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お話01 風呂場で8時間体育座り。会社を無断欠勤したあの日。

今日から何回かに分けて、自分の大切な記録を残しておこうと思う。
大切な記録、それは「うつ病」と付き合いながらの生活についてだ。

2017年11月に発症したこの病気との付き合いは、
この文章を執筆中の現在(2020年6月)も続いている。

いつかこの症状が寛解し、
いつかまた元気に社会復帰できる日が来ることを願って、
その時に笑って思い出としてこの記事を読める自分がいることを願って、

記録を残しておこうと思う。


風呂場で8時間体育座りしていた僕


・ある朝突如うつ症状が発症。会社を無断欠勤。
・「人生が終わった」と確信する僕。
・パートナーが絶叫発見。病院へ。
・そこからうつ病との付き合いが始まった。


・・・

2017年11月のある朝、
僕は、自宅の風呂場でうずくまっていた。
シャワーは流しっぱなし。
全裸で床に体育座りしたまま動けなかった。

始業時間が近づいている。
2オフィスは自転車でたった20分の距離だ。

早く家を出なくちゃ
遅刻する
早く。
早く出なくちゃ。

頭ではわかっている。
でも動けなかった。

風呂場のドアに手をかけるたびに
激しい動悸が襲う。
同時に謎の激しい不安が頭をよぎってくる。

会社に行きたくない。行くのが怖い。


何をこんなに怖がっているんだ・・・?

理由が全くわからない。
上司を嫌いじゃない。
クライアントとの関係も良好。
オフィスもきれいで、
仲間にだって恵まれてる。

でも・・・とにかく怖い。
会社に行くのが怖い。


今まで経験したことがない、
この謎事態への直面がなにより怖かった。
自分に何が起こっているのか全くわからず、
とにかく混乱、困惑し、

そしてなぜか涙が出ていた。


・・・


何分経ったかわからない。

でも、始業時間が過ぎ去ってしまったことは
感覚でわかっていた。

無断欠勤だ。
つ、ついにやってしまった。
終わってない仕事も残ってるのに、
朝から打ち合わせだってあるのに、
新人賞だって、本気で狙ってたのに、
みんな応援してくれてたのに、
ごめんなさい。ごめんなさい。
そんな時間があるならさ
とりあえずさっさと会社に電話して平謝りしろよ
こんな繁忙期にどこまで迷惑かけるの?
新人賞を狙ってる?この様で???
なんなの月初めの意気揚々とした目標宣言は?

”お前がやってきたこと、ぜんぶ水の泡だね”

謎のもうひとりの自分が、
頭で延々とそんな非難の言葉を繰り返していた。

「社会人人生が終わった」

風呂場で体育座りしながら、そう感じていた。
誇張ではなくその時の僕は
本気で社会人人生が終わったと確信していた。

風呂場から出れば、
今ころ鳴り響いているスマホを目にするだろう、
そこには大量の着信が来ていて、
上長の怒りと心配の声が聞こえるのだろう。

それを考えるだけで、風呂場から出るのが更に恐ろしくなり、
より強く足を身体に引き寄せていた。
鼓動は変わらず、強く、ずっと脈打っていた。

何分、何時間経ったかは分からないが、
次第に頭がボーッとしてきた。
流れていた涙も枯れてきた。
鼓動も落ち着いてきた。
しかし、頭は、心は、冷静ではなかった。

身体が落ち着いてくると風呂場の中で動けるようになっていた。
しかし、すぐには風呂場から出なかった。

このまま一生ここから出たくない。
このまま全ての人が僕の存在を忘れてくれないかな。
最初から僕はいなかった、
この風呂場から出て知り合いの誰かと遭遇しても、
一切気づかれることなく、誰からも認知されない、
ゼロの存在になりたい。

こんな自分は誰にも見せられない。見せたくない。消えたい。

そう考えていた。


その日結局僕は、
同棲しているパートナーが仕事から帰宅して僕を発見してくれるまで、
風呂場でうずくまっていた。


翌日、近くの心療内科へ行った。
「うつ病」という診断名を聞かされた。

※ちなみに水道代は、その月だけ3倍かかった。


その日から、僕は「うつ病」という
得体のしれない謎の病と生活することになった。

その時(2017年)の僕は、
まさかその生活が2020年になっても続いているとは
思いもしないだろう。

しかし、僕はいまだに闘病中だ。

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