自由律俳句？　其のニ

切り分けられたケーキ、自分のだけ異様に小さい


スーパーでは10円をケチるくせに、300円のガチャガチャは平気でガチャガチャ回す

外国というものが全くわかっていなかったから、初めて海外に行った時は銀行印を持って行った


夢を見るのは好きだけれど、引っ越し先を探す夢だけは嫌い

風俗店から出てきた瞬間、道行く人々に溶け込もうとする男性を観察する


なぜ美味しいものは脂肪と糖でできている

ポイントカード断るのに使うエネルギー


集団で居るのにそれぞれのスマホを覗き込んでいる中高校生を見て、スマホの無い10代を送れてよかったと心底思う

真剣に社内会議に参加して、やはりこの職場はもう辞めるしかないと思った


「油汚れもごっそり」と洗浄力をアピールする食器用洗剤のCM、まず拭き取れとしか思わない

何度見ても慣れないアメリカ女性歌手の歌唱衣装のレオタード


数年ぶりに爪を噛んでみたが噛み切れず

転校する時に引っ越し先に送って、と担任に頼んであった修学旅行で絵付けをしたマグカップと技術の時間に作ったラジオ、未だに送られてこない



首から名札をぶら下げなくてもよい職場で働きたい

郵便ポストを開けて何も入っていない時が生活の中で一番哀しい


胡椒やスパイスの美味しさを噛み締める時、そりゃ戦争になるわといつも思う

顔を洗ったか記憶にない頻度近年急上昇


アミューズメントパーク着ぐるみの中の人物の心情や生活を想像してしまい楽しめない

100万円は一生暮らしていける金額だと思っていた幸せな子供時代


罪悪感に勝てなくなった