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第13話メディア公開初日からお祭り騒ぎ

私はなんちゃって主婦。プロの主婦には及ばなくても年の瀬ともなれば掃除のひとつでもやるってものですよ。先日も思い切って本の断捨離に挑みました。結局手放せる本が一冊も見つからず、出した本をすべて元に戻すハメに。まぁ、軽い筋トレになったことだしヨシとしよう。これで明日から重くて速いボールが返せるようになるかもしれませんしね。

本の仕分けをしていると懐かしいものが出てきましたよ。英和辞典からポストカードがひらりと落ちてきたのです。裏面は大雪の中、穴の中に閉じこもる猫の写真。外に出たいけど、銀世界に一歩踏み出す勇気がなく身を縮こませている。臆病な様子の子猫が写ったポストカードです。

これは私が大学1回生の春に母から贈られた一枚。「大草原の小さな家」よろしく、見渡す限り田んぼの中の一軒家から都会の女子短大学へ。適材適所と言う言葉を知らないばっかりに、進むべき道を誤った田舎者の私。女子大生の華やかな雰囲気についていけず五月病に。そんな娘を憐れんでか、母が私にそっと渡してくれたのです。

「この猫を見ていると、今のあんたのようで思わず買ってしまった……」とポツリ。

幼い頃から引っ込み思案な私を何かと心配してくれた母。お母ちゃんごめんなさい。この性格は40年たっても進行中。そのせいでこの春は自分の夢すら叶えることができずにいました。

「卓球を趣味とされる女性向けのウェブメディアを作りたい」。そんな思いから2021年の1月に起業塾へ。紆余曲折を経て3ヵ月後の4月、いろんな人の力を借りてメディアを完成することができた。なのに、公開する勇気を持てずにいました。臆病者もいいところ。マウスをぽちっと1クリックすれば済むだけの話なのに……。

私は担任の先生、先輩や同期、いろんな人に相談しました。

私「先生、公開する勇気が出ません」

先生「勇気を出しましょう。あとは公開するだけなんですから」

私「無理です。誰かがぶつかって来たひょうしに、思わず手がマウスに触れてクリックというドラマが生まれない限り」

先生「……」

それからというもの、私は上記のようなドラマが生まれないか、パソコンの前でずっと待機していましたが誰も背中を押してはくれませんでした。

ある日、知り合いのWEBデザイナーさんに相談したところ「公開しても最初は誰も見に来ないから安心していいよ」という良回答を出してくださいました。

「ドー―――――ンッ!!!!!」。

「誰も見に来ない」のひと言が、私の背中に勢いよくぶつかってきました。そして思わずマウスに手が触れてクリックからの公開。予期せぬ形でドラマは成立しました。

永遠に忘れません。4月26日のこと。ウェブメディア「卓球レディース」オープンです。

5日間悩みまくった末にオープンすることができました。WEBコンサルタントの先生も「そんなもんですよ。公開しても最初は誰も見に来ない。公開1カ月目は500PVあれば御の字です」と笑ってWEB解析ツールの設定法を教えてくださいました。

そう、気負う必要は全然なかったのです。どうせ誰も見にこない。私は安心してWEBという銀世界に一歩を踏み出しました。「ここからどうやってアクセス数を稼ぐかが大変ですよ」と先生。あんなに悩んだけど、公開しても私の世界は何も変わらない雰囲気でした。静謐そのもの。どうせ私は誰の目にもとまらない野良猫なんだから、さっさと穴から出て一歩一歩新雪を踏みしめながら前へ進めばよかったのです。「こんなことならもっと早く公開すればよかった」。公開に躊躇した5日間は何だったんでしょうね(MUDA)。

それからは平穏な日々を過ごしました。メディアが完成したので起業塾はしばらくお休み。天気も悪かったので久々にのんびりと家で過ごしておりました。ペーパードリップで丁寧に淹れたコーヒーを飲みながら卓球王国を読む。晴耕雨読を満喫しているとWEB解析ツールを設定していることをふと思い出しました。どうせ私のサイトなんて関係者以外は誰も見にきていない。わかりきっていることですが、勉強のためツールを開いてみることにしたのです。すると……。

「なんじゃこりゃー??????」

私は右肩ド上がりの折れ線グラフを見てズッコケました。公開してから数日で何千という人が見に来ている。「誰や『誰も見に来ない』『500PVあれば御の字や』って言うたヤツ」。なんのお祭り騒ぎかわかりませんが、穴の中から冷たい雪の上へ、無理やり引っぱり出された気分。もう臆病な子猫なんて言ってられません。ユーザーが存在するのなら、コンテンツを増やしたり、ユーザビリティを向上したり、とにかく雪の中を元気に走り回る犬に変化してでも前へ進んでいかないと。

引っ込み思案の夢が全世界にさらされるとどういうことになるか。この先もnoteでお楽しみください!


WEBメディア公開まで0日

つづく



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