般若「叶わねえ」は、全人類へのアンセム(応援歌)である。/書かないよりは、まし。24
気づいたら、noteを書くのは半年以上ぶりだ。我ながら、そんなに筆無精だったけ?って思うけど、毎日毎日、ひとさまの原稿を読むのを優先しているうちに、これだけの月日がたってしまった。
これから書くのは「般若」さんというラッパーの曲について。ラップ、というだけで抵抗がある人には刺さらないのかもしれないけど、でも、本当はそういう人にこそ読んでほしい。世の中には、あなたが知らないけど素敵なものがいっぱいある(なんて書くぐらい、ちょっと酔っている)。
先日、般若さんは、「フリースタイルダンジョン」というラップバトル番組の“ラスボス”を引退した。二代目のR-指定さんももちろん超強いのだけど、彼が刻んできた年輪を考えると、「絶対王者」がいなくなるようにも思って、寂しくなる。
一ファン(ヘッズていうのかな?)からすると、般若さんはバトル、音源、ライブ…すべての面で「叶えてきた」人のように思う。でも、そんな彼が数年前に「叶わねえ」という曲を世に出していた。
(ちょっとだけ、こちらで視聴できる。曲の背景については、こちらもぜひ参照を)
今、この曲をヘビロテして、毎日、喰らいながら、生きている。
だから夢なんて 叶わねぇ
言ってやる 裸で
ひとさまに 笑われる
現実との ハザマで
でもオレは今 笑えねぇ
決して言わねぇ 頑張れ
だからオレは今 笑わねぇ
だって今この瞬間なんだぜ
この歌詞に加えるのも蛇足だけど、人間、ふつうは「叶わない」ことのほうが多いだろう。仕事でも、恋愛でも、それ以外の将来設計でも、「現実とのハザマで」うまくいかねえなぁと思いながら生きている。
でも、そもそも、そこが「デフォルト」じゃね?って話であって。
叶わないようなことを100回トライして、1回でも叶ったのなら、この人生、捨てたもんじゃないのかなと、僕は思う。
また、客演のアスベストさんというラッパーの歌詞に、毎回胸を締め付けられる。
子供の頃に教わった
夢を見なさいと教わった
一部の天才見つけ出すための
方便だって今わかった
いや、ホントはそんなのわかってた
肝心なことはそっちじゃねぇ
オレがその一部の天才かもなんつう勘違いの方さぁ
そこに、ついつい昔の自分を重ねてしまう。
若いときは、自分の実力を自分目線でしか測れないから、勘違いする。幸か不幸か、編集者という仕事についてしまった僕は、嫌でも自分よりすごい人を見続けることになって、その幻想からは逃れたけど。
もう少しだけ、アスベストさんの歌詞を引く。
いい加減に疲れたよ
1回きりって 実際キリない 失敗したって認めなよ
でも あと1回 あと1回
やってみたいと思う瞬間がオレを試すためやってくる
だって今この
そのあとに、例の般若さんの歌詞が続く。
大事なのは、結局「今、この瞬間」である。
「叶わねえ」ところからスタートして、それでも万が一の可能性に賭ける「今」を生きれるか。
商売柄、こんなことを言うと嫌われそうだけど、そこらへんの自己啓発書を読んで悦に入るくらいなら、毎日「叶わねえ」を聴いてほしい。
べつに、誰かの未来にフタをしたいわけじゃない。むしろ、勝手にフタをされた気になっている誰かの背中を強く押してくれる歌だから。
この曲は、やっぱり全人類への「アンセム」である。
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