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出版社の立ち上げ方(融資および銀行口座開設について)

初の書籍の刊行に向けてバタバタしており少し間が空いてしまいました。申し訳ございません。
前回の記事を読んでいない人は上記リンクより一読お願いいたします。

さて、融資については前回の記事で、日本政策金融公庫との相談日が決まったところまでお話しましたが、この記事では簡単に事業計画書について触れた後に、融資実行までの流れを振り返ります。

今回、利用した融資制度は日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。詳しくは下記リンク先からご覧ください。

こちらに目を通していただくと、「創業計画書?事業計画書じゃないの?」と思われることでしょうが、事業計画書の要約が日本政策金融公庫で必要とされる創業計画書だと思ってください。ですので、事業計画書を作成すれば創業計画書も自然と完成します。

ただし、前回の記事にも記載しているように、あくまで私の追体験ということでご参考にいただければ幸いです。
(日本政策金融公庫のサイトを見てもらうと分かるように事業計画書が必ず必要という記載はありません)

それでは、要となる事業計画書についてお話しいたします。
前回の記事で、実際に作ったものをアップロードするつもりだと申し上げましたので、併せて紹介するつもりでしたが、権利関係(引用元の図表データ等)の都合上、公の場に出すとなると肝心な部分が殆ど読めないものしかご用意できないため、この場で実際に作成した事業計画書をそのまま公開するのは控えさせていただきます。

もちろん「出版社を立ち上げたい」と熱い思いをお持ちの方がいらっしゃれば、個別にであればご対応させていただきますので気軽にご連絡ください。

その代わり、ここでは事業計画書を書くにあたって便利なサイトの紹介(私もこちらを参考に作成いたしました)と、私が実際に作成し使用した事業計画書の骨組み、および事業計画書を作成する際に役立つ書籍の紹介をします。

実際の書き方に関しては下記リンク先のJ-net21で専門家が懇切丁寧に解説くださっているので、私の出る幕はないです。

J-Net21は、独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業とその支援者、創業予定者とその支援者のためのポータルサイトです。様々な経営課題ごとに、知りたい情報を簡単に探すことができます。
https://j-net21.smrj.go.jp/help/index.html
事業計画書をつくる
https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list5/index.html

そして、こちらが実際に私が提出した事業計画書の骨組みです。
(すべて埋めると20ページ程度になります)
基本的な部分はJ-Net21のを参考に、その他必要であろう項目を付け足しました。

この中で特に大切なのは、「販売(流通)について」ではないかと思います。

というのも、出版業界における流通システムおよび入金までのスケジュールが他業種と随分と異なるからです。
それを、出版業界に精通していない人にも分かるよう説明しなくてはなりませんからね。
融資に関してご対応していただくのは、機械ではなく私たちと同じ人間であることを忘れてはなりません。

あとは、業界分析ですかね。巷で「出版は斜陽産業だ!」なんて言われているので、一概にそうじゃありませんよとデータを元に提示しなければなりません。それについては、私は下記を参考に記述いたしました。

『出版物販売額の実態 2021』日販 出版流通学院
『電子書籍ビジネス調査報告書2021』インプレス総合研究所 落合早苗/インプレス総合研究所
『出版指標 年報2021年版』全国出版協会出版科学研究所

さて、もの凄く端折って書きましたが、出版業界にお勤めの方や他業種であっても本気で出版に取り組みたいと思い勉強している方であれば、上記を読めば粗方書く内容が分かったかと思います。追加で不明点等あればコメントいただければ、お答えできる範囲で回答いたします。

それでは、事業計画書が出来ました。となれば、次に創業計画書を作らなければなりません。
創業計画書は、先に述べたように日本政策金融公庫用の様式ですので下記にダウンロード先を記載しております。

「創業計画書」をご覧いただければ分かるように、こちらは事業計画書を作っていれば殆ど転記で済むはずです。
(日本政策金融公庫にも参考資料がページ下部にございます)

[取引先・取引関係先]についてですが、予め支払い条件や回収までの期間、あと取次の掛け率等も記載する必要があります。
出版社を立ち上げるのにあたって、印刷所も決まっていないし取次も目星がついていないという状況では事業の実現性に欠けますからね。
このあたりが詰めきれていない場合は、融資を受けるのは難しいかと思われます。

併せて、[ご商売の概要(お客さまの自己申告書)]の提出も求められましたが、こちらも創業計画書と殆ど類似しているため問題なく埋めることが出来ることでしょう。

また、右側の[7.必要な資金と調達方法]内の設備資金に関してですが、例えば机が必要であったりパソコンを買う必要があったりすれば、根拠となる見積書の添付が必要です。こちらは、購入予定のオンラインショップの商品ページのコピーの添付で問題ありませんでした。

さて、ここで日本政策金融公庫に私が提出した書類を再度確認してみます。

・創業計画書(および見積書)
・事業計画書(あれば、前出版社での制作物等や事業実現性を示せるもの)
・ご商売の概要
・身分証明書(運転免許証)
・履歴事項全部証明書(初回相談時点では無し。取得後提出)
・事務所の賃貸契約書

これらを用意して、相談したところ融資の可能性が高いということで、審査および面談に進むことが決まりました。
しかし、上記にもあるようにまだ履歴事項全部証明書が手元に有りませんので、発行を待っての本申込みとなりました。

履歴事項全部証明書を提出してからは、約一週間後に面談をして、それから10日後ぐらいに銀行口座に借入金が振り込まれました。
トータルで商工会議所への相談から融資実行まで、一ヶ月程度かかったことになりますね。

面談で聞かれることに関しては、事業計画書を自分で作っていれば全て答えることが出来るはずです。

さて、ここから非常に重要な話です。お気づきの方がいらっしゃるかと思いますが、融資の振込先法人口座を作っておかなければいけません。

しかし、おいそれと作れるものではなく、個人口座を作るのと違って法人口座を作るのは非常にハードルが高いです。というのも、以前は簡単に作れたようですが、悪用されることが多く、金融機関が新規法人口座の開設を渋っているからです。

(ネット銀行は比較的簡単に作れるんですが、日本政策金融公庫の借入金の振込先に指定できなかったです。令和4年2月当時)

ですので、例えば資本金が事業を行う上で明らかに不足している金額だったり、事務所の実態がなかったりすると口座開設を断られることかと思います(そもそも、資本金が不足していると融資も難しいと思います)。

ただ、そうでなくとも口座開設を断れてしまうんですよ。

実際に、私の友人で(出版社ではない)創業してから半年経っても法人口座を作れていない人もいらっしゃいますし、私も一行(メガバンク)お断りされました。
聞くところによると法人口座が開設出来ないといった理由から、法人を作り直す人もいらっしゃるようです。

最終的に私の場合は、人伝てに紹介してもらった信用金庫のご担当者様に事業計画書を提出し、日本政策金融公庫の融資も進みつつあることを示して、理解を得て法人口座を開設していただきました。

法人口座開設にも履歴事項全部証明書が必要ですので、取得したのち融資と同時に進行する必要がありますので気をつけてください。

以上で出版社設立から融資までの一連の流れの振り返りとさせていただきます。
再三となりますが、あくまで私個人の実体験で専門家としての見解ではございませんので、鵜呑みにすることなく参考としていただければ幸いです。

「出版社を立ち上げたい」という熱い想いをお持ちの方の手助けに少しでもなれれば嬉しいです。

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