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NBAスター選手とゲーム実況動画とクルマの話

YouTubeのゲーム実況動画とWebライターの仕事の意外なリンク

僕はYouTubeをゲーム実況動画をよく観るんですが、先日ポッキー(@pochysweetsという実況者さんの動画をテレビで流していたところ、有名なバスケットボール選手が紹介されていました。

「史上最高のバスケットボール選手」の1人に数えられるアメリカのNBAのスター選手、レブロン・ジェームズです。残念ながら僕はバスケに疎いので、ジェームズの凄さをここで語ることは出来ません。でも、彼の愛車について語ることは出来ます。

さて、ジェームズが登場するポッキーの動画がこちら。

この動画では「Thirstiest Time of the Year」という海外のホラーゲームをプレイしているんですが、なんと主人公を襲う ”敵役” としてジェームズが出てきます。

簡単にこのゲームの紹介をしておくと、炭酸飲料のスプライト(Sprite)のテレビCMのパロディだそうです。元ネタになったと思われるCMが、こちら。

ある家族のクリスマスパーティーが大失敗したところに、ジェームズがやってきて、「これ飲まない?」とスプライトのクランベリー味を差し出すというCM。

この、ジェームズがいきなり自宅に押しかけてくるというシュールな展開がアメリカ人にウケたんでしょうね。

※ポッキーの動画よりキャプチャー

ゲームの冒頭、CMキャラを模した4頭身のレブロン・ジェームズが、自宅の玄関前に立っています。これは怖い。けどシュールで笑える。主人公を高速で追いかけてくるジェームズに対し、スプライトのライバルであるファンタ(Fanta)を投げつけて妨害するというギミックも皮肉が効いている。

ゲーム自体も可笑しいんですが、実況者のポッキーもかなり面白いので、よかったら観てみてください。

さて、この動画を見た3日後、僕は意外なところでジェームズと「再会」を果たします。

僕はWebライターという仕事をしていて、ここでは詳述しませんが、クルマに関する記事(ニュースや特集など)をメインでやらせていただいています。つい先日、「有名人の乗っているクルマ」というテーマの特集記事を担当したのですが、その中でレブロン・ジェームズの愛車を取り上げることになったのです。

彼の名前はポッキーの動画でなんとなく耳に残っていたので、すぐに気が付きました。「こんな短期間で2度もジェームズに会うなんて……」と30代男性の胸はときめきます。

一応断っておきますが、僕はジェームズに直接会ったことは一度もありませんし、彼の関係者とも接触する機会はありません。ネット上に点在している情報の山の中で、仕事とプライベートにおいて勝手に接点を作ってしまっただけです。在宅ですから、ほとんど外に出ませんしね……。

年収50億円超のバスケ選手が乗るクルマは意外と地味だった

さて、現在37歳(12月30日が誕生日!)のジェームズは、「NBA史上最高」とも称される名選手。下世話な話ですが、所属チームとは高額の契約を結んでいます。その契約金は2年間で100億円を有に超えているとのこと。ドル円相場にもよりますが、単純計算で年収50億円はくだらないでしょう。そんなセレブリティな彼が乗っているクルマは、相当な高級車なんだろうな……と思いきや、調べてみたら意外な車種が出てきました。

それが、こちら。

KIA K900 2014年モデル

キアK900というセダン。高級感はありますが、NBAスター選手のクルマとしてはちょっと地味ですよね。ジェームズがこのクルマに乗っていることが世間に知れたときも、いろいろな意味で「話題」になりました。その経緯を紹介しましょう。

キア(KIA、起亜自動車)というのは、韓国の自動車メーカーです。日本では正規販売されていませんが、韓国やアメリカ、欧州ではそれなりに知名度のあるブランドです。しかし、価格の安い乗用車が主力なので、高級車のイメージは全くと言っていいほどありません。

K900というモデルは、そんなキアがメルセデス・ベンツやレクサスなどに対抗して作った高級セダンです。僕はK900に直接触れたことがないので、そのクオリティについて評価はできませんが、少なくともアメリカ市場での販売はかなり苦戦していたようです。

