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ツールドフランス2024 第2ステージ(Cesenatico-Bologna) 考察

ツール・ド・フランス2024 第2ステージ

2日目もイタリアでのステージ。リーダージャージも決まり、199kmと長いステージだったこともあり、定番の序盤にできた逃げグループを大集団が追っていく、という展開のステージでした。

11名とツール序盤にしてはまあまあ大きな逃げを逃しているなぁと思いましがが、大きな逃げができた理由としては、リーダーのDSMがあまり本格的にコントロールをする気がないので他の総合争いのチームが出てくるのを期待した、またはタイム差によっては逃げ切りさせて総合のタイム差は守ることも視野に入れてのことだと思います。

通常、チームで牽引する人数より多い人数を逃すと数的不利で追走が厳しくなります。ツールの場合だとフルメンが8名なので、序盤から牽引するのは4〜5名になると思います。なので11名だとかなり頑張らないと1チームでは追走しきれません。というような理由で他チームを頼ってるのでは、と思いました。

その逃げが決まってからプロトンもそんなにナーバスにタイム差を気にする感じではなく、タイム差はどんどんと開いていきました。その間、第1ステージで山岳ジャージを獲得したUNO-Xのアブラハムセン選手が今回も逃げに乗って、山岳ポイントを着実に稼いでいきます。

リーダーチームのコントロールの話で、リーダーチームが積極的にコントロールせずにタイム差が大きく開くパターンがありますが、この場合だと最終的にプロトンはかなりのスピードで先頭を追わなければいけなくなるので、かなりの労力を要します。それを嫌う場合はステージ優勝を狙うチームが早めに協力をしてタイム差を一定にしたり、総合争いのチームがリーダーチームに頼らずにある程度の差でコントロールを始めたりします。

そうでないと最後に逃げをいかしたくないチームが協力して連合軍を作り、一気にタイム差を詰めるようなバタバタした展開になるのですが、今回は総合争いのチーム同士がガッツリ睨み合いをしていて逃げを全く意識していない感が強く、なかなか集団を牽引してタイム差を詰めるチームが現れません。確かに一度総合争いのチームが本気を出してきたら強力なので、彼らの動きを見ずにはなかなか動けませんよね。

そんな中、レース中盤でLOTTO DSTNYのカンペナールツ選手がハイスピードで集団を牽引し始めました。みるみるタイム差は詰まっていきましたが、当然それに耐えられない選手たちもいて遅れていきます。タイム差が3分くらいまで縮まったところで、そこからそれ以上タイム差が詰まらなくなりました。これがハイスピードで牽引する場合の弊害で、特に上りで引く場合にそうなんですが、引きが速すぎて本来集団をコントロールすべきアシスト選手たちがこぞって遅れてしまうので、メイン集団に残れるのは前で勝負をする選手、アタックもしくはアタックするための前座の動きをする選手ばかりになってしまいます。

そうなるとこれ以上牽引できないので普通のレースだとここで引く引かない論争に発展して混沌としてレースが終了してしまいますが、ツールドフランスの場合は今回の逃げの選手たちは後々の山岳ステージで遅れるのがわかっているので、総合争いのライバルチームの動きだけに集中して、先頭とのタイム差よりもライバルチームに対してより多くアシストを残したり、よりフレッシュな状態で最終局面に向かうことのほうが重要になので逃げ集団とメイン集団で別々のレースをしている。こういうのは通常総合がある程度決まる山岳ステージから始まるイメージですが、今年は第1ステージから総合争いのチームがすでにリーダージャージを持っているんじゃないかと思われるくらいの動きをしていますね。

その後の勝負所の上りでVISMAもUAEもお互いに仕掛けあって、山頂付近でポガチャル選手がアタックをしてヴィンゲゴー選手が追走。2人でフィニッシュに向かい、最後の最後でエネヴェプール選手とカラパス選手が追いついて総合争いチームの4名でのフィニッシュということなりました。おそらくポガチャル選手は様子見アタックだったと思いますが(それにしてもスピードが速すぎる!)、睨み合いの探り合いから少し前進してお互いの調子を確認できた(見れた)のは本人たちにとっても、ファンにとっても嬉しかったんじゃないかなと思います。

その他の総合争いの選手たちは少し遅れてしまいましたが、アタックの場所が狭い急坂区間で位置取りの関係もあったと思うので、今後もまだまだレースが動く要素はたくさんあると思います!

一方、逃げの中では1回目のSan Lucaからアタックがかかり始め、その中からArkea-B&Bホテルのヴォーケラン選手が抜け出して、今年11回目の出場のアルケアはツールドフランス初優勝、自身もグランツール初優勝ということで、第1ステージに続いてフランス自転車界が盛り上がっています。ヴォーケラン選手はジュニア・U23時代からタイムトライアルが強い選手で、直線の淡々と上る今回の登坂区間は彼にあっていたのかもしれません。まあ23歳でポテンシャルは高そうなので、今後のステージでも活躍しそうです。

さて、初日から総合争いチームの動きに翻弄されて、なかなか展開が予想できない今年のツールドフランス。今日からポガチャル選手がレースリーダーとしてマイヨジョーヌを着用して、今年初の平坦ステージなので、UAEはどうコントロールするのか、スプリンターチームはどこから動いてくるのか、第3ステージは前の2ステージとは違った展開になりそうで楽しみです。

また逃げか、はたまたスプリントになるのか、今夜もワクワクですね。

またXでも触れたのですが、ツールドフランスのオフィシャルサイトかアプリからクラブにログインすると、レース中にコミッセールからチームカーに配信されているラジオツールを聴くことができます。

ライブ配信と合わせながら聴くとチームカーに乗ってレースを見ているような臨場感になります。ほぼフランス語ですが勉強もなるので、「チームカーの中はこんな感じで情報が伝わっているんだ」と感じてみてください。

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