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夏が来た!

本屋さんでキュンタの小冊子を見かけると、
「今年も夏が来た!」
と嬉しくなります。
2019、2020と、未読本に挑戦した「新潮文庫の100冊」。
2021の小冊子を手に取り、今年はどんな本が選ばれたんだろう、未読本は何冊だろう、とわくわくしながら家に帰りました。

調べたら、2021の未読本は17冊。
たしか、2019は70冊、2020は40冊弱だったので、ずいぶん減りました。
小冊子には、それぞれの本から一文が紹介されています。
それを読むだけで、その本を手にしたときのことや、当時の思い出などが次々と浮かんでくるんだから、言葉とは不思議なものです。

今回の未読本で楽しみなのは、シェイクスピアの「ハムレット」。
「生か、死か、それが疑問だ」
この有名なセリフだけで、読んだ気になっていた(笑)
ラヴクラフト「インスマスの影」、星新一「妄想銀行」、綿谷りさ「ひらいて」も面白そう。
小野不由美の「魔性の子 」も、シリーズ第一弾の「十二国記 月の影 影の海」を読んだきりなので楽しみです。
あたりまえだけど、世の中には読んだことのない本がたくさんあり、自分が読んだことのある本はほんの一部なんだな、とあらためて感じます。

むかしの私は、自分が好きなもの、自分が面白いと思うものしか読みたくありませんでした。
本屋さんで背表紙や帯を眺めつつ、「これはぜったいに面白い!」と自信満々で手にした本が、つまらなかったときの無力感。
自分の目利きのなさに落ち込みつつ、金返せ、時間返せ、と叫びたくなる。
これが嫌で、大当たりの本しか読みたくなかった。
そうやってどんどん狭めていくうちに、読みたい本がなくなってしまい、しばらく読書から遠ざかっていました。
心境の変化があり、いろんな本を読んでみようと新潮文庫の100冊を手に取るようになりましたが、自分の好みにこだわらない読書も良いものですね。
期待しなかった本でこころを揺さぶられたときはガッツポーズしたくなるし、
つまらないと思った本は、
「新潮文庫さん、これハズレだよ」
と人のせいにできるしね(笑)

既読本の中には、むかーし読んでそれきり、という本もあります。とくに、名作と呼ばれているもの。
それを「読みました」にするのはどうかなぁ、とひそかに思っていて、ときどき、ぼちぼち、再読しています。
少し前に長女が、
「夏目漱石のこころはBL本らしい!」
と大騒ぎして本棚から引っ張り出してきたことがありました。
つられて私も久々に読み直しましたが、こんな話だったのか、としみじみ面白かったです。
(BLかどうか、私には分からなかったけど)
そして、ふと、大学時代、ある男子が
「夏目漱石のこころを読んだことがあるか? お前にKの気持ちが分かるか⁇」
と言っていたことを思い出しました。
彼は「こころ」を読み、Kのどんな気持ちが分かったのでしょう。
当時は「うぜぇ」の一言で済ませてしまいましたが、もし今、会う機会があれば、語り合ってみたいです。
でも、若いころの思い出は、へたに触れないほうが優しさかもしれませんね。

そんなことをつらつら思い出しつつ、今年は未読本と、ご無沙汰の名作も読んでみようと思いました。
ヘミングウェイの「老人と海」、三浦綾子の「塩狩峠」、このあたりは再読したい。
川端康成の「雪国」はどうしようかな…。
この人の描く男女、私には理解できないんだよなぁ。
だいたいいつも、
「この変態! ロリコン野郎!!」
で終わるんだけど、今、読んだら変わるかな。
川端康成をしみじみと面白く感じるようになったら、自分の読書力も上がったな、と思えそうです。

今年も、楽しく本を読んでいきましょう。

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