しかし、レブロン・ジェームズは2014年にこのキアK900を購入し、キアのアンバサダーに就任します。つまり、キアの広告塔になったわけです。

KIA K900 2014年モデル

K900を「愛車」として紹介するジェームズですが、アメリカの消費者の反応は冷ややかなものでした。キアが可哀想に思えるくらいに。

「ジェームズがキアに乗るなんて、1000%ありえない!」
「キアからお金をもらっているから乗っているだけだろう」
「わたしが宇宙船を操縦するのと同じくらい、ありえないこと」

当時のTwitterなどでは、このような皮肉めいたコメントがたくさん投稿されていました。それだけ、アメリカにおけるキアのブランドイメージは低かったのです。最近では少しずつイメージが良くなってきているようですが、それでも「高級車ブランド」というよりは「手頃な大衆車ブランド」というイメージが強そうです。

KIA K900 2015年モデル

で、ジェームズはこうした世間の反応に対し、「そんなことねーよ」と反論します。彼は、「K900はキアと契約する前に自分のお金で購入したんだ」と主張していますが、その真偽は定かではありません。いずれにせよ、公式アンバサダーの言葉ですから説得力が足りないのですが……。

化粧品会社の社長との「ひと悶着」

さて、冷たい世間に反論したのはジェームズだけではありません。彼を雇ったキアも新たな広告を打って対抗します。これがちょっと面白かった。

先ほど、「わたしが宇宙船を操縦するのと同じくらい、ありえないこと」というコメントを紹介しましたが、実はこれ……

アナスタシア・ビバリーヒルズという化粧品会社の社長、クラウディア・ソアレ(@norvina)のツイートなのです。彼女のTwitterのフォロワーは約26万人、Instagram公式アカウントのフォロワーは150万人以上という有名人でした。

そんな人がTwitterの公式アカでジェームズとキアに対し、さらっと毒を吐いている。やられた側も黙っちゃいません。

キアは2016年、大胆にもクラウディア・ソアレの皮肉ツイートを引用したCMを放映します。ジェームズがソアレの投稿を読み上げ、「そうさ、俺のK900は宇宙時代のテクノロジーを満載してるんだ」と言い出したかと思うと、おもむろに宇宙服に着替えはじめ、そのままK900に乗り込みます。

世間の冷たい反応を逆手に取り、商品の技術力をアピールした秀逸なCMと言えます。これを見たソアレも、「レブロンに名前呼ばれちゃった」とまんざらでもない様子。

Twitterを見る限り、この一連のやり取りはそんなに盛り上がっているわけではありません(いいね!やリツイートもそれほど多くない)が、海外の自動車系メディアでは何度も紹介されています。キアのファンやアメリカのクルマ好きの間では、ちょっとした逸話になっているようですね。

趣味と仕事の境界線が曖昧過ぎる件

今回、僕がYouTubeで何気なく見たゲーム実況動画と、その3日後に担当した仕事が意外なところで繋がっていました。しかも、掘り下げてみると面白いエピソードを発見できました。

僕は子供の頃からクルマが好きで、文章を書くことも苦にならない性格です。ゲームもよくプレイしているし、実況動画を見るのも好きです。仕事はクルマ関係の記事を書くこと(海外記事の翻訳が多い)ですから、「趣味」と「仕事」の距離間はとても近いでしょう。

趣味でやっていることが仕事に活かされることもあるし、仕事で学んだことが新しい趣味につながることもある。大変ありがたいことです。その反面、オンとオフの切り替えが難しいと日々感じています。極端な話、休みの日も仕事をしているようなものですから。

休みの日も常に仕事のことを考えているし、仕事の日も常に趣味のことを考える生活……。

今の仕事を始めて、もうすぐ3年が経とうとしています。まだまだルーキーですね。Wikipediaによると、レブロン・ジェームズは高校卒業後、18歳でNBA入りを果たし、初シーズンから大活躍。3年目にはさらに腕を磨き、苦手だったプレーを克服したといいます。僕はジェームズのような天才ではありませんが、彼を見習いたいですね。

それにしても、今回の偶然の出会いは面白かった。しばらくはキアK900のこともレブロン・ジェームズのことも、スプライトのこともクラウディア・ソアレのことも忘れないでしょう。ポッキーの実況動画もまた観ます。新たな糧を得て、ほんの少し、本当にほんの少しだけ人生が豊かになったと思います。

年末年始も仕事頑張ります(セルフ社畜)。


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