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番外編(後) ビジネスコンテストにお門違いの卓球レディースが登壇

 審査員のきまぐれでビジネスコンテストのファイナリストに選ばれた卓球レディース。緊張でミス連発のリハーサルを乗り越え、いざ本番の舞台へ!

ビジネスコンテスト最終発表会の本番が近づき、私は発表者が座る席へ移動しました。
 
いや~、緊張しますね!
 寒波が来てるのに発汗が止まりませんよ。

本番に向けて、私にはひとつ懸念がありました。発表時間は5分なのですが、どうがんばっても5分でおさまらない。プラス1分かかるんですよ、かと言って、早口でしゃべるのも聞きづらいだろうし……。
 
「というか、尺の問題は事前に解決しとけよ、おいっ、本番ギリギリで悩むんじゃねーっ!!!」
 
はっきり言ってやりましたよ。自分自身に。
まったく、手間のかかる私です。
 
この準備不足が緊張に拍車をかけているのでは? とも思い始めました。ほかにも、リハーサルの際、スタッフの方に「次は緊張しないように努めますので」と宣言。売り言葉に買い言葉とはいえ、このビックマウスも緊張を高めているのかも……。
 
最終発表会の開始3分前、イスの前にお行儀よくそろえなくちゃいけない足が、活魚の尻尾のごとくバタバタと動く。
最後の抵抗? NO、NO、あきらめの境地。
私はトップバッターなので、もうまな板の鯉DEATH。
煮るなり、焼くなり、表面を軽く炙るなり、塩でキュッと〆るなり、お好みでどうぞ。。。
 
「では、トップバッター、卓球レディースの西村さんお願い致します!」
 
定刻通りに名前がコールされ、私は寿司屋の職人のように威厳に満ちた面持ちで壇上にあがりました。
 
そして卓球レディースのプレゼンスターティン。
 
「卓球女性向けのウェブメディア『卓球レディース』を運営しております~」マイク片手に饒舌な私。
 
あれ、あれれれれーーーーー?????
 
話すべきことが口からすらすら出てくる? 
 
音声聞き流しの英語教材を試したスポーツ選手並みの感動。審査員の方を見ると、みんな聞き入ってくれている、そして要所で笑いもとれている。他の出場者やスタッフは、リハーサルの時とは別人の発表にポカーンと驚いている。
 
はっはっは。どうですかみなさん。これが努力に裏付けられた自信の結果ですよ。ぐっだぐたのリハーサル? それはただの流しですよ、流し。トルルス・モーレゴード枠の私は本番に強いプレゼンセンスの塊のような人間なのですから。はっはっは。
 
私は発表したいことをしっかりと話し切りました。審査員の方々の拍手に手ごたえを感じる。そして気にしていた発表時間もオーバーしていない、計算通りプレゼンをスイートスポット満載の六方内におさめました!!!!
 
「1分前のプラカード上げる上げないで口論した数時間前が懐かしいなぁ~」そんな回想をしながら、プラカード係のスタッフに目をやると、
 
あれ、あれれれーーーーー(第二波)。
 
老眼でしょうか? スタッフさんが時計を掲げているのですが、見るとタイムが1分残っているように見えます。いや、残っています。
 
1分オーバーする長さのプレゼンを1分残った状態で終えた。いや、そんなはずはない。プレゼン時間が6分に延長されたのか、デジタル時計が狂ったのか、それとも時空がゆがんだのかーーー。
 
壇上から降りずに、タイムに釘付けのままボーっと突っ立っていると、
 
「降りてください!!!」と係の方に促されて我に返りました。
 
プレゼンは時間通りに終えるのが基本。そもそもビジコンのファイナリストで発表時間に大きな誤差が生まれる人なんていませんよ。
 
お察しの通り、私は賞を勝ちとることはできませんでした。受賞者の方々の受賞コメントは、さすがビジコン界の馬龍や樊振東。「ビジネスを人助けに役立てたい」というような志の高い内容で、会場の方々はみな胸を熱くされておりました。
 
そして発表会終了後、ファイナリストの方々は仲良くなられたみたいで、みんなで名刺交換して和気あいあい♡(without Nishimura)
 
「馬龍や樊振東たちは、このあと飲みに行って、Facebookのお友達になったりするんだろうな~」と思いながら、私は影を残さずにその場を静かに去りました。
 
そして馬券に外れたような気分で、気づけば地面を蹴りながら駅へと歩を進めておりました。(私にベットしてくださった審査員の方、いらっしゃったらごめんなさい)。
 
えーっと、今日は泣いてもいいですか?

おしまい


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