以上の方に講演会などにもいらしていただくようになりました。最近では、経済界(電子版)やダイヤモンドオンライン、子育て系の雑誌やインターネットメディアでも私の研究内容をご紹介いただいています。これもたくさんの方々にご支援いただいたおかげで、本当に有り難く思っています。

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 これまで公の場で筆をとる機会は少なかったのですが、最近はうまくいく人達の研究がまとまってきたこと、そして2019年の出版をきっかけに「もっと内容を知りたい」という方が増えてきたため、普段私が思ったことや感じたことが何かのお役に立てればと思い、筆をとらせていただくことになりました。

 これは私がいつも思うことなのですが、うまくいく人達にはあるちょっとした共通点があるように思います。もちろん、国や人種によっても様々なのですが、最も多かった共通点の一つが『人と話すことが本質的に好き』ということでした。

 例えば仕事が行き詰まったとき、アイディア(結果)が出るまでずっと考え続けるという方もいらっしゃるかもしれませんが、これは脳科学的に言ってうまくいかないケースであることが分かっています。

 一般的に行き詰まったとき、そもそも脳の活動レベルが低い状態に入っています。そのため、そのまま低い状態で考え続けてもよいアイディアは出にくくなってしまうのです。しかし、うまくいく人達は別の行動をする傾向があります。

 これは人によっても異なるのですが、割と多かったのが『人と話す』という行動だったのです。

 気分が下がったときに誰かと話すと気持ちが変わることがあるかもしれませんが、研究から私たちは『人と話すと脳の司令塔である前頭前野が活性化する』ことが分かってきています。

 実際に脳をスキャンすると、人と話した瞬間に、前頭前野が真っ赤になります。前頭前野は将来の計画を立てたり、感情をコントロールしたり、思考の柔軟性を生み出すいわゆる『実行機能』と呼ばれる部分ですが、ここが活性化すると仕事の効率が上がってしまうのです。

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またビジネスの分野でうまくいく人は、困難を乗り越えたり、問題解決力が高いことも分かっています。実はこの違いが生まれる一つの理由が『身振り手振りの大きさ』であることも分かってきています。

 これは大学の研究ですが、人と話すときに身振りが大きい人ほど、問題解決力が高いことが分かりました。大きな身振りをするほど、体の筋肉を使うため、どうやら脳の体感覚野を活性化して、より問題を客観的に見れるようになるのを助けているようなのです。確かに、欧米人でもそうですが自信のある人は、身振りがとても大きい人が多いように思います。

このようにうまくいく人達を観察してみると、日常のほんの些細なことが脳に影響を与え、それが日々積み重なることで大きな変化を生み出していくことに気付きます。

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そしてうまくいく人ほど脳の使い方をよく知っています。

特に勉強して学んだ訳ではないのですが、過去にうまくいった体験から自然と脳の使い方を学んでいるのかもしれません。

どんなに努力してもうまくいかない人は、脳の使い方を知らないことが多い傾向があります。

私も若いときは、人のことが気になったり、落ち込みやすいときもあったのですが、日々脳のことを研究していることもあって、今ではちょっとしたことでは動じませんし、随分と鍛えられたような気がします。

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普段私たちは意識していないかもしれませんが、ほんの少しだけでも脳のことを意識できると、日々の生活が変わっていきます。

普段は個人サポートや講演会などで『うまくいく人達の脳と心のしくみ』をお伝えしているのですが、ここでは日々感じたことなどを綴っていきたいと思います。

下記の記事も書いていますので、少しでもご参考になれば嬉しいです。

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GOETHE(ゲーテ)オンライン:https://goetheweb.jp/tag/successful-thinking

プレジデントオンライン:https://president.jp/list/author/西%20剛志