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わたしの知らない狼

学生時代、仲良くしてくれる子達がいたにも関わらず、いつも孤独を感じていた。
そんな気持ちで過ごすうちに、
わたしは一匹狼なのかな…。
そんな気持ちになった。

本当の狼を知らないままに。


"好きな子とペアになってー。"
"好きな席に座ってー。"
先生が言うこの言葉が、わたしが一番嫌いな時間だった。
好きなって…、何だよ…。

どうしていいか分からないできるうちに、
最後一人ポツンとなる。

保護者になった今でも、学校が苦手なのは、
その雰囲気をまじまじと感じるから。
職場ではうまくやれるのに、学校ではうまくやれない。
きっと、いつまでも苦手意識が消えないんだろう。


休み時間、みんなが楽しそうにトイレ行ったり、机や廊下で固まって話をしているのを、
羨ましく思った事もあった。
ただ、どうすればそういう仲良しになれるのか、全くわからなかった。
友達の作り方が分からなかったのかもしれない。
頭でばかり考えてしまうから。

ただ羨ましく思うのに、
どこかグループという仲間意識に息苦しさも感じていた。
好きも嫌いもみんなに合わせなければいけないという、閉鎖感があるように思えた。

わたしには合わないかもしれない…。


その頃、どこかで一匹狼という言葉を知った。
なんだかカッコイイ響き。
そういう枠もあるのかと、嬉しかった。

一人でいるわたしは一匹狼なのかな。
そんなことを毎日考えてた。

孤独感が消えたわけではなかったけど、
群れないという選択肢もあることに居場所が見つけられたような気がした。


それから何年もたち、20代後半。
ヴァンパイアと狼男が出る映画を見て、狼のイメージがひっくり返った。

その映画は、
"トワイライトシリーズ"
今でも好きな映画の一つ。

ずっと孤独だと思っていた狼。
実は違っていた。
本当は、群れ想いの優しい生き物だった。
そして、一匹になった狼は意思が強く揺るがない心を持っていた。

あれ?なんか違う…。
わたしのイメージしていた狼と違う…。

そう思いはじめると、なんだか急に恥ずかしくなった。
わたしは一匹狼ではなく、
道に迷ったヒヨコだったのかもしれない…と。
ヒヨコか…。


だけど、狼が仲間思いの優しい生き物だとしって、ますます好きになった。

わたしもそんな生き物になりたい。
そんな思いにさせられた、狼だった。

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